セールスファネルは、ブランドの認知から購入に至るまで、顧客がたどる一連の流れを可視化するのに役立ちます。セールスファネルの考え方を取り入れると、顧客がどこで関心を持ちどこで離脱しているのかが把握できるので、過剰な施策や足りない対応を見つけやすくなり、コンバージョン率を上げるための具体的なアプローチを導き出すことができるようになります。
この記事では、セールスファネルの概要と、その基礎となるAIDAモデル、改善のための指標、1ページ内でセールスファネルを完結させるためのヒントなどをまとめました。
セールスファネルとは?
セールスファネルとは、潜在顧客がブランドへの興味を深めて見込み客になり、最終的に商品を購入して顧客になるまでのプロセスを段階的に表したモデルのことです。
ただブランドを認知しているだけの人が、ブランドへの興味を深め、サイトを閲覧し、最終的な購買行動に至るまでに、人数が絞り込まれていくという図式が漏斗(ファネル)に似ているため、セールスファネルと呼ばれています。
セールスファネルでは、顧客の関心度や行動ステージに応じて、届けるべき情報やアプローチ方法を変える必要があります。そのため、潜在顧客を大きく3つのグループに分け、それぞれに適した施策を行います。
セールスファネルの構造
- ToFu(Top of the Funnel = ファネルの上部):ブランドや商品の存在を知らない人、または、認知はしているものの、商品を購入して使用しようとは思っていない潜在顧客を対象とします。購入に至るまでの道のりはまだ長いため、情報を伝え、可能な限り関わりを持ち続けて、関心を育てていくことが重要になります。
- MoFu(Middle of the Funnel = ファネルの中間部):ブランドのウェブサイトを訪問し、商品やサービスの使用を具体的に検討している見込み客(リード)を対象とします。購買意欲を高める施策や、個別のアプローチが効果的です
- BoFu(Bottom of the Funnel = ファネルの下部):適切な後押しがあれば、商品を購入する見込み客を対象とします。一度商品を購入してくれた顧客も、この段階に含まれます。商品を購入してもらうことや、契約を締結することがゴールになります。また、長期的に支持してもらい、リピーターになってもらうためには、ロイヤリティを高めることも重要になります。
自分のブランドにあったセールスファネルを作るには、顧客がサイトを訪れてから購入するまでの各ステップを洗い出し、それぞれの段階で必要なコンテンツや仕掛けを設計する必要があります。
ファネル分析を行い、どの段階で離脱が多いかを把握することも、施策改善の鍵になります。
セールスファネルの例
潜在顧客が、見込み客、顧客になるまでに、どのようなプロセスを経るのか、例をみてみましょう。
- 認知する:これまでブランド・商品のことを知らなかった潜在顧客が、Instagram(インスタグラム)広告を見て商品に興味をもち、その存在を認知するようになります。
- 興味をもつ:そのまま広告をクリックして、ブランドのウェブサイトを訪問します。
- 見込み客になる:「ニュースレター登録で10%オフ」というポップアップを見て、ウェブサイトを閉じずにメールアドレスを登録します。この段階で、潜在顧客は、潜在顧客の中でも特に購入につながる可能性の高い、見込み客にカウントされます。
- 新規顧客になる:ニュースレターで、割引クーポンを受け取った見込み客が、商品を購入し、新規顧客になります。
- リピーターになる:購入後、商品のレビューを依頼するメールを受け取った顧客がレビューを投稿し、さらに同じメールで紹介されていた別の商品を購入し、リピーターになります。
購買セールスファネルの基礎:AIDAモデル
AIDA(アイーダ)モデルは、消費者が商品の購入に至るプロセスを、顧客の気持ちの変化に沿って4段階に分けて理解するフレームワークです。Attention(注目)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Action(行動)という4段階の頭文字をとって、AIDAモデルと呼ばれています。
