これから起業を目指す方や、新商品を販売してビジネスを成長に導きたい方にとって、売れる商品アイデアを見つけることは重要な課題の一つです。また、店舗やネットで売れるものの特徴や実現方法を理解するだけでなく、商品アイデアで成功を収めた実例を参考にすることも大切です。
この記事では、最新技術や消費者行動の変化を活用した売れるアイデアを一覧で紹介します。起業を考えている方や、売れる新商品を探している方はぜひ参考にしてください。
売れるアイデア10選
1. 既存商品を改良する
すでに販売している自社商品や一度販売をやめてしまったアイテムなどの既存商品を改良することで、多くの顧客に購入してもらえる売れるアイデアになります。
デザインや機能をニーズに合わせて追加・改良しラインナップ強化を行う、顧客ニーズに応えられるよう問題点を洗い出して必要な改良を加えるといったことを行います。場合によっては、商品のブランドイメージやコンセプトにも手を加えるような大幅な路線変更が行われることもあるでしょう。
消費者の意見を取り入れ、商品改良とラインナップ強化を行った商品開発の例に、亀田製菓の「ハッピーターン」があります。

ハッピーターンは1976年に「欧風せんべい」として販売が開始されて以来、定番商品としての地位を確立している人気商品です。
ハッピーターンは何度も商品改良を重ねていることで知られており、生地表面のひびや溝、砂糖や塩の粒の大きさなど、消費者の食生活や味の変化に合わせる形で細かい改良を重ねています。
さらに、コンビニ限定で「パウダー250%ハッピーターン」を販売したり、スパイスが利いた「ハッピーターンスパイス」を発売したりと、大人のニーズに応える工夫なども行うことで訴求力を高めています。
亀田製菓はShopify(ショッピファイ)を使ったECの強化も行っており、従来の実店舗での販売だけでなく、若年層への訴求も実現しています。
2. SNS戦略が活用できる商品を選ぶ
売れる商品の見つけ方の一つに、SNSでの集客やSNSマーケティングを前提としたビジネスの立ち上げがあります。
近年SNSは情報収集の主要な手段になっており、モバイル社会研究所の調査では、SNSから生活情報を得ている人の割合は39.8%、10~30代においては6~7割にのぼることがわかっています。そのため、SNSで映える商品や紹介しやすい商品、話題になりやすい商品などに着目して商品アイデアを探す方法も有効でしょう。
以下のようなSNS戦略を活用できる商品を販売し、自社サイトや店舗への集客、さらに知名度向上を目指すと良いでしょう。
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)
- インフルエンサーマーケティング
- ライブコマース
- コンテンツマーケティング
- ショップ機能(インスタのショップ機能、TikTok Shopなど)の活用
- 広告(インスタ広告、Facebook広告、TikTok広告など)
インテリア雑貨を取り扱うひなたライフは、流入経路を確認するためにGoogleアナリティクスを活用し、エンゲージメントの高かったInstagramで商品を紹介しています。

さらに、インテリア系インフルエンサーを起用してタイアップ企画やPR投稿を行ったことで、現在フォロワー数は71万人を超えています。
3. 目的達成のためのビジネスを構築する
商品アイデアや新規事業のアイデア例から探すのではなく、企業の目的達成のためにビジネスを構築すると、アイデアが具体的な形となり、売れるアイデアになるケースも少なくありません。
知的障害のある人のアート作品の著作権を管理し、商品化などさまざまな形で展開していくヘラルボニーは、目的達成のための行動が売れるアイデアになった企業です。

