Google広告を活用していますか?多くの企業はフェイスブックのようなSNSに自社商品を投稿して宣伝していますが、Google広告を十分に活用してはいません。商品やサービスを積極的に検索している人に向けて宣伝できる機会を、Google広告が提供しているにもかかわらずです。
Googleは幅広い広告ツールをあなたが使えるように用意しています。また、GoogleとYouTubeという世界最大の検索エンジン利用ユーザーへのアクセスと、数百万のWEBサイトのネットワークに向けた広告を可能にしてくれます。
しかし残念ながら、Google広告には複雑なインターフェースがあり、学習にも時間がかかります。そして、自分がやっていることをきちんと理解していないと、ターゲットを広げすぎたまま、利益につながらない出費を続けることになります。
とはいえ、誰もが、どこかをスタート地点にする必要があります。自分でGoogle広告を運用するにしろ、専門家に頼むにしろ、必要な用語をまずは理解するところから始めるのが一番良いと思います。そして、どんなタイプの広告やキャンペーンがあって、現実的に何を期待したらいいのかを知ることで、このプラットフォームがあなたに何をもたらしてくるのかを正確に理解できるはずです。
目次
- Google広告とは?
- なぜGoogle広告を使うのか。Google広告の種類
- Google広告のメリット
- Google広告のデメリット
- Google広告アカウントの作り方
- Google広告へのログイン方法
- Google広告の用語とコンセプト
- このガイドブックの使い方
- Google広告を完全攻略:14タイプのキャンペーン
- 予算編成について:常時キャンペーンとテストキャンペーンの違い
- Google広告の管理者を雇うときの注意点
- 結論
Google広告とは?
Google広告とは、世界最大級の検索エンジンGoogleが提供するインターネット広告全般をさします。一口にGoogle広告と言っても検索連動型の「リスティング広告」やYouTube上の動画広告など多岐にわたります。多くのオーディエンスにリーチできる可能性があるのと、広告代理店を介さずに運用することもできるため、小予算でも、比較的すぐに始められるメリットがあります。
なぜGoogle広告を使うのか。Google広告の種類
Google広告は、ほかの有料広告プラットフォームと多くの点で共通しています。あなたができることは、こちらです。
- 500円でも始められるフレキシブルな予算設定
- クリックごとの課金(だいたいの場合)なので、だれかがあなたのサイトを訪問したときだけ請求が発生します
- 支出のオンオフが自由に切り替えられます
- 施策の効果に関するフィードバックを素早く計測できます
- 特定の行動、あなたのウェブサイトやブランドとの関わり方(どんなページを見たか、カートの放棄があったかなど)、デモグラフィクス、興味、またはその他の特性などに基づき、特定のオーディエンスをターゲットにできます
- とてつもない規模のキャンペーンの達成
しかし、Google広告がとくに魅力的なのは、5つの異なる方法で消費者にアプローチできることです。1つめは、Googleの基本であり、ほかのフェイスブックなどのプラットフォームでは得られないもの…検索広告です。
1. リスティング広告
消費者が検索エンジンを使うときは、SNSとは違って、特定の目的をもっていることが一般的です。回答を検索したり、抱えている問題の解決策を得たり、何らかの商品やサービスを見つけたり。だからこそGoogleは、さまざまなビジネスにとってパワフルなマーケティングチャネルになっているのです。
特定クエリの1ヶ月の平均検索ボリュームや、ペイパークリックの推定予算額、またはGoogleがすぐ提供してくれるその他のデータなどに基づき、Google広告の掲載方法を変更することができます。特定クエリの検索結果に対して直接あなたの商品やサービスを宣伝する検索広告を掲載したり、さらにユーザーを特定の地域に合わせて絞り込むことも可能です。
あなたが植物由来のプロテインパウダーを販売しているとしましょう。毎月20万人以上が「プロテインパウダー」をGoogleで検索していますが、「ヴィーガン プロテインパウダー」となると、はるかに少ない検索ボリュームになります。Googleでは、このどちらのフレーズも入札(詳細は後述)可能ですが、より絞り込まれた特定の検索ワードのほうが、あなたの商品との関連性が強まるため、コンバージョンにつながりやすくなります。
あなたはテキスト広告もしくはショッピング広告を作成することができます。テキスト広告は、ボックスで囲まれた「広告」の文字と共に検索結果に表示されるものです。ショッピング広告は、商品写真や価格や評価など、購入に関する主要情報を表示させるもので、Eコマースブランドにとって最適なものといえます。テキスト広告とショッピング広告については、あとで詳しく見ていきます。
2. ディスプレイ広告(Googleディスプレイネットワーク)
また、Googleディスプレイネットワーク(いわゆるGDN)によって潜在顧客へアプローチすることもできます。
ディスプレイ広告は、Googleエンジンの検索結果と関係のない人にもアプローチできる選択肢です。これは、ユーザーがWEBサイトを閲覧したり、アプリを使ったり、動画を見たりする際に現れる、テキストや画像、動画のバナーです。
多くの広告主はディスプレイ広告といえばフェイスブックに向かいがちですが、Googleも成功が見込める選択肢といえます。
Googleによるディスプレイネットワークは、全世界のインターネットユーザーの90%にリーチし、広告スペースの数は200万以上のWEBサイトと65,000以上のアプリに及びます。ニュースサイトをどれか見てみれば、トップやサイドバー、あるいはコンテンツの全体にわたって、Googleディスプレイ広告を見つけることができるでしょう。
3. 動画広告(YouTube広告)
Google広告のプラットフォームを利用すると、Googleが所有しているYouTubeにも広告が掲載できます。技術的には、YouTubeはGoogleの広告ネットワークを構成する1サイトに過ぎないのですが、しかしYouTube単体でも、Googleとフェイスブックに次いで世界第3位のビジター数を誇ります。1日で10億時間以上の動画がユーザーによってYouTubeで再生されています。これは、潜在的な顧客を引きつける多大なチャンスを生み出します。
皆さんもYouTubeの動画が始まる前に流れる広告になじみがあるでしょう。ほかにもバナーやオーバーレイといったオプションがあります。
このように、Googleには多彩なタイプの広告が用意されています。しかし、テキストなのか画像なのか動画なのかを選ぶ前に、あなたは広告がどこに表示され、だれが見ることになるのかを理解しておかなくてはなりません。
さらに、Google広告にはアプリキャンペーンとショッピング広告もあります。
オークションの仕組み
Google広告として利用可能なキャンペーンの多くは、オークションシステムによって運営されています。広告主は、検索結果ページのポジションやランキングを得るために、クリックに対して(通常は)入札をして競い合います。