AIDAモデルは非常にシンプルで利用しやすいことから、セールスファネルの作り方を考えるうえでも基本として押さえておきたいフレームワークです。
1. Attention(注目)
ブランドを知らなかった潜在顧客が、広告やYouTube(ユーチューブ)動画、Instagram投稿、TikTok、ブログなどを通じて、ブランドを認知した段階です。
Attentionの段階の顧客に対しては、注意をひきウェブサイトに来てもらうことが、ブランドのゴールになります。
この段階の顧客は、まだブランドや商品に強い関心があるわけではありません。なんとなく商品をながめて、認知している程度なので、この段階の顧客に対しては商売気を出しすぎないこと、売り込みすぎないことが重要です。
印象的なブランドカラーやロゴ、キャッチコピーなども、この段階の顧客から注目を集めるのに大きく寄与します。
Attentionの顧客に対して効果的なアプローチ
- おもしろ動画やお役立ち動画
- TikTok動画
- Instagramのストーリーや投稿
- GoogleショッピングやSNS広告
- ポッドキャスト
- インフルエンサーとのコラボ
- Aboutページ
- ブログ記事
例えば、北欧、暮らしの道具店では、暮らしにまつわるさまざまなテーマで、レシピやエッセイ、ポッドキャストなどを更新しています。商品を直接的に宣伝するのではなく、楽しいコンテンツを発信することで、ファネルの上部の顧客を集めることに寄与しているのです。


2. Interest(関心)
顧客が商品に興味関心を持ち、他社製品と比較して、調査をしている段階です。
Interestの段階の顧客には「このブランドは信頼できる」と思ってもらうことがゴールです。そのため、この段階では、ブランドの専門性や価値をしっかり伝えることが求められます。顧客にとって、商品に価値があること、商品を手に入れたら有益であると想像してもらうことが、興味・関心を持続させることにつながります。
商品が顧客の課題をどのように解決するかを提示したり、商品に対する疑問に答えたり、不安を減らしたりするような、具体的な情報を伝えるコンテンツが効果的です。
Interestの顧客に対して効果的なアプローチ
- 診断クイズなどのインタラクティブなコンテンツ
- パンフレットなどのダウンロード資料
- チェックリスト
- 実際のレビューや導入事例
- 他ブランドとの比較ページ
- SNSでのライブ配信やウェビナー
例えば、PAUL&JOE(ポールアンドジョー)のオンラインストアでは、化粧下地(プライマー)の販売ページに、肌質にあった商品がどれかわかるような診断コンテンツを置いています。

また、実際に無料で試せるトライアルサンプルも用意することで、実際の購入への販売を下げています。

3. Desire(欲求)
顧客がどの商品が一番いいかを検討しており、購入への欲求が高まっている段階です。この段階にいる見込み客は、問題意識やニーズが明確になっており、購入の決断をする寸前です。
Desireの段階にいる顧客に対しては、適切な決め手を提供することがゴールです。
どんなときに商品を欲しいと思ってもらえるか、メルマガなどに登録してくれた見込み客に対してどんなフォローをすべきか、感情的なつながりをどうやって築くかなどを考えて、アプローチを設計しましょう。
この段階の顧客には、購入するという決断を後押しするようなオファーを送りましょう。
Desireの段階の顧客に対して効果的なアプローチ
- 送料無料キャンペーン
- 割引クーポン
- 無料プレゼントなどの特典
- チャット・メール・SMSなど、使いやすい連絡手段でのフォロー
4. Action(行動)
いよいよ、購入を決定する段階です。この段階の顧客に対しては、購入をしてもらうこと、リピーターになってもらうことがゴールです。購入手続きを迷わせない工夫をして、顧客に快適なショッピング体験を提供しましょう。
Actionの段階の顧客に効果的なアプローチ
- 購入ボタンなどCTA(コールトゥアクション)の色や大きさを見直し、目立つ位置に配置する
