ミレニアル世代の購買行動の特徴とトレンドを知り、戦略を立てることは、ECサイトの売上向上やブランドの認知度向上に効果的です。総務省統計局の人口推計(2024年)によると、ミレニアル世代は日本人口の約17%を占めています。また、この世代は購買力が高く、今後の市場を牽引する重要なターゲット層です。 ミレニアル世代を顧客として獲得することは、自社ビジネスの持続的な成長を実現するうえで、重要な要素の一つと言えるでしょう。
この記事では、ミレニアル世代の購買行動の特徴と注目トレンドについて紹介します。この世代特有の価値観に基づく消費傾向を押さえ、効果的なマーケティング戦略の立案に役立ててください。

ミレニアル世代とは
ミレニアル世代とは、1981~1996年頃に生まれ、2000年以降に成人した人々のことを指します。Y世代とも呼ばれ、現在30〜40代半ばとなったこの世代は、購買活動が活発になる時期を迎えています。その背景には、実務経験を積んでキャリアアップを果たし、収入が増加していることが挙げられます。また、結婚や出産、育児などのライフイベントに伴い、さまざまな商品ニーズが高まっていることも影響していると考えられます。
ミレニアル世代とZ世代の違い
ミレニアル世代と比較されることの多いZ世代は、1990年代後半~2010年代序盤に生まれた層を指します。社会人として働いている層と、今後社会に出る学生が混在しています。生まれながらにしてインターネットやスマホに囲まれて育ったデジタルネイティブであるという特徴を持ち、SNSを活用した情報収集が定着している傾向にあります。

ミレニアル世代の購買行動の特徴と注目トレンド8つ
- 安全や健康を重視した懐かしさを感じるアイテムを求める
- 利便性を優先する
- ウェルネスとセルフケア、健康寿命を重要視する
- タブー市場へのニーズが高まっている
- あらゆるものをサブスクで消費する
- 価格にシビアだが納得したものにはお金を惜しまない
- モノ消費よりコト消費を好む
- エシカル消費への関心が高い
1. 安全や健康を重視した懐かしさを感じるアイテムを求める
2010年以降に生まれた「α(アルファ)世代」の親世代にあたるミレニアル世代は、自身が幼少期に親しんだ味や体験に懐かしさを感じて惹かれる一方で、子供に与える食品や玩具には、より安全で健康に配慮した商品を求めます。そのため、思い出を追体験するだけでなく、幼少期に購入できなかった欲求を満たす代償行動として、自分の子供に商品を購入する層も少なくありません。TPCマーケティングリサーチ株式会社の調査によると、健康菓子市場は高い成長を続けており、現代の消費者は明確な健康効果や科学的根拠を求める傾向が強まっていることが分かります。
代表的な例としては、昔ながらのお菓子が挙げられます。クリート株式会社のPURE BITESシリーズのお菓子は、添加物不使用や栄養素を強化した「ポン菓子」や「いかせん」などのお菓子を販売しています。食品の安全性と家族の健康、ミレニアル世代の懐かしさへのニーズを満たした商品と言えます。
2. 利便性を優先する
ミレニアル世代は、オンラインショッピングにおける利便性を重視するという特徴があります。
社会人になってからスマホやSNSが普及した世代のため、オンラインと店舗の両方を活用した購買行動をとります。ECサイトで購入して配送されるのを待つだけでなく、すぐに商品を手に入れたいというニーズを満たすため、店舗での直接購入と、ネットで注文して店舗で受け取るBOPIS(ボピス)などを柔軟に併用しています。
さらに、商品の配送においても、迅速な受け取りを重視する世代です。素早い受け取りだけでなく、送料無料や返品無料といった顧客へのメリットがコンバージョンにつながる傾向にあります。
3. ウェルネスとセルフケア、健康寿命を重要視する
ウェルネスやセルフケア、健康寿命に関連する商品を購入する消費者は多く、ミレニアル世代から特に注目を集めています。今まで軽視されがちだったメンタルヘルスやストレス解消といったヘルス・ウェルネス商品や関連サービスへの需要が高まり、ウェルネス業界のトレンドの一つである健康寿命も重要視されています。また、ワークライフバランスへの関心が高まっていることも、その理由の一つです。
KPMGの試算によると、ヘルスケア新興分野国内市場規模は2030年には約13.5兆円、関連労働市場は約2.7兆円に達する見込みです。ミレニアル世代だけでなくZ世代もウェルネス市場を牽引しており、スマホやスマートウォッチを使った健康トラッキングやマインドフルネス機能付きアプリなどのデジタルデバイスも人気です。