入札額とキーワードの設定によって、ほかの入札者に対するあなたの順位が決まります。ただし、最高額の入札者が一番いいポジションを得るとは限りません。ここでは関連性も重要なファクターとなるのです。
Googleはユーザーにとって有益で関連性の高い広告を表示したいと考えており、あなたはあなたのビジネスや売っている商品に関連したワードを検索するユーザーに対して広告を表示したいと考えているはずです。そこでGoogleは、あなたの広告コピーやフォーマットとあなたが買ったキーワードとの関連性、ビジターを送り出す先のWEBサイトなど、さまざまなファクターによって広告ランクを割り当てます。
広告主の側からすると、あなたのビジネスと購入したキーワードの関係性が強いほど、また広告メッセージとユーザーが検索するワードや遷移先のページの関連性が高いほど、トラフィックとランクを得るためにかかる費用は安くなるのです。
Google広告のメリット
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圧倒的リーチとターゲティング
周知の通り、Googleは最大級の検索エンジンですし、YouTubeの普及度も高いため、インターネットを使っているユーザーの多くにリーチできる可能性があります。また、ユーザー数のパイが大きいので、多彩な属性ターゲティングも可能になります。 -
ワンストップで運用
上述の通り、検索エンジンの他にもYouTubeも運営しているため、1つのアカウントで、ワンストップで運用でき、効率が良いです。 -
少額から始められる
広告というと代理店に数百万円を支払うイメージがありますが、Google広告なら数千円からでも掲載可能です。代理店を介す必要はありませんので、小規模のビジネスにも向いています。
Google広告のデメリット
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競合が多い
メリットと相反しますが、少額で始められ参入障壁が低いため、同じことを考えているライバルが多く存在します。必ずしも同業他社とは限りません。気軽に始められるので、例えば、あなたが掲載したいと狙っているキーワードをすでに買い占めている可能性もあり、すなわち広告単価が高価になってしまうかもしれません。 -
特にYouTubeではリスクがつきまとう
昨今のUGM(ユーザー作成コンテンツ)の人気で様々な動画が公開されています。万が一、炎上している最中の動画に広告が掲載されてしまったら...。企業イメージを損なう恐れもあるでしょう。UGMの諸刃の刃です。
Google広告アカウントの作り方
Google広告を掲載するにはアカウントが必要です。アカウントを作成するには、宣伝するビジネス(お店やサービス)のメールアドレスとウェブサイトが必要になります。ウェブサイトをお持ちでなくても、スマート アシスト キャンペーンを使用すれば、そのまま Google で広告を掲載できます(新規のご利用の場合、スマート アシスト キャンペーンがデフォルトの Google 広告サービスとなります)。
詳しくはこちら
Google広告へのログイン方法
Google 広告にログインするには、
- Google 広告のホームページを開きます。
- ページの右上にある [ログイン] リンクをクリックします。
- [メール] 欄に Google アカウントのメールアドレス、予備のメールアドレス、または Gmail のユーザー名を入力します。
- [パスワード] 欄にパスワードを入力します。
- [ログイン] をクリックします。
Google広告の世界に頭から飛び込む前に(またはマーケティングのプロを雇う前に)、理解しておくべき主要コンセプトとキャンペーンタイプを見ておきましょう。
Google広告の用語とコンセプト
有料広告マーケティング(とくにGoogle広告)の世界には、独自の用語やコンセプトが存在します。わからない用語が出てきたときに参照できる用語集をこちらに用意しました。
有料広告に関する基礎用語
- インプレッション:広告が閲覧された回数。
- コスト:有料広告に費やされるキャンペーン費用の総額。
- クリック数:ユーザーによって広告がクリックされた回数。
- コンバージョン:あなたがトラッキングしている特定の目標(売上、価値の高いページの閲覧数、メール登録数などが当てはまります)。
- CPM:広告が1,000回閲覧されるまでにかかる広告主のコスト。
- CPC(クリック単価):広告購入者のクリックごとのコスト。競合、業界、オーディエンスの関連性などに応じて、CPCは数円から数万円にまでなり得ます。
- CPC(コンバージョン単価):購入単価、注文数、顧客獲得数、またはその他のコンバージョン目標ごとのコスト。
- CTR(クリック率):総インプレッション数のうち広告をクリックしたユーザーの割合。この数値が、Google検索オークションにおいて関連性を測るもっとも重要なシグナルとなります。
- コンバージョン率:コンバージョン数をクリック数で割った数値。パーセンテージで表されます。
- 予算:広告キャンペーンにあてられた額の合計。
- 収入:広告によって生み出された額の合計。
- 利益:広告によって生み出された額から広告費用や商品費用などを差し引いた額の合計。
- ROAS(広告費用対効果):収入を広告費用で割った数値で、広告に対する収益を測るもの。たとえば、100円使うごとに500円の収入になる場合のROASは、5:1となります。
- AOV(平均注文額):顧客がサイトで使った額の平均。AOVは注文総額を注文数で割って算出されます。
- CLV(顧客生涯価値):未来の購入も含めた顧客1人あたりの予測される総価値(しばしばLTVとも呼ばれる)。企業と顧客との総体的な関連性を示すもの。
Google広告で使われる用語と概念
- キャンペーン:キャンペーンには、1つ以上の広告グループに対して、トラフィックやコンバージョンといった1つの広告目的が含まれます。キャンペーン単位で予算が決められ、キャンペーンに含まれる特定の事柄が(善かれ悪しかれ)異なるパフォーマンスをすることが予測されるなら、それは別のキャンペーンにするべきという良い兆候といえるでしょう。
- 広告グループ:1つの広告グループには、1つ以上の広告とターゲットが含まれます。適切に設定された広告グループには、ターゲットにマッチしたユニークな広告メッセージのセットが含まれます。
- 広告:ユーザーが目にするテキスト、画像、ビデオなどの制作物。
- キーワード:ユーザーが検索エンジンに入力するフレーズや単語。
- キーワードマッチタイプ:キーワードマッチタイプには、広告を表示させるために選択したキーワード(類義語、関連検索など)の精度や範囲をコントロールすることが含まれます。
- 除外キーワード:特定の単語やフレーズに対して広告を表示させたくない場合は、除外キーワードリストに追加します。似ているけれど関係のないワードを外すときに効果的です(例:「アップルサイダー」とAppleブランド)。
- 品質スコア:検索ワードやターゲットオーディエンスと広告との関連性を示すものです。一般に、品質スコアが高くなるほど、クリック単価が安くなり、ランクも上がりやすくなります。
このガイドブックの使い方
Googleを通じて可能となるキャンペーンについて、知っておくべきことを噛み砕いて説明していきますので、どんな目標をもって何を期待すればいいのかを理解していきましょう。
