在庫不足時でも注文を受け付けられるバックオーダーは、販売機会の損失を防ぐ有効な手段です。一方で、運用を誤ると顧客満足度やブランドロイヤルティの低下を招くリスクもあるため、適切な管理と迅速な対応が欠かせません。
本記事では、バックオーダーの意味や発生する原因、メリット・デメリットに加え、発生時の対処法や未然に防ぐ方法について解説します。

バックオーダーとは
バックオーダーとは、在庫切れの商品でも注文を受け付け、入荷後に発送する仕組みです。商品の需要が供給を上回った際に発生するもので、生産の遅延やサプライチェーンの混乱、需要の急増、在庫管理の不備などが主な原因です。海外のECサイトでは一般的ですが、日本でもファッションやスポーツ用品、家電など、需要が高く品薄になりやすい商品を中心に導入が進んでいます。
バックオーダーと在庫切れの違い
在庫切れの商品は購入できませんが、バックオーダーの商品は一時的に在庫がなくても注文できます。バックオーダーは、商品が入荷次第発送されることを前提に注文を受け付けます。一方、在庫切れの商品は販売自体を停止しており、再入荷や再販の予定がない場合もあります。そのため、ECサイトでは、「売り切れ」と表示したり、商品ページを非表示にしたりするケースも少なくありません。

バックオーダーが発生する原因
需要が予想以上に増加したため
商品の需要が予想を上回ると、バックオーダーが発生することがあります。季節商品の需要増加や価格変更、市場需要の変化に加え、SNSやメディアで商品がバズることで、予想を上回る注文が集中し、供給が追いつかなくなるためです。需要の増加は売上向上につながる一方で、在庫不足によってバックオーダーが発生する可能性も高まります。
サプライチェーンに問題が生じたため
自社の需要予測が適切でも、サプライチェーンの課題によって原材料の調達、商品の生産やEC物流に遅れが生じると、在庫を確保できずバックオーダーが発生することがあります。
たとえば、サプライヤーの原材料不足による生産遅延や、輸送の遅延、物流ネットワークの混雑などが原因で、商品の入荷が予定より遅れるケースです。また、感染症の流行や自然災害、国際情勢の変化といった外部要因によってサプライチェーンが混乱し、商品の生産や配送に支障が生じることもあります。
在庫管理に問題があったため
在庫管理の方法や運用体制によっては、バックオーダーが発生しやすくなります。たとえば、保管コストを抑えるために在庫を最小限しか持たない運用や、需要予測が不十分なまま仕入れ量を決めている場合は、想定以上の注文に対応できず在庫切れを招く原因となります。
また、実在庫と在庫データの不一致、棚卸しや受発注時の入力ミスなどの人的要因も原因の一つです。

バックオーダーのメリット
バックオーダー導入で得られる主なメリットは以下のとおりです。
- 機会損失を最小限に抑えられる:在庫切れでも注文を受け付けられるため、販売機会の損失を防ぎ、顧客が競合他社へ流れるリスクを軽減できます。人気商品や代替品が少ない商品でも、売上の取りこぼしを防ぎやすくなります。商品ページなどに納期の目安を記載して、顧客が不安にならないように対応しましょう。
- 在庫リスクや保管コストを抑えられる:必要以上の在庫を保有せずに済むため、売れ残りのリスクや保管コストを削減できます。過剰在庫による損失を防ぎながら、資金効率の向上にもつながります。
- 顧客の利便性や満足度の向上につながる:在庫切れの商品でも注文できるため、顧客は再入荷のタイミングを何度も確認したり、入荷予定を問い合わせたりする手間を省きながら、商品を確実に購入できます。
- 顧客の需要を把握しやすくなる:バックオーダーの注文数を分析すれば、人気商品の需要を把握しやすくなります。次回の仕入れ数量や在庫計画の改善に役立つほか、新商品開発や販売戦略の立案にも活用できます。

バックオーダーのデメリット
- 顧客満足度やブランドへの信頼が低下する:納期の遅延や入荷予定日の変更によって、顧客に不安や不満を与え、問い合わせやクレーム、キャンセルにつながる可能性があります。その結果、顧客満足度やブランドへの信頼が低下する恐れがあります。
- キャンセルや受取拒否が発生しやすくなる:注文から配送まで時間がかかることで、顧客の購買意欲が低下し、キャンセルや受取拒否が発生しやすくなります。これにより、送料や物流コストが発生し、事業者の負担が増加する可能性があります。
- 管理業務や問い合わせ対応の負担が増える:発注管理や納期管理に加え、入荷状況の確認や顧客対応など、流通管理から顧客管理まで幅広い業務が増えるため、通常の在庫販売よりも管理業務が複雑になります。管理体制が整っていない場合は、発注ミスや納期遅延などのトラブルにつながるリスクも高まります。
- 収益が不安定になる:入荷遅延や供給不足によって注文のキャンセルや返金対応が発生すると、売上や利益に影響を及ぼす可能性があります。また、遅延対応やキャンセル処理のコストが増えることで、収益が不安定になることもあります。

