ECサイトを運営するにあたって、顧客ニーズの把握は欠かせないポイントです。Google(グーグル)トレンドを使うと、マーケティングや商品選定で重要となる消費者のニーズを把握することができます。また、ビジネスプランの策定だけでなく適切なマーケティング戦略を練るうえでも有効です。
この記事では、Googleトレンドの使い方や活用方法、注意点について解説します。
Googleトレンドとは

Googleトレンドは、特定のキーワードの検索需要をリアルタイムで分析できる無料ツールです。Googleでキーワードが検索された頻度の推移をグラフで確認できるため、消費者の関心やニーズを把握したり、売れる商品アイデアを見つけることにも活用できます。アカウント登録が不要なうえ、シンプルな操作画面により誰でも簡単に利用できるのが特徴です。期間設定や地域ごとでの絞り込みも可能なので、特定の時期に繰り返し需要が高まるトピックや、エリアごとでの興味や検索傾向を把握することができます。
Googleトレンドの使い方

1. トレンドを調べる
Googleトレンドの基本機能は、特定のキーワードについて「Google上でどれだけ検索されているか」を調べることです。結果は、検索需要の推移を示す折れ線グラフで表示されます。使い方は下記のとおりです。
- Googleトレンドのホーム画面にある検索ボックスにキーワードを入力し、青の「調べる」ボタンをクリック
- 画面右上の「+比較」をクリックし、キーワードを追加するとトレンドの比較が可能


最大5つまでのキーワードを比較できるほか、国や期間・カテゴリーなどを細かく設定することもできます。
またキーワードの検索結果は、下記の期間で抽出可能です。
- 過去1時間
- 4時間
- 1日
- 7日
- 30日
- 90日
- 5年
- 2004年から現在まで
グラフの下には関連トピックや関連キーワードも表示されるので、ひとつのキーワードから視点を広げていくのにも役立ちます。
2. 急上昇ワードを調べる
急上昇ワードは、リアルタイムで検索数の増えているワードを知ることのできる機能です。使い方は下記のとおりです。
- Googleトレンドの画面左上に表示される、3本線のメニューバーをクリック
- メニュー中の「急上昇中」をクリック

急上昇ワードは以下の絞り込み設定や並べ替えも可能なため、最新の検索トレンドも簡単に把握できるでしょう。
- 国:地域ごとのトレンドに切り替え可能
- 時間:4時間以内、24時間以内、48時間以内、過去7日間で選択可能
- カテゴリ:ショッピング、スポーツ、エンタメなど多岐にわたります。)
- ステータス:アクティブなトレンドのみに絞り込みが可能
- 並べ替え:タイトル、検索ボリューム、新しい順、関連度順で分類可能

3. 過去の急上昇ワードを調べる
過去の急上昇ワードを調べたい場合は、ホーム画面左上のメニューから「Years in Search:検索で振り返る」を選択しましょう。年度ごとで、急上昇したキーワードをカテゴリー別にランキング形式で確認できます。使い方は下記のとおりです。
- Googleトレンドの画面左上に表示される、3本線のメニューバーをクリック
- メニュー中の「Years in Search:検索で振り返る」をクリック
- ページ半ばの左側に表示される「急上昇ワードを見る」の下に表示された地域名をクリックすれば、国ごとの急上昇ワードの閲覧が可能
- ページ下部の「トレンドを探る」で調査したい年度を選択すれば、特定の年度における急上昇ワードの閲覧が可能



過去のデータは2001年まで遡って閲覧できるため、年代別のトレンド分析にも活用できます。
4. ニュースレターでトレンド情報を受け取る
Googleトレンドのホームページ上で「毎日のニュースレター」に登録すると、最新のトレンドをメール(英語のみ)で受け取ることができます。登録の手順は下記のとおりです。
- Googleトレンドのホーム画面をスクロールし、ページ下部に記されている「今日のトレンドニュースレター」へ移動
- ログインしているGoogleアカウントのメールアドレスが表示されていることを確認し、「登録」と記載された青いボタンをクリック