また、トレードオフやその他の依存関係を考慮すべきということを、つねに意識しておいてください。たとえば、あるキャンペーンはセグメンテーションを犠牲にします(さまざまなオーディエンスをまとめてしまい、特定のハイパフォーマンスなグループを特定することが困難になります)が、自分で設定したり、アプリの利用やShopifyと連携することが簡単になります。
また、ほかのタイプのキャンペーンは、競争の激しい特定のオーディエンスやキーワードの場合とくにそうなのですが、マニュアル設定や継続的な最適化が要求されるために、うまく実行するのがむずかしいかもしれません。こうしたキャンペーンは、技術的な専門知識や時間と資金を必要とします。
こうした理由から、ここで示される範囲や見積もりは、あくまでガイドラインとして役に立つ程度を前提としています。あなたの実際のクリック単価や期待できる利益は、WEBサイトのコンバージョン能力、平均注文額、キーワードやオーディエンスの規模、などの要因によって変化します。
各キャンペーンについては、次のような項目に沿って概説していきます。
- ゴール:このキャンペーンがどうやって、どのようなことを達成するのか?という点に着目します。リピーターを増やすことに集中して売上を伸ばしたいのか、既存客あるいは新規顧客を対象に売りたいのか、特定のターゲット層に認知を広めたいのか、というようなことです。
- オーディエンスの関連度:あなたのビジネスや商品は、特定の検索ワードやオーディエンスと関連する場合もあれば、関連しない場合もあるでしょう。一般的には、あなたの商品やサービスがターゲティングのメソッドと関連性が高いほど、コストは安くなり、トラフィックや売上が向上する傾向にあります。
- 推定クリック単価:これは、見込みのある顧客に対してあなたが払う費用の概算値で、業界によって異なります。クリックが発生するたびに費用が生じ、その価値を最大限活かすには継続的な最適化が必要ということを覚えておいてください。
- KPI:キャンペーンのゴールを設定し、効果を測定するために使用できる計測可能な数値は何でしょうか? 通常わたしたちはキャンペーンによって売上が増えることを望んでいますが、たいていのビジターは最初の訪問時にはコンバージョンに至らないことがほとんどです。そこで、ダイレクトセールスやROASと比較すると、認知の向上や検討の創出をねらいとしたキャンペーンの場合、トラフィックやインプレッションといったKPIが重要になってくるのです。
- ROASの期待値:ある1つのキャンペーンは、ほかのキャンペーンと比較して、現実的にどんな費用対効果を期待できるのでしょうか? これはある程度のレンジ(例、0:1〜5:1)として表現され、戦術に優先順位をつけるためのガイドライン的な役割にとどまります。実際のROASに影響を及ぼす要因はたくさんあります。
- スケーラビリティ:あるキャンペーンでは、あなたのブランドの商品を検索しているユーザーや、既にあなたのサイトを訪れたことのあるユーザーをターゲットとします。別のキャンペーンでは、特定のカテゴリーや商品に関する検索履歴や一般的な関心に基づいてユーザーをターゲティングするでしょう。それぞれのキャンペーンには異なる限界値やスケーラビリティがあります(その限度内において、投資すればするほど結果が得られるということも想定できます)。
- おすすめ対象:この戦術がもっとも効果を発揮するのは、どんなビジネスで、いつどんなときなのか?を解説します。わたしたちは事業者のタイプ別におすすめを試みますが、上記の基準をもとにして、あなたのビジネスに適した選択をぜひしてください。
- 難易度:いくつかの要因から、キャンペーンの実行がどれだけ容易あるいは困難かを示します。簡単に準備できるキャンペーンもあれば、専門知識や継続的な管理を必要とするキャンペーンもあります。
これらのガイドラインは、あなたの目標とターゲット層を念頭においたうえで、参照するようにしましょう。たとえば、あなたの目標が新規顧客の拡大なら、あなたのビジネスがリピーター購入を生み出す状況にある場合はとくに、キャンペーンが損益なしという結果でも受け入れられるでしょう。
すべての企業がすべてのキャンペーンを活用できるわけではなく、いくつかの競争の激しいキャンペーンにおいては、人的リソースや時間が要求されます。また最初のうちはとくに、高額になることも考えられます。
メモ:Yahoo!やBingでもGoogleと同じような機能をもっているため、下記のキャンペーンの多くは、それらのプラットフォームでも適用可能です。
Google広告を完全攻略:14タイプのキャンペーン
1 ブランド検索
- ゴール:積極的にあなたのブランドを検索しているユーザーの獲得。
- オーディエンスの関連度:高い(彼らはあなたのことを検索しているので)。
- 推定クリック単価:低(〜25円〜300円)。
- KPI:利益率、注文数。
- ROASの期待値:高(3:1〜30:1)。検索者はまさにあなたのブランドを探しています。
- スケーラビリティ:あなたのブランドの基盤や評判に左右されます。また、検索人数によっても異なりますが、あなたを検索する人の数は、ブランド認知を高めるほかのマーケティング施策によって上げることもできます。
- おすすめ対象:規模や業界に関係なくすべてのビジネスは、特定のブランドに対する検索意図がある場所でなら、売上を伸ばすことができるでしょう。リソースが限られている場合は、このキャンペーンを優先してください。
ブランドキーワードには、ブランドや商品の正確な名称が含まれます。たとえば「Apple phone」や「iPhone」は、Appleのブランドキーワードです。
あなたは、自分のブランド名を入札したいとは思わないかもしれません。とくに、オーガニック検索でもトップ表示されているような場合はとくにそうでしょう。しかし、そうすることによって、特定の情報をプロモーションすることができ(広告表示オプションを使用)、ユーザーを特定のランディングページに誘導することができます。また、競合があなたのブランド名や関連するブランドキーワードに入札するのを防ぐこともできます。
一般的にブランド検索のクリック単価は、ほかのキャンペーンと比べて安くなる傾向にあります。なぜなら、検索ユーザーにとって、あなたのURLと広告には高い関連性があるからです。同時に、似ているけれど関係のないキーワードにあなたの広告が表示されないよう慎重を期しましょう。iPhoneを売りたいAppleを例とするなら、「apple picking」や「apple cider」は関係ないですし、「iPhoneのアップデート方法」すらも除外していいでしょう。こうして適切なキーワードをマッチさせ、除外キーワードを含めることで、ターゲトを絞り込んでいきます。
ブランド検索から生まれる売上の上限は、実際にあなたを検索している人数によって決まるので、ブランド検索はブランド認知キャンペーンを補完することにもなります。たとえばポップアップショップやフェイスブックのバイラルビデオは、あなたのブランド名検索の上昇につながります。
難易度:検索エンジンマーケティングに慣れていない場合は、このタイプのキャンペーンを実行するのはむずかしいかもしれません。代理店もしくは社内の専任リソースが求められます。しかし、ブランド検索は管理に人手がかかるわけではないので、可能であれば優先しましょう。
