堆積岩層は、地球上で最大の炭素貯蔵庫です。その吸収量は他の二酸化炭素吸収源の1,000倍以上にのぼり、類を見ない規模です。地質学的な時間の流れの中で、炭素はゆっくりと大気から岩石の中に移動し、最終的には地殻の奥深くに安定した安全な炭酸塩鉱物を形成します。しかし、私たちには何百万年もかけて気候変動を遅らせるほどの余裕はありません。ほんの数年で変える必要があるのです。この自然の処理力を活用し加速させることで大気のバランスを取り戻そうとする取り組みを進めるため、Heirloomが設立されました。
Heirloomのプロセスは、反応性酸化物の薄層をトレイに広げ、それらのトレイを上に積み重ねていくことで、周囲の空気にさらされるこの鉱物の表面積を最大化することから始まります。自然界でこれらの鉱物がCO₂を吸収するには何年もかかりますが、Heirloomはそれをわずか2週間に短縮することに成功しました。スポンジのようにCO₂を吸収した後、その鉱物を電気窯で加熱することで、鉱物から放出されるCO₂分子を回収し、地下に永久保存することができます。その後、窯に残った鉱物をリサイクルし、薄層に広げ、また先ほどのサイクルを繰り返します。
このプロセスを大規模に実行すれば、空気から直接回収する従来の方法よりもコストが抑えられ、全体として使用するエネルギーも少なくて済みます。Heirloomが使用する鉱物は非常に豊富にあり、そのプロセスでは、エネルギーを大量に消費するファンを使用して空気を引き込むのではなく、それらの鉱物が受動的に空気に接触することを利用しています。Shopifyは基金設立以来、そのポートフォリオに含める非常に有望な鉱化ソリューションを探しています。Heirloomは、2020年の半ばにCarbon180Entrepreneur-in-Residenceフェローシップから誕生し、商業化を追求する準備が整いました。その後はご存じのとおりです。
Shopifyは、Heirloomから400トンの炭素除去を購入することに合意しました。これはHeirloomにとって、2035年までに大気から10億トンの二酸化炭素を除去するという目標に向けた最初の展開を支える資金として、重要な収入となります。
「今から数十年後には、石油産業の2〜3倍の規模で炭素除去をしていかなくてはなりません」と、HeirloomのCEOであるShashank Samala氏は述べています。「過去の過ちを繰り返すことはできません。妥協しないアプローチが必要です。恒久的で、コンパクトで、環境に配慮した、低コストの大規模な炭素除去を実現することは可能です。それこそ、私たちが今まさに取り組んでいることなのです」
ロケーション
カリフォルニア州サンフランシスコ (米国)
設立
2020年