さらに、消費者の悩みや理想にあわせたパーソナライズ商品の需要も高く、自分にあったスキンケア商品やサプリメント、エクササイズの提案を行うサービスやアプリを求める傾向にあります。例えば、Suppleno(サプリノ)はウェブ上の質問に回答する形で行われるライフケア分析を元に、一人ひとりに最適なサプリメントを提案してくれます。
4. タブー市場へのニーズが高まっている
今までタブーとされていた更年期障害や月経関連症状、性に関する商品へのニーズが高まっています。「フェムテック」という単語が浸透したことからもわかるように、特に女性のQOL(生活の質)を高める商品を買い求めるミレニアル世代は少なくありません。
矢野経済研究所の調査によると、2024年時点でフェムケアやフェムテック関連商品の市場規模は803億円を上回ったと報告されています。「不妊・妊よう性」「妊娠・産後ケア」「更年期ケア」が大きな比率を占めており、近年はセクシャルウェルネス分野も成長を続けています。
例えば、月経やPMS(月経前症候群)を予測するcare.me(ケアミー)や妊活から育児に関連する情報が閲覧できるmamari(ママリ)、更年期の症状や取り組みが記録できるJoyHer(ジョイハー)といったアプリが注目を浴びています。
日本国内では特にタブー視されていたセクシャルウェルネス分野の市場規模は、2025年に13億3,410万米ドル(約2,134億万円)に達しており、今後も成長することが予測されています。
5. あらゆるものをサブスクで消費する
ミレニアル世代は、サブスクリプションに高い親和性を持つ世代と言えます。音楽や動画などのデジタルコンテンツだけでなく、ミレニアル世代は多様なものやサービスをサブスクで消費する傾向にあります。具体的には、以下のような商品がサブスクで利用されています。
- 日用品
- 食品
- サプリメント
- ファッションアイテム
- コスメ
- ペット用品
日用品や食品では、定期購入や自動補充といった形態が人気を集めています。「毎月」「3か月ごと」など定期的に商品を受け取れるシステムで、オムツやトイレットペーパーといった日用品だけでなく、ミールキットや宅食サービスにも幅広く活用されています。
近年、ミレニアル世代やZ世代に人気を集めるサブスクモデルに、キュレーション型があります。コスメや洋服、スナック、生花などを販売者が選定して届けるサービスで、トレンドや旬のものだけでなく、コーディネーターが顧客の好みに合わせてセレクトするサービスも高い需要を獲得しています。アパレル業界においては、洋服やファッションアイテムのレンタルができるサブスクも注目を集めています。専門家が顧客にあった商品をセレクトして届けることで選ぶ手間が省け、一般的な商品購入よりも購買ハードルが低いのも人気の理由の一つです。
マーケティングにおいては、顧客セグメンテーションを行うことで、自社商品やサービスへの興味関心が高い層へ効果的にアピールする手法が有効です。ペルソナ設定も顧客理解を深める鍵となります。さらに、サブスク会員限定のプレミアムコンテンツ公開や、サブスク割引の導入は販売促進に大きく貢献します。
6. 価格にシビアだが納得したものにはお金を惜しまない
就職氷河期やリーマンショックを経験しているミレニアル世代は、商品価格にはシビアな反面、納得したものには惜しまずお金を使う傾向にあります。コストパフォーマンスを重視しつつ、節約するだけでなく、奮発するカテゴリーを決めているケースも少なくありません。例えば、日用品はノーブランドやセール品で節約する代わりに、野菜はオーガニックのみを購入するといった消費スタイルです。全体的な支出を抑えながら、こだわりのある分野で奮発できるよう、賢く戦略的にお金を使うのが特徴的です。
さらに、こだわりのない分野への支出を抑える一方で、推し活やランニングなどの趣味や気に入った商品には、出費を惜しまないのも特徴の一つです。「多少無理をしても納得のいくものを購入したい」というミレニアル世代は47%に上り、その他の世代の40.8%を大きく上回っています。