- 質問や不安がある人がすぐ相談できるチャットを設置する
- 決済や配送の手続きをスムーズにする
購入が完了したら、それで終わりではありません。B2C、D2C、B2Bなどのビジネスモデルにかかわらず、また買いたいと思ってもらえるように、顧客維持戦略も継続的に行っていきましょう。
セールスファネルを改善するために注目すべき指標
各段階の顧客に対して適切なアプローチをとり、セールスファネルを改善していくには、次の指標を中心にEコマース分析を行い、指標の上下に応じて適切な対策をとることが大切です。
コンバージョン率
コンバージョン率とは、自社サイトを訪れた人のうち、実際に購入まで至った人の割合を示します。ECサイト全体の平均コンバージョン率は2.5〜3%と言われていますが、さらに高くすることも可能です。コンバージョンの改善ができれば、売り上げも増えていきます。
Shopify(ショッピファイ)のストア分析機能を活用すると、施策の見直しに応じてコンバージョン率がどう変化するかを追うことができます。
リード転換率
自社サイトを訪れた人全体ではなく、見込み客(リード)がどのくらいの割合で実際に購入を行い、顧客になったかも、注視する必要があります。
メルマガに登録している、アカウントを持っている、クーポンを取得しているなど、自社にとっての見込み客の基準を定めて、その見込み客がどれくらいの割合で顧客になったかを見ることで、効率的にセールスが行えているかどうかを判断できます。
顧客獲得単価(CPA = Cost Per Acquisition)
顧客獲得単価(CPA)は、キャンペーンによって新規顧客を1人獲得するのにかかった費用のことです。計算式は次の通りです。
広告費などキャンペーンの総額 ÷ 成約数 = CPA
例えば、50,000円を投じて割引クーポンを配布してメルマガ登録を促すリターゲティングキャンペーンを実施し、50件の購入につながったとしましょう。このとき、CPAは1000円です。
平均取引額
平均取引額とは、1回の取引あたりの平均売上金額を指します。平均取引額が高くなれば、少ない取引数でも安定した収益が期待できるようになります。
例えば、まとめ買いや高単価商品の販売が増えると、平均取引額は上昇します。
獲得にコストのかかる新規顧客に対しても、1回の購入で回収できる金額が増えるため、広告費やリード育成に投資できる余地が広がります。
顧客生涯価値(LTV)
顧客生涯価値(LTV)は、1人の顧客が自社の商品やサービスを継続的に購入し続けた場合、トータルでどれだけの売り上げをもたらすかを示す指標です。
LTVを高めるには、リピーターを増やしたり、定期購入などの仕組みを整えたりすることが効果的です。LTVが高くなると、たとえ顧客獲得単価(CPA)が高くても、長期的には収益性が高まります。サブスクリプション型のビジネスやリピート性の高い商材では、特に重要な指標です。
セールスサイクルの長さ
セールスサイクルとは、見込み客が実際に購入に至るまでにかかる期間のことを指します。
購入までのスピードが早ければ早いほど、売り上げの回転がよくなります。
ただし、B2CとB2Bではサイクルの長さが大きく異なることもあります。自社の業種や取り扱っている商品、ターゲットに合わせて、適切な目安がどのくらいか理解し、その中でサイクルを縮める方法を考えましょう。
解約率
定期購入や会員制サービスを提供している場合に重要なのが、解約率です。
例えば、500人の登録者のうち20人が1ヶ月の間に解約した場合、1ヶ月以内の解約率は4%となります。
解約率が高いときは、顧客が離れてしまう理由を分析し、リピートしたくなる仕組みを整えましょう。売り上げを安定的に伸ばすことができます。
セールスファネルを1ページで完結させるための10のヒント
多くのブランドは、広告やメールを入口として、そこから商品ページへとユーザーを誘導するなど、複数のページを遷移させて購入につなげることが多いですが、ひとつのページ内で訪問者の興味をひきつけ、購入まで導き、ファネルを完結させることもできます。