またRSSフィードを購読すれば、リアルタイムで急上昇に関するトピックを確認することも可能です。
ECサイト運営に役立つGoogleトレンドの活用方法

ECサイトを運営する際にGoogleトレンドを活用することで、顧客のニーズに合った商品リサーチが可能です。ここでは、ネットショップを開業する際や、マーケティング戦略を実行していくために効果的なGoogleトレンドの活用方法について解説します。
ニーズが高い商品の調査
現在や過去のトレンドキーワードをリサーチすることで、消費者のニーズ変化の調査・分析に役立ちます。最大5つのキーワードを同時にグラフで比較できるため、商品ごとの需要や注目度の増減を比較しやすく、仕入れや発注の参考にすることができます。
また、ニュースレターや「調べる」機能の長期的な期間設定(5年など)を活用すれば、季節性のあるトレンドも把握できるようになるでしょう。たとえば毎年同じ時期に検索需要がアップしている商品のキーワードを見つけることができれば、競合よりも早いタイミングでの仕入れや必要数の確保が可能となります。
商品と関連するトピックやキーワードの調査
Googleトレンドでは、商品に関連する重要なトピックやキーワードを調べることができます。たとえば「スニーカー」と検索した場合、「ランニング」が関連トピックとして現れるので、消費者がランニング用のスニーカーに関心があると把握できます。
また、急上昇ワードから関連する商品のニーズを探ることも可能です。たとえば、「夏フェス」がトレンドになった場合、フェス用のファッションアイテムとして「サングラス」や「日焼け止め」の注目度が高まる可能性があると連想できます。
同義語のなかで最も人気があるキーワードの調査
商品に関わるキーワードにいくつかの同義語がある場合、Googleトレンドで比較すれば人気のあるワードを見つけることができます。たとえばワイヤレスイヤホンが欲しい消費者は、「イヤホン」や「ワイヤレスイヤホン」「Bluetoothイヤホン」などのキーワードで商品を検索する場合がほとんどです。Googleトレンドで比較した結果、「ワイヤレスイヤホン」が最も高い割合であれば、広告やSNS投稿、商品説明の表現を統一することで消費者に情報が届きやすくなります。
トレンドになりそうなキーワードの調査
ヒット商品予測をする際にも、Googleトレンドは効果的です。キーワードを過去にさかのぼって分析し、推移を確認することで、今後注目を集めそうな話題を見つけられます。特に急上昇キーワードは新たなトレンドの兆しともいえるので、ビジネスチャンスを先取りした戦略を立てたい場合は頻繁にチェックしましょう。
Googleトレンドを使用する際の注意点

トレンドの変化を追跡する必要がある
消費者の関心度合いは、時間の経過によって変化する可能性があるので、Googleトレンドで得た情報に変化がないか追跡する必要があります。特に、商品の販売開始まで期間が空いてしまう場合、キーワードを調べたタイミングではトレンドが上昇傾向にあっても、実際に販売する時期には下降している可能性もあります。ただし、トレンドの変化が一時的なこともあるので、時間枠を変更して、一時的な変動か長期的な傾向かを区別して把握する必要もあるでしょう。
もし特定の商品の検索数が減少傾向にある場合、市場トレンドが衰退している可能性があるため、在庫管理や戦略の見直しなどを検討する必要があります。
地域によるトレンドの違いを確かめる
同一の商品でもエリアごとにニーズが異なる場合があるので、Googleトレンドを活用する際は地域別のニーズも把握するようにしましょう。ある地域ではニーズの少ない商品でも、違うエリアでは需要が発生しているケースもあります。そのため、国内のさまざまな地域のトレンドを調べて、商品のメインターゲットを特定しましょう。
トレンドの結果と購入意欲が比例するとは限らない
商品購入とは無関係の動機でキーワードを検索するユーザーもいるため、検索件数が多くても必ずしも売れるとは限りません。たとえば、「ハイキング」という一般的なキーワードで検索すると、ハイキングの場所を探している人も結果に含まれてしまいます。
しかしGoogleトレンドでは、Googleショッピング内に限定した検索結果も表示できるため、実際の購買行動に結びつきやすいキーワードを分析できます。「ハイキング」の検索結果も、Googleショッピングで絞り込めば、購入意欲の高い消費者が多く検索をしているかを把握できるでしょう。
Googleトレンドの検索結果は「相対値」
Googleトレンドで表示されるデータは「検索件数」などの絶対値ではなく、検索条件のなかでピークを100とした「人気度」という相対値で表わされています。そのため、たとえば「スキー」というキーワードの人気度を調べた場合、夏場に直近30日間でぐんぐん上昇しているように見えても、検索条件を過去1年間に変えてみると冬の方が圧倒的に人気度が高かった、というように結果が変化することもあります。
また、人気度が変化せず横ばいとなっているキーワードの場合、常に需要の高いものなのか、あるいは検索されることの少ないワードなのかは判別できません。もしキーワードの検索ボリュームを調べたい場合は、Googleキーワードプランナーを活用しましょう。
Googleトレンドのデータを検証する方法

