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100円ショップとして知られる「DAISO」。実店舗のイメージが強い「DAISO」ですが、「ダイソーネットストア」「DAISO オンラインショップ」「大量注文サイト」の3つのサイトを運営しています。 「世界中の人々の生活をワンプライスで豊かに変える~感動価格、感動品質~」というステートメントを掲げる大創産業(DAISO)は、「商品をECで購入したい」というユーザーニーズに応えるため、ECサイトの運営を開始。業務効率化、マイクロフィルメント、「YouTubeショッピング」の活用などによって著しい成長を遂げています。 この成長を支えている要因がコマースプラットフォーム「Shopify」にあり、次のような成果を達成しています。

  • 売上高400%伸長
  • 249%のトラフィック増

ECサイトの運営に携わる大創産業の山﨑禎弥氏(店舗運営本部 運営企画部 EC課 係長)に取材し、「DAISO」のBtoB-EC、BtoC-ECの戦略、「Shopify」を活用してEC事業を伸ばしているポイント、今後の展望を伺いました。

目次

1. 「あの商品をECで買いたい」。ユーザーニーズに応えてBtoBから踏み出した一歩

2. 「Shopify」導入でスピード構築したBtoCサイト「ネットストア」

3. BtoBサイト「オンラインショップ」はスクラッチから「Shopify」での構築・運用に移行

4. データ処理スピードアップなどを狙い「Shopify Plus」へ移行、「Shopify Plus」活用術とは

5. 単品購入、商品数――ユーザーニーズに応えた結果、BtoC-ECで400%の売上伸長と249%のトラフィック増

6. EC戦略で描く未来は「顧客志向のさらなる強化

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「あの商品をECで買いたい」。ユーザーニーズに応えてBtoBから踏み出した一歩

“100円ショップ”として知られるDAISOは、ユーザーの多様なライフスタイルに適した商品開発で多くの消費者の支持を集めています。現在は別軸で開発しているブランド「Standard Products by DAISO(スタンダードプロダクツ バイ ダイソー)」「THREEPPY(スリーピー)」も展開。「スタンダードプロダクツ」では適正価格で長く使えるアイテムも提供し、広島県の「熊野筆」との取り組みなど地場産業との連携も話題になっています。

>シンプルながら品質が良く、長く使える商品を展開している「スタンダードプロダクツ」

>シンプルながら品質が良く、長く使える商品を展開している「スタンダードプロダクツ」

DAISOの強みは実店舗の数。その店舗数は、2023年2月末時点で国内4,139店舗。国外では26の国と地域に出店し2,312店舗を構え、ジャパニーズグローバルブランドへの道を着実に歩み続けています。

そのように事業を拡大し続けるDAISOが、新たな販売チャネルとしてECをスタートしたのは2020年8月30日。法人向けのBtoB-ECサイト「DAISOオンラインショップ」です。

「DAISOオンラインショップ(以下、オンラインショップ)」を開設した理由は、店舗で気軽に買えるDAISOのアイテムを「ネット購入もしたい」というニーズが生まれていたから。

実は「DAISOオンラインショップ」を開設する以前から、同一商品を500個以上(2023年8月時点では300個)で注文できる大量注文を目的としたサイトは運営していました。「小ロットで購入したい」という要望が多く寄せられるようになったことと、DAISO社内でECサイト開設への機運が高まったため、「オンラインショップ」を立ち上げることになりました。

当時、DAISOは「1種類のアイテムを1つずつ購入したい」というニーズも想定していたものの、まずはBtoBを想定したまとめ販売を行う「オンラインショップ」をスタート。その理由は実現の速さと業務効率の良さだといいます。

まとめ販売でロット単位の出荷であれば、フルフィルメント・配送面では既存店舗への出荷とほとんど変わらないため、新たな倉庫作業のオペレーションを作る必要がありませんでした。そのため、サイト構築からサービス開始までを短期間で実現できたのです。

こうしてスタートした「オンラインショップ」は、既存の倉庫作業のスキームが利用できたため業務効率も良く、倉庫とのコミュニケーションや連携にも無理を生じさせずに運用できています。