1ページで完結させることができれば、他のウェブサイトへの遷移がないため、ユーザーが調べる、比較する、迷う、などのプロセスで離脱する可能性を最小限に抑え、ページ内で購入へとつなげることができます。
Shopifyの商品ページや、ランディングページを利用することで、1ページ内で完結したセールスファネルを構築することが可能です。
ここでは、1ページ完結型のセールスファネルを構築するための10のヒントを紹介します。
1. ページのレイアウトを選ぶ
どんなレイアウトのページを構築するか決めます。
レイアウトは、基本的に次の2つから選びましょう。
- シンプルな商品ページ:説明がほとんどいらないような、わかりやすい商品を販売している場合におすすめのページです。価格・商品写真・カートに入れるボタンなど、必要な情報だけをコンパクトにまとめた、すっきりとした構成になります。
- 情報量の多い縦長の商品ページ:商品に関するストーリーや技術的な説明、メリット、よくある疑問への回答などを、1ページ内にしっかり盛り込みたい場合におすすめです。1つの商品についてじっくりと紹介したいときに向いています。
2. ヘッダーを整える
ヘッダーとは、ウェブサイトの一番上の箇所を指します。ヘッダーには、ロゴやメニュー、ショッピングカート、キャンペーン情報など、大事なリンクや情報をまとめておく必要があります。
次のポイントに気をつけてヘッダーを整えましょう。
- ロゴをしっかり見せつつも、コンパクトにまとめる:ページの内容の邪魔にならないように、できるだけスリムなデザインにしましょう。特にPC版では、表示されている部分の20%以内におさめるのが理想です。スマートフォンでは、画面が小さい分さらに重要で、10%以内を目指すのがおすすめです。
- ショッピングカートへのリンクをいれる:ヘッダーの目立つ位置には必ずカートボタンを配置しましょう。
- メルマガ登録やキャンペーンの案内を追加する:ヘッダーは目につきやすい場所なので、特典やキャンペーンをアピールする場としても活用できます。例えば、「送料無料」「期間限定セール」「メルマガ登録で割引」などの案内を入れるのも効果的です。
- 可読性を確保する:大きめ・読みやすいフォントを選び、背景とのコントラストにも注意しましょう。特にスマートフォンでは、リンクが小さいと誤って別の場所を押してしまうこともあるので、リンクやボタンは大きめにし、ボタン同士の間隔もしっかりとりましょう。
- 固定ヘッダーを検討する:ページをスクロールしても、上部に常に表示され続ける、固定ヘッダーも効果的です。商品ページが長くなる場合でも、カートボタンやCTAボタンが常に表示されている状態を維持できるので、購入のチャンスを逃しにくくなります。

例えば、Soup Stock Tokyoのヘッダーは、ロゴは中央の目立つ位置に、ショッピングカートやログインなどの重要なボタンは他のナビゲーションとは間隔をあけて右端に配置されています。最上部には、目立つ色でキャンペーンの案内が配置されています。
3. テスティモニアルを目立つ位置に配置する
レビューや口コミの中でも特に説得力のあるコメント(テスティモニアル)を、購入ボタンの近くなど、目立つ位置に配置しましょう。
例えば、スキンケアブランドのBOOM!(ブーム)では、購入ボタンのそばにテスティモニアルを表示したことで、コンバージョン率が5.25%アップし、1ユーザーあたりの平均売り上げも1.25ドル増加しました。
効果的なテスティモニアルを選ぶコツは、次の通りです。
- ポジティブなコメントを選ぶ:商品の魅力がしっかりと伝わる、心からのおすすめコメントを選びましょう。
- 短く、すぐ読める長さにする:長文すぎると読まれにくくなってしまいます。パッと目に入って、すぐ理解できる長さがベストです。
- よく購入してくれる層からのコメントを選ぶ:表示するお客様の声は頻繁に入れ替えることができないため、自社の主な購入者層を代表するような人の声を選ぶといいでしょう。

BASE FOOD(ベースフード)では購入ページにInstagramの投稿が表示されるようになっています。BASE FOODが任命したアンバサダーによる、ポジティブなコメントが主に表示されており、テスティモニアルとしての役割を果たしています。