2 非ブランド検索(一般)
- ゴール:質の高い、意図ベースのトラフィックと、潜在的な新規顧客の獲得。対象とするのは、あなたの商品を買う可能性はあるが、あなたのブランドを知らない人。
- オーディエンスの関連度:低〜中。
- 推定クリック単価:中〜高(100円〜2000円)。
- KPI:新規顧客数、収益、トラフィック、注文数。
- ROASの期待値:中(0:1〜3:1、競合やプロダクトマーケットフィットの度合いなどによる)
- スケーラビリティ:大きくなる可能性あり。検索ボリュームや単語のタイプにもよる。
- おすすめ対象:すべての人。ただし、このリストにあるほかのもっと利益率の高いキャンペーンのほうが優先度は高い。売上と新規顧客の拡大を目的としているブランドにとっては、この一般非ブランド検索は最優先事項となります。
ノンブランド検索キャンペーンは、名前が示すとおり、あなたのブランドや商品名を含まないキーワードを対象としています。ユーザーとあなたのとの関連性が低いため、とくに一般的なキーワードの場合は、コストは高くなりがちです(例:「まくら 購入」と「オーガニック 羽毛 まくら 東京」の違い)。
このキャンペーンのゴールは、できるだけ効率的に新規ビジターと新規顧客をあなたのサイトに呼び込むことです。しかし同時に、これらのキャンペーンは広告主にとってポジティブなROASと大規模にスケールする可能性も秘めています。
お客さまの本当の価値は、初回の購入ではなく、この先も継続してあなたのブランドを購入してくれるという点にあります。このことを忘れないでください。
難易度:ほかの検索タイプのキャンペーン同様、こちらも実行がむずかしい場合があります。このキャンペーンは、ランディングページとクリエイティブのテストや管理のために人的リソースが必要で、結果を出すための出費も多くなります。このキャンペーンが正しく管理されるためには、ヘルプを雇うのがベストといえます。
3 非ブランド検索(ニッチ)
- ゴール:あなたのニッチ商品とマッチするオーディエンスから新規顧客を獲得する。
- オーディエンスの関連度:中程度〜高。(オーディエンスのニッチ度が高く、あなたの商品がそのニッチに合っていればいるほど、あなたとオーディエンスの関連度は高くなります。)
- 推定クリック単価:中〜高(100円〜2000円、競合やほかの広告主にとっての顧客/注文価値による)。
- KPI: 新規顧客数、収益、トラフィック、注文数。
- ROASの期待値: 中(0:1〜5:1)。
- スケーラビリティ:どれくらいの人がそのワードを検索しているかによって異なりますが、より広範なノンブランド検索と比較した場合はとくに、少ないオーディエンスであることが普通です。
- おすすめ対象:ニッチ商品や、ノンブランドカテゴリーに属するニッチ市場をターゲットとした商品(「ヴィーガン デオドラント」「中古 NFL 記念品」など)を扱う事業者。
このキャンペーンは、一般的な非ブランド検索と比べると競争が少なくなります。検索が詳細なので、結果として、検索者の意図とあなたのブランドがマッチした場合に関連性が高くなるからです。
もしあなたのビジネスや商品がニッチ市場にフィットしているなら、このキャンペーンは追究する価値があります。ニッチ市場は、Google広告とは関係ない場面であっても、ブランドがトラフィックを得るのを容易にしてくれますし、ポジティブなROIをもたらす潜在性があります。なぜなら、すでに特定されているオーディエンスを見つけてフォーカスすることが楽にできるからです。
ニッチなノンブランド検索は、よく一般のノンブランド検索とひとまとめにされることがあります。しかし上述した理由により、トラフィックは分けたほうが合理的ですし、別々のキャンペーンとして議論されるべきです。
サードパーティ製品を扱っているなら、関連する特定のブランドキーワードを入札することで、このキャンペーンタイプを活用することもできます。これらのキーワードを購入した場合、商品が載っているランディングページに直接リンクする限りにおいて、広告制作物にブランド名称を使用することが可能です。
難易度:ほかの検索キャンペーン同様、着手するのは簡単ではなく、準備と管理にそれなりのリソースが要求されます。あなたがキーワードマッチタイプや検索キャンペーン、広告、ランディングページの最適化を理解していない場合は、できる専門家を雇うことをおすすめします(これについては後述します)。
4 競合検索
- ゴール:競合の名前を検索している人たちに対して商品をアピールすることで、あなたのブランドと商品を知らない人々を新規顧客として獲得する。
- オーディエンスの関連度:低(ユーザーはあなたのブランドではなく競合を検索しているので)。
- 推定クリック単価:中〜高(100円〜2000円)。
- KPI:トラフィック、新規顧客数、注文数、ROI。
- ROASの期待値:中程度(0:1〜3:1、競合やさらにまた別の競合によるブランドキーワードの入札度合いによります)。
- スケーラビリティ:競合ブランドの規模や、検索ユーザーの数、別のキャンペーンによる認知の広まりなどによって変わってきます。
- おすすめ対象:すでに利益の出ているキャンペーンを運用していて新規顧客の獲得に意欲をもっている事業者。または、LTVの高い事業者や、多様な新規顧客キャンペーンをテストしている事業者。
競合検索キャンペーンは、裏を返せばブランド検索です。自分のブランド名や商品名を入札する代わりに、競合のブランドキーワードに入札しているわけですね。
直接競合する相手から大きくトラフィックを盗み取ることは賢明な戦略に見えますが、相対的に高くつくことにもなり得ます。なぜなら検索ユーザーにとって、あなたという競合の情報は、関連性が高いとはいえないからです。
概して、この戦略は高価なコストを払ってでも生涯価値が高い顧客や平均注文額が高い顧客を獲得したいというブランドによって採用されています。そうでなければ、ほとんど成功は見込めないでしょう。
ブランドが自分のトラフィックを購入しておらず、または既存顧客の間にあまりブランドロイヤルティが見られず、そしてあなたの商品が他社と同等かそれ以上の代替品となるのなら、これはあなたにとって利益率の高いキャンペーンになるかもしれません。
(自社のブランドキーワードを購入することを強くおすすめしたい理由の1つは、競合からのこうした攻撃を防ぐためです。)
メモ:競合のブランドキーワードを購入する場合は、広告にダイナミックキーワード挿入機能を使うべきではなく、またトラフィック先のページで彼らの商品を売っていない限り、彼らの名前を広告で使用することはできません。
難易度:ほかの検索キャンペーンと同様、実行は簡単ではなく、また高額になる可能性もあります。管理のための専任リソースが必要になるでしょう。
5 ショッピング広告(ブランド)
- ゴール: あなたの商品や商品カテゴリーを、ブランドキーワードを使って検索している人を獲得する。
- オーディエンスの関連度: 高(あなたのことを検索しているので)。
- 推定クリック単価: 低(〜25円〜300円)。
- KPI: ROAS、注文数。
- ROASの期待値: 高い(3:1〜30:1)。
- スケーラビリティ: あなたのブランドや商品を検索する人の数によって異なる。