一部ネット限定アイテムはあるものの、後述するBtoC-ECサイトも実店舗と差別化はせず、商品ラインアップは極力変えないようにしているとのこと。

DAISOがお客さまに支持されている理由は、多彩な品ぞろえだと認識しています。お客さまが「ある商品を欲しい」と思ったとき、その商品は実店舗でもECでも購入できる、購入場所は利便性や必要な個数などに応じて自由に選べる、ということが理想なのです。

  • 山﨑氏
大創産業 店舗運営本部 運営企画部 EC課 係長 山﨑禎弥氏

大創産業 店舗運営本部 運営企画部 EC課 係長 山﨑禎弥氏

「Shopify」導入でスピード構築したBtoCサイト「ネットストア」

BtoCを想定し単品購入ができるECサイト「DAISOネットストア(以下、ネットストア)」をオープンしたのは2021年4月30日。BtoB-ECの「オンラインショップ」を開設した8か月後という早さです。

BtoC-ECサイト「DAISOネットストア」

BtoC-ECサイト「DAISOネットストア」

「ネットストア」開設前、DAISOのECサイトは基本的に「オンラインショップ」だけで、「これが法人向けのサイトだと思われていなかった」(山﨑氏)。そのため「オンラインショップ」の問い合わせフォームに「1個から購入したい」という要望が多数届いていました。

2022年から2023年にかけて、段階的にBtoC-ECサイトを始める予定でしたが、想像以上に問い合わせと要望が増加。急遽2021年4月に関東への配送限定で消費者向けネット通販を開始しました。

「ネットストア」の開設で選んだプラットフォームは「Shopify」。ノーコードでECサイトのスピード構築および運営を実現できるShopifyを選んだことで、予定を前倒ししてECサイトをオープンしました。 2021年10月には全国配送に対応し、本格的な運用を開始。後述しますが「ネットストア」は爆発的にアクセスが増加していき、Shopifyの上位プランである「Shopify Plus」を導入することになります。

商品はDAISO全体でトータル約7万6,000 SKU、そのうちBtoBサイト「オンラインショップ」は2万6,687 SKU。BtoC-ECサイトの「ネットストア」は4万1,000 SKUです(BtoB、BtoCいずれも2023年8月4日時点)。

BtoBサイト「オンラインショップ」はスクラッチからShopifyでの構築・運用に移行

BtoCサイト「ネットストア」はShopifyで構築・運用していたDAISOですが、先行していたBtoBサイト「オンラインショップ」については別のECサイトパッケージを導入し、スクラッチで構築していました。 そこで問題になったのが「オンラインショップ」のリプレイス。スクラッチによる通常の工程でリプレイスすると、再オープンする目標期日に間に合わないという試算になったのです。そこで新たなプラットフォームとして「ネットストア」と同じShopify Plusへの移行を決断することに。

BtoB-ECサイト「DAISOオンラインショップ」

BtoB-ECサイト「DAISOオンラインショップ」

移行先にShopifyを選んだ理由について山﨑氏は、「『ネットストア』をShopifyで構築・運用していたことから統合的に管理が行えること、オペレーションを一元管理できるから」だと話します。

リプレイスが完了する2023年3月14日までの8か月、「オンラインショップ」と「ネットストア」をそれぞれのプラットフォームで運用していたため、工数が2倍以上かかっていました。

その後はShopifyへの移行によって2つのECサイトを1つのシステムで運用。オペレーションを一元管理できるようになったため、運用工数が大幅に削減できました。Shopifyで「ネットストア」を運用する利点について、山﨑氏は次の3ポイントをあげます。

  • 複数の配送拠点のうち配送先に一番近い拠点から発送するスキームに対応できる
  • ノーコードで改修やカスタマイズができ、作業を内製化できる
  • (アプリマーケットを通じた)アプリでの機能拡張性が高く、大きな手間をかけることなく手軽にサイト改修を行える

この「独自の配送スキーム」「ノーコードによるECサイト運用」「拡張性」は、DAISOが望んでいたECサイト構築・運用上の条件。ShopifyにはDAISOの要望を叶える仕組みを搭載していることから、「オンラインショップ」にもShopifyの活用を決めました。

ただ、当時のShopifyには2023年現在搭載しているBtoBに特化した機能は少なかったものの、リプレイスを進める間に、BtoBに対応する機能やアプリが次々と追加され、リリース時には本格的なBtoB-ECサイトをローンチできました。