バックオーダーが発生したときの対処法
顧客へ状況と納期を速やかに伝える
バックオーダーが発生した場合は、速やかに顧客へ状況を連絡しましょう。納期が確定していない場合でも、在庫切れの状況や現在の対応を早めに伝えることで、顧客の不安や不信感を軽減できます。納期が分かり次第、改めて入荷予定日や発送予定日を案内し、変更が生じた場合はその都度、状況を共有することが重要です。
代替商品や分割納品を提案する
納期が長期化する場合は、代替商品の提案や分割納品など、顧客の状況に応じて柔軟に対応しましょう。複数の商品を注文している場合は、用意できた商品から順に発送する分割納品を提案することで、一部の商品を早く受け取れるようになります。また、一括発送と分割納品のどちらを希望するかを選んでもらうことで、納得感のある対応につながります。
キャンセルや返金に適切に対応する
顧客が商品の到着を待てない場合は、速やかにキャンセルや返金の手続きを行いましょう。無理に購入を継続してもらうのではなく、迅速かつ丁寧に対応することで、顧客の不満やブランドへの信頼低下を最小限に抑えられます。
また、必要に応じて、お詫びとともに次回利用できるクーポンやストアクレジットを提供することも、顧客満足度の維持や再利用を促す有効な施策です。
仕入れ先と連携して納期を確認する
バックオーダーが発生した場合は、仕入れ先へ速やかに連絡し、商品の入荷予定日や納期を確認します。また、配送方法を見直すことで、商品をより早く届けられる場合もあります。たとえば、通常は船便で輸送している商品を航空便へ切り替えられないか仕入れ先と相談するなど、顧客へできるだけ早く商品を届ける方法を検討しましょう。

バックオーダーを防ぐ方法
需要予測を強化して適正在庫を維持する
バックオーダーを防ぐには、過去の販売データや市場需要を分析し、商品の需要を予測したうえで適正在庫を維持することが重要です。需要の変動を把握することで、欠品や過剰在庫のリスクを抑えやすくなります。
また、在庫が一定数まで減少した時点で追加発注を行う「発注点」を設定することも効果的です。需要の変化に応じて発注点を定期的に見直し、安全在庫を確保しましょう。
在庫管理体制を強化する
在庫管理システムや受注管理システムを活用し、在庫状況や受注状況を正確に把握できる体制を整えることで、在庫切れや発注ミスを防ぎやすくなります。
実店舗やECサイトなど複数の販売チャネルを運営している場合は、在庫を一元管理し、在庫情報のずれや二重販売を防止しましょう。リアルタイムで在庫情報を共有できる環境を整え、オムニチャネルでの在庫管理を適切に行うことが重要です。
仕入れ先との連携を強化する
バックオーダーを防ぐには、仕入れ先との連携を強化し、安定した商品供給を維持することが重要です。在庫状況や納期の情報を共有し、入荷遅延が発生した場合でも迅速に対応できる体制を整えましょう。
また、特定の仕入れ先に依存すると、供給が滞った際にバックオーダーが発生しやすくなります。そのため、複数の仕入れ先を確保し、納期や商品品質、対応の早さなどを比較または評価しながら定期的に見直すことで、供給リスクの分散につながります。
バックオーダーと通常販売を適切に使い分ける
すべての商品をバックオーダーで販売するのではなく、商品の特性や需要に応じて通常販売と使い分けましょう。需要が安定している商品や、すぐに商品が必要とされる商品は通常販売を基本とし、人気商品や一時的に在庫切れとなった商品はバックオーダーを活用することで、販売機会を逃しにくくなります。
まとめ
バックオーダーは、在庫切れによる販売機会の損失を防ぎ、売上の最大化につなげられます。顧客とのトラブルを防止するためにも、バックオーダーを受ける際は、納期目安を事前に明示し、ユーザーが納得して購入できる仕組みを整えておくことが重要です。
一方で、想定以上の注文数やサプライチェーンの乱れにより、バックオーダーが発生してしまった場合は、顧客へお詫びと納期を迅速に連絡しましょう。また、必要に応じて代替品の提案やキャンセル対応を行うといった、丁寧な顧客対応や在庫管理の強化が欠かせません。需要予測や在庫管理体制を強化するとともに、仕入れ先との連携や通常販売との使い分けを意識した運用で、バックオーダーの発生を最小限に抑えましょう。
状況に応じてバックオーダーを適切に活用することで、販売機会を維持しながら顧客満足度の向上につなげられます。
バックオーダーに関するよくある質問
バックオーダーの例は?
バックオーダーの具体例としては、人気商品が一時的に在庫切れになっても、入荷予定が決まっていれば、そのまま注文を受け付けるケースが挙げられます。
バックオーダー商品の入荷目処が立たない場合はどうすればいい?
バックオーダー商品の入荷目処が立たない場合は、できるだけ早く顧客へ状況を説明し、代替商品の提案やキャンセル、返金などの選択肢を提示しましょう。
バックオーダーの代金はいつ請求する?
バックオーダーの代金は、商品の発送日が確定したタイミングや発送時に請求する方法が、顧客にとって安心です。万が一、商品を入荷できなかった場合でも、注文をキャンセルするだけで済むため、返金手続きの負担を軽減できます。