- おすすめ対象: ブランド認知を得ている物理的な商品を販売している企業、グーグル広告のこうしたキャンペーンの調整に慣れている企業。
Googleショッピングは、一般的に優れたユーザーエクスペリエンスを買い物客にもたらします。ユーザーがある商品を検索すると、Googleは、関連すると思われる商品画像、価格、商品レビューを表示します。ユーザーがその広告をクリックすると、商品ページへダイレクトにアクセスできます。
Eコマースにおける新規顧客の獲得という点では、最優先で試すべきキャンペーンといえます。
あなたのブランドを検索しているユーザーはもっともコンバージョンに結びつきやすいので、ブランドショッピング広告を個別のキャンペーンとして設定できる場合は、このトラフィックを最大化して予算を効率的に使うことが可能になります。そうでない場合、ショッピング広告はブランドと非ブランドのトラフィックを両方含むのがデフォルトとなります。
セグメント戦略を用いないと、ブランドトラフィックよりも非ブランドトラフィックのほうが多いのが通常で、あなたの予算の大部分は、コンバージョンする可能性のより低い非ブランドのキーワードに費やされることになるでしょう。ですから、もし可能なのであれば(そして活用できるトラフィックをもっているなら)、ブランドトラフィックを個別のショッピング広告に振り分けることは価値があります。
難易度: ショッピング広告は、検索広告と比べると設定が簡単です。Googleが使用できる実用的な商品フィードを作成するには、Googleショッピング広告のShopifyアプリを使用するか、マニュアルでMerchant Centerから設定できます。あなたは、ブランドと非ブランドでトラフィックを分けた個別のキャンペーンを設定し、除外キーワードを適用し、ブランド検索トラフィックを分離するために特定のクエリから広告を外すようキーワードに優先順位を付ける必要があります。
6 ショッピング広告(非ブランド)
- ゴール: あなたが売っているタイプの商品を検索しているが、あなたのブランドである必要はないという人たちの獲得。
- オーディエンスの関連度: 低〜中(彼らはあなたの扱う商品カテゴリーを検索しているものの、あなたの商品である必要がありません)。
- 推定クリック単価: 中(25円〜2000円)。
- KPI: 新規顧客数、収益、トラフィック。
- ROASの期待値: 中程度(0:1〜5:1)。
- スケーラビリティ: 通常、高いですが、あなたの商品や商品カテゴリーを検索する人の数によります。
- ・おすすめ対象: 物理的な商品を売っているほとんどの企業。ただし、特定の新規顧客や成長や収益の目標があるわけでないなら、ほかの利益率の高いキャンペーンより優先させることはありません。
上述したブランドショッピング広告同様、非ブランドのショッピング広告を個別に作成することができます。
非ブランドショッピング広告は、非ブランド検索広告に似た働きをします。予算があるなら、Eコマース企業にとっていつでも試す価値のあるキャンペーンです。
ブランド商品といえるものをあなたがもっていないなら、通常のショッピング広告が本質的には非ブランドショッピング広告となります。
難易度: ブランドと非ブランドを分けるのは少し労力が要りますが、一度済んでしまえば、個別の非ブランドショッピング広告を運用できるため予算の振り分けが可能になります。
7 リターゲティング(テキスト、バナー、動画)
- ゴール: 以前あなたのサイトを訪れたことのある人、特定のカテゴリーページを閲覧した人、カートに商品を入れた人、すでに購入履歴のある人など、潜在購買層への宣伝。
- オーディエンスの関連度: 高(少なくともあなたのサイトを訪れているので)。
- 推定クリック単価: 低(〜25円〜300円)。
- KPI: ROAS、注文数。
- ROASの期待値: 高い(3:1〜30:1)。
- スケーラビリティ: サイトトラフィックや、あなたがターゲティングしたい行動に熱心なオーディエンスのサイズによります。
- おすすめ対象: すべての企業、とくにサイトトラフィックがあるにもかかわらずリターゲティングをしていない企業。
トラフィックを得ることは、ビジターに購入者になってもらうための第一歩ではありますが、たいていの訪問者は最初からいきなり購入をしたり、個人の情報を与えてくれたりはしません。ほとんどの業界でコンバージョン率2%が標準だとすると、98%のトラフィックは、少なくとも初回の訪問では、購入には至らないわけです。
リターゲティングは、こうした人々に対してサイトの外で継続的にリーチすることを、ほぼ低いコストで可能にし、彼らを多様かつ明確なメッセージによってあなたのサイトへ連れ戻します。
リターゲティングは、初回のビジターをリピートビジターに変え、最終的には初回購入者へと導くための、強力な機能です。また、既存顧客に働きかけてリピート購入を生み出すことも可能にします。たとえば、すでにあなたのサイトを訪れたことのある人に対してYouTubeビデオでリターゲティングの広告を見せることができます。これは強いセカンドインプレッションをもたらし、ほかの戦略と組み合わせることでより強力に機能します。
上述したほかのディスプレイ広告とは異なり、広告がどこに表示されるかはあまり重要にはなりません。どのサイトに広告が現れてもあなたのブランドを認識できる人をターゲットとしているからです。
リターゲティングの効果を最大化するには、直近のサイト訪問者、商品ページの閲覧者、カート放棄者というように、追加のユーザーセグメントが色々と要求されることにもなります。「過去30日以内にサイトを訪問したことのある人」というターゲティングだけでは、購入意志のまったくない人たちにリーチすることになりかねません。
非ブランド検索において考慮すべきワードが多岐にわたるのと同じように、過去24時間以内に特定の商品ページを見てアイテムをカートに入れた人と、40日前にあなたのサイトを訪れた人との間には大きな差異があります。あなたが期待すべきものは文脈によって変わってくるのです。
難易度:このタイプのキャンペーンは、除外オーディエンスの作成と、広告およびターゲティングをGoogle広告で設定する方法を知っていれば、それほどむずかしくはありません。しかし、リターゲティングの目的が、過去の訪問者を顧客に変える採算性の高いメカニズムの構築である以上、管理のための専任リソースをおきたいところです。また、YouTubeの動画広告を使ってリターゲティングをおこないたいなら、自分のYouTubeチャンネルを開設して動画をアップロードしておく必要があります。
8 ディスプレイ広告(トピック、関心)
- ゴール: ディスプレイ広告ネットワーク上にある、特定のトピックや関心カテゴリーに関連するサイトに広告を表示させることで、あなたの商品やサービスの認知を拡大させる。
- オーディエンスの関連度:関心やトピックのテーマの内容、あなたの商品やメッセージとの関連度合いによって変わります。
- 推定クリック単価:低〜中(〜25円〜300円)。
- KPI:インプレッション、クリック数、一般ブランド認知、マイクロコンバージョン(メール登録数、ページビュー、滞在時間、実店舗がある場合は訪問の有無)、注文数。
- ROASの期待値:低(0:1〜2:1)。
