生産性をアップさせたい個人事業主やスモールビジネスオーナーにとって、最も重要な要素の一つとして「集中力」が挙げられます。
ですが身の回りは、スマホの通知、膨大なタスク、人間関係など、集中力が奪われる要素であふれています。思い通りのタイミングで仕事へ集中力を発揮できるのは理想ですが、なかなか長くは続かないことで悩む人は少なくありません。
この記事では、集中力が続かない原因と、集中力アップをもたらす11の方法についてわかりやすく解説します。
集中力が続かない原因

株式会社ビズヒッツが実施した調査によると、働く人々の81%が「仕事に集中できない時がある」と回答していることが分かりました。集中力が続かない理由の代表的なものは、以下のとおりです。
- 集中できない環境
- マルチタスク
- セルフケアができていないことによるメンタルの不調
- 低血糖
- 不健康な食生活
- 睡眠不足
- 仕事の目標が不明確
- 人間関係
- プライベートの問題を引きずっている
- 疲労がたまっている
集中力の高まる「フロー状態」とは
心理学において、作業に深く没頭し、時間の感覚が薄れるほどの集中力とパフォーマンスを発揮している状態を「フロー状態」と呼びます。スポーツ選手がゾーンに入る感覚に似ているといわれ、具体的には以下のような状態を指します。
- 目の前の作業に完全に没頭している
- 時間の経過を忘れる、または早く感じる
- 不安や雑念が少なく、気持ちが軽い
- 高い達成感が得られている
フロー状態は、自信にあふれ、ストレスを感じず、作業や課題に取り組むことで幸福感を覚えている時に発生するとされています。集中力を高めるためには、フロー状態に入りやすい環境を整えておくことが重要となります。
集中力を高めるための11の方法

1. マルチタスクを減らす
複数の作業を並行して進めるよりも、1つのことに取り組むようにした方が集中力を高められるかもしれません。人間が同時に集中できることの数には限りがあります。以下のような取り組みを通して、1つのことに集中できる環境を整えましょう。
- タスクを見える化する
- 視界に入るものを減らす
- メール返信のための時間をあらかじめ決めておく
- すべての通知をオフにする
- 不要なブラウザタブを閉じる
- 同時に複数のファイルを開かない
2.仕事に使うものを改善する
ホームオフィスなどの仕事をする環境が、集中力が続かない原因になっているケースが少なくありません。人間が視界から得る情報は非常に多いため、作業スペースには不要なものを置かないことが重要です。また仕事で利用するアイテムを改善することも、集中力を高めるうえで効果的です。ぜひ以下のアイテムを取り入れることを検討してみてください。
- ノイズキャンセリングヘッドホン
- 遮音マット
- 昇降式デスク
- ノートパソコンスタンド
- 外付けキーボード & マウス
- エルゴノミクスオフィスチェア
3. タスク管理でメリハリをつける
集中力を高めるには、優先順位や作業時間を明確にするタスク管理を取り入れることも有効です。在宅勤務で起こりがちな過度の労働や不十分なタスク管理は、集中力の低下や業務の遅延につながり、日々のストレスが増えることでメンタルヘルス不調を引き起こす可能性もあります。
また一日の中で作業ごとに明確な期限を設ければ、締め切り効果による集中力の向上も見込めます。ぜひタスク管理アプリを利用し、ワークライフバランスを保ちながら日々のスケジュールを最適化しましょう。
4. 478呼吸法を実践する
正しい呼吸法は、心を静め、集中力を高めるのに役立ちます。アメリカの統合医療の第一人者であるアンドリュー・ワイル博士は、集中力を高めるうえで以下のような478呼吸法を提唱しています。
- 楽な姿勢になる
- 鼻で息を吸う(4秒)
- 息を止める(7秒)
- 口から息を吐く(8秒)
- これを3~4セット行う
この呼吸法は、自律神経のバランスを整え、リラックスさせる効果があるとされています。また、脳に十分な酸素が供給されることで、思考力や判断力、記憶力の向上につながるでしょう。
5. マインドフルネスを実践する
マインドフルネスとは、今という瞬間や体験に注意を向けて、それをありのままに受け入れることを言います。今の自分の感覚・呼吸・動作に意識を向ける練習をすることで、不安や焦りなど、集中を妨げる感情・思考をコントロールできるようになります。ぜひ以下の方法を日常生活に取り入れ、集中力を高めてみてください。
- マインドフルネス瞑想
- マインドフルネスヨガ
- ボディスキャン瞑想
6.適度に仮眠・休憩をとる
5〜60分程度の仮眠や休憩をとることで、集中力や生産性をアップさせることができます。仮眠は脳が情報を整理する機会になり、記憶力や学習効果を強化するとも言われています。また、休憩をはさむことで疲労感が和らげば、エラーを防ぐことにつながります。ただしSNSの通知を確認しながらでは質の良い休息とは言えないため、ストレッチしたり音楽を聴いたりすることをおすすめします。休憩の取り方としては、以下のような方法を実践するといいでしょう。