Shopifyへの移行後、使い勝手は一気に向上しました。

たとえば、DAISOはサイトのフロント部分の改修、特集の組み方、カテゴリの分け方などにこだわりを持っていますが、以前はこれらをベンダーにカスタム開発として別途依頼する必要がありました。そのうえでデザインやフォントのミスマッチによる修正もたびたび発生し、その対応にも時間、手間、工数を要していました。

Shopifyでは、こういったスクラッチやパッケージなどで構築したECサイトの更新で業務負荷となる改修や修正は、ほぼ自社内で対応でき、結果としてコストの削減にもつながったのです。

また、リプレイス前の2022年3月から7月と、移行後の2023年3月から7月の売上高を比較すると3.5倍(250%増)で伸長しており、リプレイスの大きな成果の1つとなりました。

DAISOのスピード感への対応、前向きに捉える「人柄」も決め手に

DAISOは国内外に数多く出店する大企業にもかかわらず、意思決定から施策実施までのスピードが非常に速いのが特徴です。

Shopifyはサポート面においても、ときには五月雨式となるDAISOの依頼や要望に1つひとつスピーディーに対応していきました。「ShopifyはDAISOが求めるスピードにマッチしたECプラットフォームと言えます」(山﨑氏)そして、こう続けました。

あとから考えればですが、選定は最終的に「人柄」「企業文化」も大きな要因だったかなと思います。Shopify側は「お客さまのニーズに早く応えるべき、早く実現・運用したい」という社内のムードに応えてくれました。対応速度に加えて、私たちが今現在は実現が難しい要望を出したとしても「将来的にはできる可能性がある」と前向きに捉えてくれている、と感じています。

  • 山﨑氏

データ処理スピードアップなどを狙い「Shopify Plus」へ移行、「Shopify Plus」活用術とは

「ネットストア」は2021年4月の販売開始後、想定を上回る注文数によりデータ処理(連携)が上手く行えないという事態が一部で起こるようになりました。

そこで全国配送を始める直前の同年9月にそれまで利用していたShopifyのプランをアップグレードし、「Shopify Plus」に切り替えました。これにより、実店舗との在庫データの同期速度などがスタンダードプランの10倍以上にアップしました。

2023年8月時点で、7万6,000 SKUもの商品を管理しているDAISOはShopify Plusに支えられているといっても過言ではありません。

DAISOはShopifyのどのような機能を活用しているのか、いくつかの事例をご紹介します。

① チェックアウトや商品レコメンド機能のカスタマイズ

Shopify Plusでは、チェックアウト画面をカスタマイズすることが可能。チェックアウトは購入を確定し、支払いを完了するフォームのことで、ユーザーはカート画面で商品を追加した後、このチェックアウト画面で配送に関する情報と決済手段を入力します。 Shopifyの通常プランではチェックアウト画面をカスタマイズすることはできませんが、Shopify Plusを利用していれば可能。DAISOはこのチェックアウトのカスタマイズにこだわりました。

DAISOは複数の配送拠点から商品を発送しています。たとえば、カートに商品を入れた時とチェックアウト時の住所が異なっている場合(たとえばチェックアウト前に違う住所に変更)、配送先によっては配送拠点とその在庫の引き当て先が異なってしまい、エラーが発生してしまいます。

このDAISO独自の在庫管理システムとマイクロフルフィルメント(複数の配送センターから、配送先に近いセンターの在庫を配送し、速く消費者に商品を届けること)を実現するため、チェックアウト機能のカスタマイズを実施しました。

さらに、商品レコメンドといった機能をノーコードで追加することもShopify Plusで提供される標準機能です。将来的にDAISOは、たとえばチェックアウト画面で、お菓子を買ったユーザーに対し、さらに別のお菓子を提案するといった“攻め”のカスタマイズを実装する予定です。

② スクリプトエディター機能で配送先別に送料を自動計算

チェックアウト画面では、配送先住所に合わせて自動的に送料を算出。さらに離島、温度帯、大型商品など複雑な配送に対応した送料計算は、Shopifyアプリの「スクリプトエディター」を使って実現できます。この機能はShopify Plus限定で利用できる機能です。※2024年8月で「スクリプトエディター」が終了し、以降は「Shopify Functions」で代替できます。新規マーチャントさまについては「Shopify Functions」で上記機能を実装可能です。