- スケーラビリティ:通常は高い。ただし、ターゲットとしたいカテゴリーや、ディスプレイネットワークに準拠するサイトの数やユーザー数にもよります。
- おすすめ対象:認知拡大のために特定のユーザーセグメントに対して商品やサービスを紹介したい企業、またはターゲットのデモグラフィクスやマーケットにフィットする最適なトピック・関心をすでに発見している企業。
ディスプレイ広告は、検索エンジンの結果に関係なく、200万以上のサイトに向けてリーチすることが可能な選択肢です。ユーザーがネットサーフィンやアプリ利用、動画視聴をする際に、テキスト、画像、ビデオバナーなどによって広告を表示します。
ここでは多数のオプションを自由に選択できますが、その大部分は、車・旅行・ホーム&ガーデンなどのあらゆるトピックと関心に基づいています。
トピックベースのターゲティングによって、あなたの広告はそのカテゴリーに属するディスプレイ広告ネットワークのサイトに表示されることになります。関心ベースのターゲティングの場合は、ディスプレイ広告ネットワークでそれらの関心事を検索したユーザーに対してあなたの広告が表示されます。
このタイプのキャンペーンをフェイスブックで運用することを検討しているなら、広告予算の一部をGoogleのほうに回すのも妥当だと思われます。
難易度:ディスプレイ広告の設定は比較的単純ですが、効率性を最適化するためには、特定のキーワードやプレースメントを避ける(除外キーワードや除外プレースメントを使用する)ことも必要になってきます。
9 ディスプレイ広告(コンテンツターゲット)
- ゴール: ディスプレイネットワーク上の、グループ化したキーワードに基づくテーマを含んだWEBページに広告を表示し、商品やサービスの認知を拡大すると同時に、潜在的な売上の向上を図る。
- オーディエンスの関連度:ターゲットとするキーワードテーマや、サイトのトピック/ユーザーとあなたの商品やメッセージとの関連性などによって変化します。
- 推定クリック単価:低(〜25円〜300円)。
- KPI:インプレッション、クリック数、ブランド認知度、マイクロコンバージョン(メール登録数、ページビュー、滞在時間、実店舗がある場合は訪問の有無)、注文数。
- ROASの期待値:低(0:1〜2:1)。
- スケーラビリティ:一般的にとても高いですが、キーワードやそのキーワードに関するコンテンツがネットワーク上にどれくらいあるかによって変わってきます。
- おすすめ対象:ブランドにとって関連性の高い検索をしている人たちの前に商品を表示できるため、たいていの企業はこれを最初にテストすべきキャンペーンだと考えると思います。しかしこのタイプのキャンペーンは、ほかの関心ベースのキャンペーンを成功させていない企業や、LTVがとても低い企業、もしくはブランド認知や新規顧客の拡大にそれほど乗り気でない企業にとっては、不向きなものといえます。
このディスプレイ広告は、あなたが決めたキーワードを含むコンテンツをもつWEBページに広告を表示することで、より細かな対応を可能にします。ブランドキーワードやあなたのビジネスに関係あるキーワードを含んだコンテンツをターゲットにするために、このキャンペーンを用いることができます。
ユーザーがオンラインで過ごす時間の大半は、Google検索ではなく、コンテンツを消費して楽しむことに使われています。それゆえ、あなたの商品やサービスと関係のあるコンテンツを見ているユーザーに広告を表示することは、つねに成功の見込みがあるテスト手法といえます。高い関心ベースの検索キャンペーンよりもこちらを優先させる必要はありませんが、広告(画像、テキスト、動画など)を潜在的なユーザーに対してクリックなしで見せられることは、非常にすぐれた機会創出になります。
この方法は、ディスプレイ広告を始めにあたってとても良い方法だと考えられています。なぜならGoogleはあなたにニッチなサイトを見せてくれるので、オーディエンスに対するダイレクトなターゲティングが可能になるからです。
メモ:あなたはコンテンツキャンペーンやディスプレイ広ネットワークを、ほかの検索キャンペーンの一環として利用することができますが、わたしたちが常々アドバイスしているのは、検索キャンペーンの際にはディスプレイ広告をオフにして、ディスプレイキャンペーンのときには検索をオフにすることです。それぞれの機能の仕方が違うため、予算も分けて個別に運用し、費やす労力とコストをコントロールできるようにすべきだからです。
難易度:通常は、いくつかの関連キーワードをグループ化してGoogleの広告を設定する方法がわかっていれば、このキャンペーンを始められます。アプリがあるわけでも、自動で設定してくれるような統合機能があるわけでもないですが、検索広告ほどむずかしくはないでしょう。
10 ディスプレイ広告(手動プレースメント)
- ゴール:特定のウェブサイトの広告スペースを使って、そのサイトに集う特定のオーディエンスに向け、商品・サービス・企業の認知向上を図る。
- オーディエンスの関連度:選択したプレースメント、サイトが扱うトピックやユーザーの幅、商品やメッセージの訴えかけ方などによって異なります。
- 推定クリック単価:中(100円〜1000円)。
- KPI:インプレッション、トラフィック(ブランド認知の向上)、注文数、マイクロコンバージョン(メール登録数、ページビュー、滞在時間、実店舗がある場合は訪問の有無)。
- ROASの期待値:低(0:1〜2:1)。
- スケーラビリティ:一般に低めですが、サイトとトラフィックによります(すべてのサイトがターゲットになるわけではありません)。
- おすすめ対象:デモグラフィクスやマーケットとして理想的なサイトを特定して、認知拡大のために自社商品やサービスを特定のサイトに表示したい企業。
ディスプレイ広告の手動プレースメントは、コンテキストより細かいターゲティングとコントロールを実現し、掲載を希望する特定のサイトやさらには特定のページにまで、広告を表示させることができます。Google以外の場所でも、このタイプのキャンペーンを安全に運用することはできますが、CPM率は高くなります。
通常は、コンテキストまたはトピック・関心ディスプレイ広告で効果のあったWEBサイトを特定したあとで、このキャンペーンを実行します。
難易度:Google広告プラットフォームの使用経験があって、ある程度操作に慣れていれば、もっとも設定しやすいキャンペーンといえます。
11 スマートショッピング
- ゴール: 機械学習によるディスプレイ広告、リターゲティング、ショッピング広告を通じて収益性の高い注文を生み出すこと。
- オーディエンスの関連度:複数のキャンペーンを統合するので状況によって異なります。
- 推定クリック単価:低い〜中くらい(0.25ドル〜5ドル)。
- KPI:ROAS、注文数、新規顧客数。
- ROASの期待値:中程度〜高い(0:1〜12:1)。
- スケーラビリティ:通常は高い。ノンブランドトラフィックとディスプレイプレースメントが混在しているため。
- おすすめ対象:リターゲティングやショッピング広告を現在使用していないが、最小限の手間でなんとかしたいと考えているShopify事業者。
Googleスマートショッピングは、機械学習を利用して、あなたの代わりにリターゲティングとディスプレイ広告、ショッピング広告をまとめて最適化します。