- 仮眠:時間は15〜30分で設定し、15時までに済ませる。姿勢は座った状態で、アイマスクを着用して光を遮断する
- 休憩:時間管理ツールのポモドーロ機能を活用し、50分業務したら10分休憩するなどのタイムマネジメントを徹底する
7. ルーティンを取り入れる
日常生活の中に習慣的なルーティンを取り入れることは、やる気や集中力の向上につながります。意識的に気持ちを切り替えたり、リフレッシュするための時間・取り組みを日々の中で作るといいでしょう。集中力を高めるルーティンとしては、以下のようなものがあります。
- コーヒーや水を飲む
- 軽いストレッチや散歩で体を動かす
- 音楽を聴く
- 日記を書く
- 深呼吸や瞑想の時間を設ける
- 休憩時間にシャワーを浴びる
- 外に出て、自然に接する
- ガムを噛む
- アロマを焚く
8. ジャーナリングを行う
ジャーナリングとは、頭の中にある思考や感情を、紙やスマホに書き出すことで整理する方法のことです。特に手書きでのジャーナリングは、集中力の最大の敵であるスマホから物理的に離れられたり、書くという動作が脳をリセットしたりするメリットがあるため、おすすめです。ぜひ以下のポイントを意識して、実践してみてください。
- 文章力はなくて問題なし
- 感じたものをそのまま書くことを徹底する
- 自分のためだけに書く
9. 質の良い睡眠をとる
集中力を保つうえで、質の良い睡眠をとることも欠かせません。睡眠不足が続くと脳の疲労が蓄積して機能が低下し、自律神経やホルモンバランスが乱れ、注意散漫やワーキングメモリの低下を引き起こすリスクを高めます。厚生労働省の資料によると、働く世代は1日6時間以上を目安に十分な睡眠時間を確保することが推奨されています。また質の良い睡眠のためには、以下のような工夫を行うと良いでしょう。
- 光・温度・音といった寝室の環境を整える
- 日中に体を動かす
- カフェインや飲酒、喫煙を控える
- 朝食は抜かず、寝る直前の食事は控える
10. 運動習慣を設ける
運動することは、仕事の集中力を上げるうえで即効性があります。Stidy Geek(スタディギーク)で紹介されているジョージア大学の研究によると、20分程度の軽い運動後の3~4時間は集中力が高まることが分かりました。軽いストレッチや散歩・ジョギングなど負荷のかからない運動でも高い効果があるため、スキマ時間を活用して運動することもおすすめです。
11. 食生活を見直す
例えばジャンクフードなどを食べると血糖値が急上昇・急降下し、集中力が落ちやすくなります。食事を通して、適度な血糖値を維持することが集中力の維持・向上につながります。食べることで集中力アップに効果的と言われる食べ物は、例えば以下のようなものがあります。
- 炭水化物:適量であれば、体内で脳のエネルギー源であるブドウ糖に変化し、血糖値を維持する効果がある
- ナッツ類、ゆで卵:集中力アップに役立つレシチンが含まれている
- アボカド、ブルーベリー:脳の活性化に役立つビタミンやミネラルが豊富
- 納豆:脳機能を高めるグルタミン酸が豊富
まとめ
集中力は、生産性・判断力・創造性などを向上させ、仕事の成果を支える基盤です。しかし、生活習慣の乱れやスマホの通知、仕事環境などによって、集中力は容易に途切れてしまいます。こうした要因を取り除く工夫や、集中しやすい環境づくりを継続的に整えていくことが重要です。
本記事で紹介した方法は、いずれもすぐに実践できる内容です。自分で自分をマネジメントする起業家や在宅勤務を効率化したい方は特に、ライフスタイルや業務に合うもの、自身で実践しやすそうだと思ったものから取り入れてみてください。
よくある質問
集中力が欠如する原因は?
- 集中できない環境
- マルチタスク
- セルフケアができていないことによるメンタルの不調
- 低血糖
- 不健康な食生活
- 睡眠不足
- 仕事の目標が不明確
- 人間関係
- プライベートの問題を引きずっている
- 疲労がたまっている
集中力を高める最も効果的な方法は?
- マルチタスクを減らす
- 仕事に使うものを改善するす
- タスク管理でメリハリをつける
- 478呼吸法を実践する
- マインドフルネスを実践する
- 適度に仮眠・休憩をとる
- ルーティンを取り入れる
- ジャーナリングを行う
- 質の良い睡眠をとる
- 運動習慣を設ける
- 食生活を見直す
集中力に影響が出ない睡眠時間の目安は?
厚生労働省の資料によると、働く世代は6時間以上を目安に十分な睡眠時間を確保すべきと言われています。
集中力が高くなりやすい時間帯は?
朝が最も集中しやすい時間帯とされます。コルチゾールの影響で覚醒レベルが高く、脳の働きが活発なためです。
カフェインは集中力アップに効果がある?
カフェインには集中力アップ効果があります。脳内物質のアデノシンが持つ、眠気などを引き起こしたりドーパミンを抑制したりする作用を、カフェインを摂取することで阻害できるためです。ただし、カフェインの摂りすぎは睡眠の質を下げ、集中力を下げる要因にもなります。
文:Ryutaro Yamauchi