ミレニアル世代へのアプローチには、SNSマーケティングやインフルエンサーによるマーケティングが効果的です。商品に関心を持つ消費者は、SNSやインターネットを活用して情報収集をしてから購入する傾向にあります。自分と境遇が似ている人や、好きなインフルエンサーの投稿の影響を受けやすく、ストーリーテリングなどの手法で共感を得る工夫が効果的です。また、この世代は、広告よりもレビューや口コミを活用すると信頼を得やすくなるでしょう。一方で、ステマやヤラセには敏感な世代でもあるため、疑念を抱かれないよう配慮をすることも大切です。
7. モノ消費よりコト消費を好む
ミレニアル世代の消費行動は、商品を購入し所有する「モノ消費」よりも、サービスや体験価値を重視する「コト消費」を好む傾向にあります。コト消費は主に以下の7つに分類されます。
- 純粋体験型:観光や宿泊、スキー、料理教室など体験そのもの
- アトラクション施設型:映画館やボウリング場、テーマパーク、動物園
- 時間滞在型:本屋併設カフェや猫カフェ
- ライフスタイル型:室内空間を再現したインテリアショップや雑貨店
- コミュニティ型:アウトドア好き向けのキャンプイベントや市民ランナー向けランニングイベント、コーヒー好き向けのワークショップ
- イベント型:物産展やファッションショー、クリスマスやバレンタイン企画
- 買い物ワクワク型:店内のポップやレイアウト、商品ラインナップにこだわり、買い物へのワクワク感を演出する店舗
コト消費に関心が高いミレニアル世代は、サービスや体験そのものだけでなく、日常の買い物における体験にも高いクオリティを求めます。そのため、ECサイトにおいては円滑で魅力的な顧客体験(CX)の提供が欠かせません。サイトスピードの改善や多様な決済方法の提案、よくある質問ページの設置やチャットボットの導入なども有効です。
8. エシカル消費への関心が高い
ミレニアル世代の購買行動の特徴として、エシカル消費(倫理的消費)への高い関心が挙げられます。社会問題や環境問題、SDGsへの意識が高く、以下のようなエシカル商品を販売する企業も増えています。
- フェアトレード商品
- 地産地消の食材や製品
- オーガニック食品
- 動物愛護関連商品
- リサイクル品
- 伝統工芸品
- 寄付付きの商品
商品に限らず、ブランド戦略の一環としてエシカルやサステナブルな取り組みを進める企業も多く、近年の主要なマーケティングトレンドの一つとも言えます。エシカルマーケティングという概念も浸透しており、環境保全や人権への配慮、持続可能性への企業努力をアピールすることが可能です。これにより、購買体験を社会問題の解決プロセスとして認識してもらえるだけでなく、ブランドロイヤルティの向上にもつながります。
まとめ
30〜40代のミレニアル世代は、購買力が高まり、購買活動が活発化する時期を迎えています。その特徴やトレンドを押さえることで、効果的なマーケティング戦略の立案が可能となります。
ミレニアル世代の購買行動の特徴には、利便性の重視やタブー市場へのニーズの高まり、サブスク消費、モノ消費からコト消費へのシフトなどが挙げられます。エシカル消費への関心も高く、サステナブルな取り組みを行っている企業やエシカル商品を積極的に選択する層も少なくありません。
世代別の特徴や注目トレンドは、常に変化しやすいため、定期的に最新情報を入手することが重要です。自社のターゲット層の特徴を理解するとともに、マーケティング施策の効果測定と改善を繰り返すことで、売上向上やビジネスの成長につなげましょう。
ミレニアル世代の購買行動に関するよくある質問
ミレニアル世代とZ世代の違いは?
ミレニアル世代が1981年から1996年頃に生まれ、2000年以降に成人を迎えた世代であるのに対し、Z世代は1990年代後半から2010年代序盤に生まれた世代です。
ミレニアル世代とZ世代の購買行動の違いは?
ミレニアル世代はオンラインショッピングと実店舗での購入の両方を活用し、商品の購入前に情報を入手したり調べたりして、精査します。納得したものには惜しまずにお金を使うものの、友人知人のおすすめや口コミ等の影響を受けやすい特徴があります。対してZ世代はインターネットやスマホに囲まれて育ったデジタルネイティブであり、SNSを活用した情報収集を行う人が多い傾向にあります。
ミレニアル世代の購買行動の特徴は?
- 安全や健康を重視した懐かしさを感じるアイテムを求める
- 利便性を優先する
- ウェルネスとセルフケア、健康寿命を重要視する
- タブー市場へのニーズが高まっている
- あらゆるものをサブスクで消費する
- 価格にシビアだが納得したものにはお金を惜しまない
- モノ消費よりコト消費を好む
- エシカル消費への関心が高い