このキャンペーンでは、どの商品を広告し、いくらで入札し、だれをターゲットとし、どんなクリエイティブを見せるのかを選択します。ショッピング広告とShopifyの連携機能を使うと、商品や商品フィードを自動的に引っ張ってきてキャンペーンに投入することが可能です。Shopifyのマーケティングセクションを利用すれば、直接Shopifyからキャンペーンを立ち上げることもできます。
ここでのパフォーマンスは、どれだけの人があなたのブランドや商品、商品カテゴリー、ブランドキーワードを検索するかによって左右されます。リターゲティングの総量やショッピング広告からのブランドトラフィックもまた、あなたのブランドキーワードに対する検索ボリュームやリターゲティング対象オーディエンスのサイズに影響されます(例:あなたのサイトをすでに訪れている人の総数)。
難易度:リターゲティング広告でも、ショッピング広告でも、Google広告を始めるにあたって一番取り組みやすいのがスマートショッピングです。もしうまくいったら、個別のキャンペーン戦略に今後切り替えていくことでさらなる成功の機会が見込めるでしょう。
12 CRM(検索、YouTube、Gmail)
- ゴール:すでに購入履歴のある人やメルマガに登録している人をターゲットとして、リピート購入や、購読から購入への流れを生み出す。
- オーディエンスの関連度:とても高い(彼らはすでにあなたと取引したり、情報をあなたに与えたりしています)。
- 推定クリック単価:低(〜25円〜500円、あなたのアグレッシブさによる)。
- KPI:ROAS、利益率のいい注文数、トラフィック。
- ROASの期待値:とても高い(5:1〜60:1)。
- スケーラビリティ:低。あなたの顧客基盤やメールリスト、カスタマーマッチ率による(Googleのシステムでは、アップロードしたすべてのメールがターゲットに届くわけではありません)。
- おすすめ対象:メール登録者または顧客基盤が1,000ユーザー以上のブランド。
CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)のキャンペーンは、既存顧客やメール購読者に向けたリマーケティングとなります。
オーディエンスは十分に絞り込まれた人たちなので、キャンペーンを適切に展開すれば、高いROIが見込めます。注意点としては、ある程度の顧客基盤(例:数千件のメールリスト)が必要なため、新参の企業はこのアプローチができません。
これらは、CRMの情報を活用するハイパーターゲティングキャンペーンとなります。あなたは特定のメッセージングを異なるセグメントの顧客や、Gmailのターゲティングプレースメント、YouTube、検索などに拡張することができます。
カスタマーマッチ率について:アップロードしたすべてのメールがGoogleのデータベースとマッチするわけではありません。たとえば、4,000件のメールリストをアップロードしても、Googleは2,000件しかマッチできないかもしれません。Gmailアドレスはもっともマッチしやすいですが、リスト内のかなりの件数がターゲティング不可能となることが予想されます。
難易度:このキャンペーンにはある程度の顧客基盤が必要なだけでなく、リストを異なる顧客セグメントに振り分けるための知識と経験も必要になるでしょう。リストをアップロードしたり広告タイプを設定することは管理しやすく、オンラインのドキュメントも豊富です。
13 類似ユーザー機能
- ゴール:あなたの既存顧客層と似たような特性や共通する興味をもっているユーザーに対して広告を打ち、新規顧客と認知を生み出して増やす。
- オーディエンスの関連度:リーチしたいオーディエンスとあなたの商品との関連性や、既存リスト顧客との類似性によって変わってきます。
- 推定クリック単価:低(〜25円〜300円)。
- KPI:クリック数、インプレッション、トラフィック、注文数、ROAS。
- ROASの期待値:低(0:1〜2:1)。
- スケーラビリティ:一般的には大きく、類似の関心をもっているユーザー数にもよります。しかし潜在顧客層のすべてをターゲットとする以上、キャンペーンの上限はかなり高いでしょう。
- おすすめ対象:利益率の高いキャンペーンの設定と最適化が済んでいて、さらに新しい顧客獲得のキャンペーンを考えている事業者。「類似ユーザー」の基となるメールリストをGoogleにアップロードする必要があります。
類似ユーザーキャンペーンは(フェイスブックの類似オーディエンスと同じように)、CRMの項目で言及したリマーケティングリストに基づきます。ただし、既存顧客に直接広告を打つ代わりに、このキャンペーンはGoogleのデータから類似性の高いユーザーをターゲットとします。
Google広告はあなたの既存オーディエンスから共通の関心を引き出し、ディスプレイ広告ネットワーク上の同様の関心をもつユーザーにむけて、あなたの広告をマッチさせます。
難易度:関心ベースのキャンペーンを先に試してみることをおすすめします。もしフェイスブックで類似ユーザーをテストしているなら、それはパフォーマンスのテストやレビューの際の実行可能オプションとして役に立つでしょう。
14 動的検索広告
- ゴール:Googleによって自動生成されるキーワードを使った検索からの注文を生み出す。
- オーディエンスの関連度:Googleスパイダー(クローラー)があなたのキャンペーンのために作成するキーワードによって、低くも高くもなります。
- 推定クリック単価:低〜中(〜25円〜500円)。
- KPI:注文数、ROAS、トラフィック。
- ROASの期待値:中(0:1〜12:1)。
- スケーラビリティ:通常、高い。ダイナミック検索広告はブランドトラフィックと同様にノンブランドトラフィックも捉えるため。ただし、あなたがGoogleクローラーのためにサイト上で設定するキーワードのタイプにもよります。
- おすすめ対象:検索キャンペーンの専門知識はないものの、大きな投資をせずに、機能するキャンペーンをうまく立ち上げたい人。
動的検索広告では、基本的にサイト上のさまざまなタイプのキーワードを使って検索キャンペーンを作り出します。ブランドキーワード、非ブランド・カテゴリーキーワード、商品キーワード、説明文におけるキーワード、さらにはアバウトページやブログからのイベントキーワードなど。
このキャンペーンではセグメンテーションがそのまますぐに使えるわけではないので、複数のトラフィックをまとめるほかのキャンペーン同様、永続してスケールするようなものとして考えるのではなく、パフォーマンスのデータを集めて最終的に手動でセグメンテーションをおこなうためのスタート地点として扱うことをおすすめします。
難易度:オンラインで検索キャンペーンを素早く簡単におこなう素晴らしい方法です。しかし実行が容易な一方、動的検索には、手動でトラフィックを得るために購入しないであろう、サイト上の関連性の乏しいキーワードが含まれる可能性が高いです。
予算編成について:常時キャンペーンとテストキャンペーンの違い
どのようなタイプの有料マーケティングにおいても、予算編成はいくつもの疑問を生じさせる重要検討事項です。どうやって予算を設定したらいいのでしょうか? キャンペーンや広告を運用する期間はどれくらいにするべきでしょうか? キャンペーンが意図した成果を出したかどうかをちゃんと説明できますか?