スクリプトエディター機能で送料を自動計算できます。送料がかかる通常時(上)と、配送先が沖縄の場合(中央)、北海道の場合(下)

スクリプトエディター機能で送料を自動計算できます。送料がかかる通常時(上)と、配送先が沖縄の場合(中央)、北海道の場合(下)

購入金額が1万円以上(税抜)の場合は自動で送料が無料になります

購入金額が1万円以上(税抜)の場合は自動で送料が無料になります

③ 「YouTubeショッピング」と連携、売り上げが前年比350%アップ

「YouTubeショッピング」機能を活用することで、公式YouTubeチャンネルの動画概要欄の下で商品を紹介し、ダイレクトに自社ECサイトでの購入導線を構築できます(「YouTubeショッピング」機能はShopify通常プランでも利用可能)。

「YouTubeショッピング」機能を活用している動画

「YouTubeショッピング」機能を活用している動画

動画の下に商品欄を配置し、厳選商品のリストを表示することが可能。視聴画面からDAISOのECサイトに視聴者を誘導するので、絶大な効果を発揮します。

DAISOがYouTubeチャンネルを開設したのは2022年1月、「YouTubeショッピング」を開始したのは2023年に入ってから。始めて間もないものの、「YouTubeショッピング」を導入する前(動画の概要欄にECサイトへのリンクのみを掲載していた時)と比較すると、「YouTube」経由の売り上げは前年比350%アップとなっています。

また2023年5月から “バズりやすい”といわれるショート動画にも「YouTubeショッピング」が対応。このショート動画でも商品販売は可能で、さらなる伸びしろがあると期待されています。2023年8月時点で「YouTubeショッピング」との連携機能を実装しているのは、国内のECプラットフォームやサービスのなかでShopifyだけです。

④ ユーザーセグメントや在庫アラートを行う「Shopify Flow」

DAISOは以前、メルマガ配信のユーザーセグメントを手動で行っており、大きな手間がかかっていました。そこで、ECサイト運営の業務を効率化するShopifyアプリShopify Flowを導入し、ユーザーのセグメントを自動化。セグメントはノーコードで行えるため、専門的な知識がないスタッフでも容易に取り組めるといいます。DAISOは、購入した商品によって顧客の好みをカテゴリ分けし、Shopify Flowを活用しました。

DAISOが活用している「Shopify Flow(https://www.shopify.com/jp/flow)」

DAISOが活用している「Shopify Flow

現在は、あるジャンルの商品を購入したユーザーに、そのジャンル名の「タグ」を付けておき、配信先を簡単に絞り込むことを実施。たとえばペットの新商品を紹介するメールマガジンで、ペット商品を購入したことがあるユーザーに付けておいたタグで配信先を絞り込んでプロモーションすることが容易になりました。

またShopify Flowは在庫減少をチェックして補給を促すなど、アラートを出す機能も実装しており、品切れによる機会損失を事前に防ぐことができます。SKU数が多く、複数の配送拠点をもつDAISOには非常にマッチしているとのこと。

◆ ◆ ◆ さまざまなShopifyの機能・アプリを活用しているDAISOですが、悩み・苦労した点はShopifyアプリだったそう。

ノーコードで手軽にECの機能を追加できるというメリットがあるアプリですが、山﨑氏は「あまりにも数と機能が多すぎて、自分たちで実現性、即効性、コストの面で最適解を探すのが難しかった」と話します。

また、説明文やサポートが英語対応の海外アプリには不安があり、アプリを入れてみて合わなかったときにリカバリーが難航したことも。

さらに「わからない」「難しい」を解決するために活用したのが、Shopifyのサービスサポートです。Shopify Plusには「マーチャントサクセスプログラム」という支援サービスがあり、専任エキスパートや専門パートナーによるサポートを受けることができます。このサポートを通じて、アプリの活用可能性などを“中の人”にヒヤリングし、サイト運営に生かしているのです。