4. 購入ボタンの周辺を整える
顧客が購入ボタンを押すかどうかは、その周りにどんな情報があるかに大きく左右されます。このエリアでは、「今買いたい」と思ってもらえるように、「なぜこの商品を、今買うべきなのか」を短く・わかりやすく伝えることが重要です。
以下の流れで内容を組み立てると、購入につながりやすくなります。
- テスティモニアルを配置する
- 商品を持つことで得られるメリットを一文で伝える:例えば、「これ1本で朝のメイク時間が半分に」「毎日使いたくなる心地よさ」など
- 商品説明を2〜3文で簡潔にまとめる:商品の特徴、使い方、こだわりポイントなど
5. 商品紹介動画を作る
商品紹介動画は非常に効果的なコンテンツです。すでにインタビューや口コミ、商品の使用シーンを含んだ長めの動画がある場合は、ぜひ活用してください。
ECサイトや広告用には30秒以内のショート動画があるとより効果的です。シンプルでおしゃれに見える動画を作れば、自社サイトやSNS、広告などさまざまな場所で活用できます。

農業・園芸・アウトドア用品を取り扱うミナトワークスは、商品ページ内に短い使用動画を挿入しています。
6. 商品画像をカルーセル方式で表示する
ネットショッピングでは、実際に手に取って確認できない分、写真がとても大事になります。Salsifyの2024年の調査によると、76%のユーザーが「魅力的な画像を見てクリックした」と答えています。
次のような工夫で、魅力的な画像カルーセル(複数の画像をスライド表示できる)を作りましょう。
- 画質のいい写真を選ぶ:必ずしも高価なカメラで撮影する必要はありません。スマホでの物撮りでも良いので、クリアできれいな写真を用意しましょう。
- いろいろな角度・使い方を見せる:開いた状態・しまった状態・使用中など、実際に使うイメージが伝わる写真を複数選びましょう。
- 使用風景をいれる:人が使用している写真、その商品があることで生活が豊かになることが伝わる写真も入れます。
- 素材やサイズ感を伝える:図解やイラスト、メジャーを使った比較写真なども有効です。
- 画像サイズを軽くする:表示スピードが速くなるとSEOにも有利です。Shopifyでは自動でWebP形式(画像表示を高速化しファイルサイズを小さくする画像フォーマット)に変換してくれます。
- 静止画以外も検討する:複雑な商品には、動画や3Dモデル、説明図などを活用するとより伝わりやすくなります。

オーダーメイド家具のKANADEMONO(カナデモノ)の商品写真は、横スクロールバーで切り替えられるようにおり、素材を見せる寄りの写真から、部屋の中での存在感を見せる写真、他のものと比較して大きさをわかりやすくした写真などが置かれています。写真の枚数は多いですが、サイズが軽いため動作は非常にスムーズです。
7. 購入ボタンの文言をシンプルにする
購入ボタンの文言は、重要なCTAです。あまり凝った文言にせず、次のようなシンプルな言葉にするのが効果的です。
- 購入する
- 今すぐ購入
- 注文する
- 予約注文する
- カートに入れる
8. USPを伝える
USP(ユニークセリングプロポジション/ユニークセリングポイント)とは、競合との差別化要因となる独自の価値のことです。なぜ他のブランドではなく、このブランドから買うべきなのかを、商品ページの文章や画像でしっかり伝えるようにしましょう。アイコンなどを使って視覚的に伝えるのもいいでしょう。
次のようなポイントを考えると、USPが見えてきます。
- 保証や分割払いなどの仕組み
- 配送の早さ
- 商品に用いられている特殊な技術
- 認証や受賞歴
- 国産、オーガニック、動物実験なしなどのこだわり

例えば、女性向けのプロテインを販売しているKOREDAKE(コレダケ)は、商品ページの購入ボタンの下部に、商品のこだわりをアイコンでまとめて表示しています。
9. 返品・交換などの保証をはっきり伝える