こうした問いに答えるためには、あなたが運用することになるキャンペーンの、2つの主要カテゴリーに対する理解が欠かせません。
常時キャンペーンは、収益性と、あなたのブランド/商品/サービスへ関心を示している購買層による潜在購入力の高さに焦点を当てます。このタイプはもっとも刈り取り効果が高いため、継続して実行したいキャンペーンです。下記のものが含まれます。
- ブランド検索
- ブランドショッピング
- リターゲティング(とくにカート放棄したビジターに向けて)
- CRM
- 売上、収益、コストを上回る利益をもたらすニッチキャンペーン
これらのキャンペーンには、通常できるかぎりの予算を割り当てます。まずは1日あたりの気楽な額からスタートし、パフォーマンスが満足のいくものか期待を超えるものであれば、(利益率を調整しながら)徐々に使用する額を上げていきます。
たとえば、1日の予算が10ドルとした場合(または固定予算が100%使える場合)、常時キャンペーンはもっとも有益な費用の使い方となるでしょう。ただし、特定の顧客獲得や認知拡大といった目的に向けて予算を使いたい場合を除きます。
温かいオーディエンスによるコンバージョン以外にも、新規顧客をサイトに誘導したり、商品やサービスの認知を広めたりするのに予算を使うこともできます。
フレキシブルなテストキャンペーンは、このような新規顧客、認知、エンゲージメントの向上といった部分に焦点を当てます。下記のものが含まれます。
- 非ブランド検索(ニッチ)
- 非ブランド検索(競合)
- 非ブランド検索(一般)
- 類似オーディエンスのターゲティング
- コンテンツキャンペーン
- 関心ターゲティング
予算を編成するときには、会社のゴールとそのキャンペーンのゴールが並行していることをつねに意識しましょう。また、予測に対してそのキャンペーンはどれくらい成功しているか、ゴールを達成するためにいくらまでなら予算を組めるのか、といった点も同様に重要です。
自分でGoogle広告を管理する場合は、上記すべての点において、自分の専門知識レベルに注意しましょう。手始めにスマートショッピングやダイナミック検索広告の設定はすぐにできるでしょうし、それから、上記で解説したベストプラクティスや可能なオプションに基づいて、何があなたのブランドにとってベストなのかを再評価できます。
このような常時キャンペーンとテストキャンペーンの違いから予算を考えるアプローチは、フェイスブック広告やインフルエンサーマーケティングなど、他の有料施策にも適用でき、どれくらいの予算をどこに割り当てるべきかを決定するのに役立ちます。
Google広告の管理者を雇うときの注意点
あなたはいまGoogle広告の世界に圧倒され、呆然としているかもしれませんが、ご心配なく。それはあなただけではないのです。多くの起業家は自分でGoogle広告をうまく運用するために勉強したり管理したりする時間や資金が持てず、有料広告の専門家や代理店にアウトソーシングしています。
アウトソーシングの際には、次のことに気をつけましょう。
- 長期契約をしない:うまくいかなかったら、いつでも手を引けるようにするべきです。
- アカウント、キャンペーン、業務に関するオーナーシップ:すべてにおいて透明性が保たれるようにし、あなたが管理をしていないとしてもアカウント所有者があなたであるようにしておくべきです。
- アカウントマネージャーを知る:営業マンや代理店のCEOよりも、日々の業務を遂行する人物を知り、信頼できるようにしておくのが理想的です。
- ゴールや期待値の調整:代理店がやろうとしているキャンペーンの内容、予算の算出方法、ROASの期待値、実施にかかるまでの時間などを把握しておきましょう。
- 料金体系を理解する:一般的には、固定料金か、最低額込みの広告費用のパーセンテージに基づく料金を支払います。広告費用の変動を受けて料金が変わることに注意してください。追加の設定料金がかかる場合もあります。競争の激しい領域なので、ほかのプロバイダーをいくつか検討しても問題ありません。
- 専門性の高い業者を検討する:あなたのWEBサイトをデザインした才能あふれる開発業者にGoogle広告を運用してもらうことも不可能ではないですが、運用したいキャンペーンやサービスに応じてその道の専門家に依頼するほうが得になることも多いです。複数のアウトソースサービスを統合している業者と組むことにはプラス面もマイナス面もありますので、管理面でどれくらいの時間が節約できそうか、個々の専門サービスを使ったときのROIはどうなるか、といった点を相互に照らし合わせて検討しましょう。
ヘルプを求めているなら、Shopify事業者に特化した検索エンジン広告の専門家、Shopifyエキスパートにコンタクトすることもできます。
結論
Google広告をうまく運用するのは簡単ではありません。それぞれのキャンペーンタイプには微妙な要素が多々あり、アトリビューションといった主要トピックはもちろんのこと、上記では明示して取り上げなかったキャンペーンやバリエーションもまだまだあります。
それでもGoogle広告というプラットフォームは、ユーザーの検索意図、多様なターゲティングオプション、プレースメントなどに基づいて膨大なユーザーベースに向けた広告を展開したいEコマース企業にとっては、価値があります。
Google広告で何ができるのか、それぞれのキャンペーンから何を期待すべきか、そしてほかのマーケティング手腕と組み合わせてどう使っていけばいいのか、そのあたりの理解が少しでも深まっていれば幸いです。
キャンペーンを自分で運用するために投資するのであれ、代理店や専門家に依頼するのであれ、プラットフォームとオプションについて理解することは、正しい方向へ進むための大きな一歩です。
原文:Marc Weisinger 翻訳:深津望