Googleトレンドの検索結果をもとに把握したニーズやアイデアが正しいか、他の手段を用いて検証することも重要です。複数の方法を通して根拠を裏付けできれば、Googleトレンドの検索結果で得た商品アイデアやビジネスプランをより洗練させることができるでしょう。
SNSのトレンドを分析する
Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)、TikTok(ティックトック)などのSNSで同様のキーワードや関連キーワードなどを検索することによって、Googleトレンドのデータだけでは見えてこない、詳細な消費者の興味や行動パターンを把握できます。たとえば、キーワードが含まれたハッシュタグの盛り上がりや、キーワードに関連する投稿の急増を比較することで、Googleトレンドの検索結果と実際のトレンドが一致していることがわかるでしょう。
競合他社を調べる
Googleトレンドで得たアイデアと同様の製品・サービスを提供している企業数や商品内容を調べることで、具体的な市場のニーズや自社の強み、改善点を把握できます。
また競合他社の戦略・強みの理解を通して自社製品の位置づけを明確にもできるため、トレンド商品の中でもニッチ市場へ舵を切るなど、収益性の高いビジネスアイデアが見つかるきっかけにもなるでしょう。
ターゲット顧客を調査する
インスタストーリーズやSNSアンケート、メルマガを活用して顧客を調査しましょう。検索数の多い商品が必ず売れるわけではないため、Googleトレンドをきっかけにして実際のニーズを確かめることが重要です。
ターゲット顧客のリアルな声もあわせて分析すれば、Googleトレンドを調べた情報の信憑性を判断でき、より明確にニーズや課題を明らかにできるでしょう。また顧客の反応を通して、製品が市場で受け入れられるか、儲かる商品になっているかを判断することも可能です。
まとめ
Googleトレンドは、消費者の関心やニーズをリアルタイムで分析できる無料ツールです。Googleトレンドを活用することで、ECサイトの運営者は市場のトレンドを即座に把握できるので、商品選定やマーケティング戦略に役立てることができます。
また時系列でのキーワード追跡、地域での絞り込み、関連キーワードの確認などもできるため、ニーズが高まっている商品の特定やターゲットエリアの選定、関連トピックの調査も行えます。分析した情報を基に商品展開することで、ECサイトの売り上げ向上にもつなげられるでしょう。
一方で、検索結果に変化がないか追跡すべき点や、Googleトレンドの検索結果は相対値である点に注意が必要です。またビジネスプランやマーケティングをより洗練させるためには、SNSや競合の分析なども並行して行っていくことも欠かせません。
ECサイトの売り上げアップの施策を考えている人は、ぜひこの記事を参考に、Googleトレンドを活用して消費者のニーズに応える商品やサービスを提供してみてください。
よくある質問
Googleトレンドは何ができる?
Googleトレンドでは、特定のキーワードの検索頻度をリアルタイムで把握し、期間や地域、カテゴリーを絞り込んで検索人気度の推移をグラフ化できます。参照できる期間も幅広いため、長期的なトレンドの変化を把握できます。
Googleトレンドの参照可能な期間は?
Googleトレンドでは、過去1時間・4時間・1日・7日・30日・90日・5年・2004年から現在までのさまざまな期間を参照できます。
Googleトレンドで流行の商品を見つけるにはどうすれば良い?
Googleトレンドで流行の商品を見つけるには、Googleショッピング内に限定して検索結果を表示します。そうすることで、購買需要とは関係のないキーワードを除外することができ、流行の商品を効率的に見つけることができます。
文:Ryutaro Yamauchi