ちゃんと配送されるのか、想像通りの商品が届くかなど、顧客はネットでの買い物に不安を感じるものです。購入のハードルを下げるために、保証についてページに明記しておくことが有効です。
例えば、次のような文言を明記しておくと、安心してもらえます。
- 未開封品に限り、7日以内の返品をお受けします
- まずは1回分からお試しいただけます
- 万が一の破損や不具合があった場合は、交換や修理にて対応します
- 24時間以内にご返信します
- 土日祝も発送します
- 日本国内から発送・返品対応
10. ソーシャルプルーフで安心感を与える
他の人が買っている、紹介されている、といったことを見せて、安心感や信頼感を生むことを、ソーシャルプルーフ(社会的証明)といいます。Matterの調査によると、69%の人が友人・家族・インフルエンサーのおすすめを、ブランドの言葉より信頼すると回答しています。
つまり、第三者からの評価をうまく使うことで購入の後押しにつなげます。レビュー以外に、以下のような手法も効果的です。
- 雑誌やテレビなど、メディアで取材された実績
- 有名人やインフルエンサーからの紹介
- 認証ロゴ
- 医師・専門家などからの推奨コメント


パーソナルジムのBEYOND(ビヨンド)は、プロテインの商品ページで理学療法士の推薦コメントを表示し、信頼感を高めています。
まとめ
セールスファネルは、潜在顧客が実際に購入するまでのプロセスを可視化するものです。購入に至るプロセスをAttention(注目)、 Interest(関心)、 Desire(欲求)、 Action(行動)という4段階に分類するAIDAモデルを使うと、セールスファネルが作りやすくなります。また、コンバージョン率やリード転換率などの指標でEコマース分析を行ってファネルの段階ごとの施策を改善していくことも大切です。
ビジネスが成長し、取り扱う商品が増えたり、顧客の数が増えたりすると、その分だけファネルの設計や運用にも工夫が必要になります。
Shopifyでは、セールスファネルを効率的に管理するためのツールが豊富に用意されています。新しくメルマガに登録した顧客に割引コードつきのメールを自動で送ったり、カゴ落ちメールを送ったりと、見込み客の行動に合わせたアプローチを簡単にとることができます。
テクノロジーの知識がなくても、こうした機能を使いこなせるのがShopifyの強みです。顧客の段階に応じたアプローチで、ECサイトを長く成長させていきましょう。
セールスファネルについてのよくある質問
セールスファネルとは?
セールスファネルとは、潜在顧客がブランドや商品を知り、興味を持ち、欲しいと思い、実際に購入するまでの流れを段階的に表したものです。セールスファネルに沿って各段階に合わせた情報提供やサポートを行うことで、効率的に購入へとつなげていく仕組みを作ることができます。
セールスファネルの作り方は?
まずは、顧客が購入に至るまでの流れを段階ごとに分けて整理しましょう。その後、ファネルの各段階において、顧客がどんな行動をとり、どんなニーズを抱えているのかを把握し、それぞれのニーズに応える商品ページや資料、コンテンツを用意していきます。
各段階の顧客に適したコンテンツや施策を用意することで、効果的なセールスファネルを作ることができます。
セールスファネルの効果はどうやって判断する?
セールスファネルの効果を評価し改善していくためには、次のような指標をチェックするのが効果的です。
- コンバージョン率:どれくらいの人が実際に購入したか
- リード転換率:見込み客のうち、どれだけの人が顧客になったか
- CPA(顧客獲得単価):1人の新規顧客を獲得するのにかかった費用
- 平均取引額:1回の購入で、平均いくらの売り上げになっているか
- セールスサイクルの長さ:購入までにかかった期間
- 解約率:定期購入などで、どれくらいの人がやめているか
セールスファネルとマーケティングファネルの違いは?
セールスファネルとマーケティングファネルの違いは、セールスファネルは実際の購入をゴールとしているのに対し、マーケティングファネルは「知ってもらう」「興味を持ってもらう」ことを目標にしている点にあります。
文:Taeko Adachi