ヘラるボニーは、障害のある人が作成したアート作品を通して収入を得たり、社会的地位を向上させたりすることを目指しており、「異彩を、放て。」というミッションを掲げています。障害のある人を支援対象としてではなく、「異彩」を持つ人材として捉えるという考えが共感を呼び、ブランドの知名度も確立させています。
4. 小規模ビジネスからスタートし規模を拡大させていく
クラフト製作が好きな人であれば、自宅から小規模ビジネスを始め、徐々に規模を拡大させていくのも売れるアイデアとしておすすめです。人気のあるハンドメイド商品は以下の通りです。
ある程度の顧客基盤を構築し、ブランディングも行って利益が安定してきたら、規模を大きくするタイミングです。生産量を増やすために従業員を雇ったり、新たなプロジェクトのために時間や資金を確保したりすることも検討しましょう。マーケットプレイスでの販売や委託販売に乗り出すこともできます。
5. AIを活用する
近年のAIの台頭に伴い、AIで稼ぐ方法も増えてきています。現在ではほとんどの業界においてAIを活用した業務効率化が進んでおり、AIを活用してビジネス展開を目指す企業・個人も増えています。
- AIコンテンツマーケティング:オーディエンスが求めるコンテンツを作成するのにAIの活用が可能です。人間の手による最終的な確認や修正は必要になりますが、作業時間が大きく削減できるため、利益につながりやすくなります。
- AIパーソナルアシスタントサービス:スケジュール管理やリマインダー設定といった日々の作業を効率化するためのアプリやプラットフォームを開発し、サービスとして提供することが可能です。
- AIプロンプター:AIプロンプターとは、要望に合わせた効果的なAIプロンプトを作成する専門家のことです。プロンプトのデータベース作成や管理、パフォーマンスのテストと評価など、AIの出力結果を依頼者が求める結果により近づけ、効率化を図ります。
- AIコンサルタント:最新のAI技術や特徴に詳しい人は、AIを活用したビジネス改善や役立つ使い方などをアドバイスするコンサルタントになり、サービスとして提供することができます。
6. プライベートレーベル商品を販売する
製造会社が製造した商品を、別企業のブランド名で販売するプライベートレーベルを利用することで、製造技術を持たない企業でも自社ブランドとして商品を販売できます。独自のデザインのラベルやパッケージを使用することができるため、一貫したブランディングを行えるというメリットもあります。
プライベートレーベル商品には以下のようなものがあります。
7. デジタルコンテンツを販売する
ECサイト運営者におすすめの売れるアイデアの一つに、音楽や写真・動画、電子書籍、イラスト、ゲームなどのデジタルコンテンツ販売が挙げられます。
無形商品の一つであるデジタルコンテンツは、インターネットを通じてダウンロードができたり、閲覧・視聴ができたりする形態をとっています。在庫や倉庫といったコストが発生せず、配送の手間もかからないケースがほとんどであるため、利益率が高いという特徴があります。
自分の得意分野を商品化して販売できることから、初期投資を抑えて起業したい場合にも適しています。デジタルコンテンツ販売は、趣味でお金を稼ぐ方法にもなるため、起業家や既存企業だけでなく、副業で売れるアイデアを探している人にもおすすめです。
8. オンライン講座を販売する
デジタルコンテンツに類似する売れるアイデアとして、オンライン講座があります。自身の専門知識や得意分野に関する講座を作成し、受講者の好きなタイミングで視聴できるオンデマンド配信や、リアルタイムで講座を受けるライブ配信などの方法で販売します。
ターゲットとなる視聴者のニーズに合わせた講座を作ることが大切で、テストの添削サービスなどオプションも提供することで他の講座と差別化できます。
実際に講座を販売する前に、テスト販売を兼ねて先行販売をして、顧客にフィードバックをもらい問題点を改善してから本販売へと踏み切ると、より質の高い商品を届けられるようになります。
9. サブスクリプションサービスを提供する
従来の販売方式ではなく、サブスクリプションという形で販売できる商品アイデアもあります。サブスクリプションサービスは、一定期間利用する権利を提供するビジネスモデルで、収益が予測しやすく、継続的な収益につながりやすいというメリットがあります。
サブスクリプションには以下の4つのモデルがあります。
- 会員制モデル:月会費や年会費を支払うことで、音楽ストリーミングや動画ストリーミングが利用できたり、割引商品や限定商品が購入できるようになったりします。
- 定期購入モデル:特定の商品を定期的に届けるモデルで、消耗品を提供するのに向いています。定期購入は割引価格で提供されることが多く、継続率が高いというメリットもあります。
- レコメンドモデル:顧客の好みや趣味に合わせてセレクトした商品を届けます。ジャンルはアパレル商品やコスメなどが一般的です。
- 頒布会モデル:人気商品や新商品、おすすめ商品を企業側がセレクトし、顧客に届けます。何が届くかわからないため、サプライズ体験を好む顧客に人気です。