Shopify Plusで受けられるマーチャントサービスの一例

Shopify Plusで受けられるマーチャントサービスの一例

単品購入、商品数――ユーザーニーズに応えた結果、BtoC-ECで400%の売上伸長と249%のトラフィック増

「1点から買いたい」というユーザーの要望に応え、満を持して始めた「ネットストア」。その成長、売り上げの伸びは圧倒的です。サービスがスタートした2021年4月から2021年12月と、2022年4月から2022年12月の売上高を比較すると、なんと約400%アップという数値になりました。

大きく数字が伸長した背景の1つは、段階的にサービスを拡大したこと。2021年4月のサイトオープン時点では関東地区限定の配送でしたが、同年10月には全国配送に対応しました。 また、商品点数を伸ばせたことも寄与しています。2万SKUからスタートして1週間に約200 SKUずつ人力で登録。その結果、「ネットストア」は2023年8月時点で4万8,000 SKUとなり、多くのユーザーの支持を得ることにつながりました。

アクセス数も大幅に伸長、トラフィックの約7割がオーガニック。ECサイトの需要があると確信

アクセス数も順調に増加していきました。2021年はリスティング広告を行っていましたが、その後出稿を停止。「DAISO+商品名」のキーワードを中心に、オーガニック検索からの流入を多数獲得できたからです。「これは2021年10月に全国配送を始めて、知名度が高まったのも影響しているのではないでしょうか」(山﨑氏) このトラフィックの上昇は、世界的なマーケティングツール「similarWeb」に注目され、2021年から2022年にかけてアクセスが増えた「eコマースデジタルブランド」の1位として発表されています。

「DIGITAL100 by similarweb」に掲載されました

「DIGITAL100 by similarweb」に掲載されました

その成長率は249%増。2022年はリスティング広告などを行っていなくても、トラフィックの72%がオーガニック検索という結果です。

すさまじい成長を見せたトラフィック、その実際の数字をみてみると2023年7月のソーシャルセッション数はBtoC-ECサイトの「ネットストア」で788万8,704件、BtoB-ECサイトの「オンラインショップ」で37万1,937件です。

サイトアクセス増加に比例してユーザー数も伸びており、2023年8月時点で登録会員数は「ネットストア」会員は150万人以上、「オンラインショップ」会員も約5万4,000人という状況です。さらに、1週間でおよそ1万5,000人ずつ増加しており、この会員数の伸びを見ると、まだ頭打ちになっていない実感があるといいます。

BtoCサイト「ネットストア」をスタートすると決まってからも、DAISO社内には「全国に多数の実店舗があるのにわざわざ通販で買うのか」という懸念がありました。しかし売上高の伸長、検索流入数の増加、会員数の拡大という結果が「DAISOにはEC需要がある」という証明になったのです。

EC戦略で描く未来は「顧客志向のさらなる強化」

DAISOが今後見据えているのはOMOの推進。ブランドと顧客の接点となるオンラインとオフラインというチャネルを活用して購買につなげる「オムニチャネル」を発展させ、オン・オフの区別がないCX(顧客体験)を実現させることです。

店舗とECの垣根は要らないと思っています。お客さまから見ると「DAISOで購入している」という意識なので、垣根を取り払わないと利便性は向上していかない。(山﨑氏)

具体的な施策として、DAISOは「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」、いわゆる店舗受け取りサービスの導入を検討しています。

「ECで購入した商品を店舗で受け取る」というニーズや需要は低くはありません。実際にDAISOへの問い合わせで最も多い内容は「送料」に関することで、二番目に多いのが「店舗受け取り」についてだといいます。

BOPISはDAISOが持つ店舗数の強みと独自の在庫管理システムを生かせる施策であり、ShopifyはBOPISに対応する機能を実装しています。2023年8月の取材時点ではまだ実装されていませんが、プロジェクトを進めている最中とのこと。

もう1つDAISOが実現に向けて検討しているのは、“サイトの統合”です。現在DAISOには3つのECサイト(BtoC、BtoB、大ロット用サイト)があり、ユーザーの混乱を招く要因になっています。

3つのサイトを統合したサイトでBtoBとBtoCの機能を使えるようにしたいといいます。サイトの統合はShopifyで対応でき、さらに注文者別にコンテンツの出し分けをするといったBtoB向けの新機能も実装し、統合サイトを構築する予定です。

【関連リンク】

BtoB-ECサイト「DAISOオンラインショップ

BtoC-ECサイト「DAISOネットストア」

Shopify Plus

Shopify

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