食材宅配サービスのoisix(オイシックス)は、月額1,598円(税込)で45品以上の対象商品のなかから、3品まで商品を選べる「牛乳とか飲み放題」というサブスクリプションサービスを提供しています。
10. ターゲットをずらして商品提供する
すでに販売している既存商品のターゲットをずらすのも売れるアイデアになります。DtoCからBtoB、BtoBからDtoCといったターゲットのずらし方だけでなく、ベビー用品に改良を加えて大人向け新商品として販売したり、文房具専門店が、顧客の要望に応えて左利き用商品の開発を行うなかで、調理器具の販売にも乗り出したりした例もあります。
墓石を中心に石材の加工を手掛ける企業の砂原石材は、企業向け商品を一般消費者向けに販売したことで成功を収めた好例です。

当初は飲食店向けに販売を行っていた焼肉用調理器具を、家庭向け商品として改良を加えて販売開始し、自社ECサイトとECモールへ出店することで販売数を伸ばしています。
売れるアイデアの特徴とは?

売れるアイデアには上記のような特徴があります。商品アイデアそのものはもちろん、他にもさまざまな要素が商品の売れ行きに影響を与えていることを理解することが重要です。
消費者のニーズに基づいたアイデアである
売れるアイデアの特徴の一つに、消費者のニーズに基づいたアイデアであることが挙げられます。新たなアイデアを考える時、自分が良いと感じる商品に着目してしまう傾向があります。しかし、売れる製品アイデアだと思うものが、ターゲット顧客や潜在顧客など消費者にとって魅力的であるとは限らず、思うように売り上げを伸ばせないケースも少なくありません。
ニーズに基づいたアイデアを出すためには、以下の方法が役立ちます。
まず、市場調査でターゲット層が必要としている商品やサービスは何かを探っていきます。ニーズがあるジャンルや商品カテゴリーを知ることで、ターゲット層に合った商品アイデアを見つけることにもつながるでしょう。また、十分な市場規模があるかを確認することもできるため、ニーズには合っているがターゲット顧客が少なすぎて売り上げが伸びないといった問題を避けることも可能です。
次に、商品やサービスを利用する典型的なユーザー像であるペルソナを設定します。ペルソナが抱えている悩みを解決したり、ペルソナの生活をより豊かにしたりする商品とはどのようなものかを探っていきましょう。ペルソナ設定では、具体的な人物像をイメージするため、より具体的なニーズを知ることができます。
最後に、カスタマージャーニーマップを活用して、消費者が商品の購入に至るまでの流れをシミュレーションします。商品のアイデアが良くても、購入障壁が残ったままだと消費者は購入にまで至りません。ストレスなく商品購入ができるように、定期的な購入が予想される商品はサブスクリプションサービスを提案する、商品の質感や使用感を確かめたい消費者向けにECサイトと実店舗で販売するマルチチャネル戦略をとる、といったことが考えられます。
商品を購入することで得られるベネフィットがわかりやすい
商品やサービスを購入することで得られる恩恵や利益であるベネフィットが明確であると、ターゲットユーザーの購買意欲を引き出しやすくなります。例えば、商品を利用した前と後の変化がわかるビフォーアフター画像や動画を活用する、ファッションアイテムの場合は着用中の様子がわかる画像・動画を掲載する方法があります。
ベネフィットがわかりやすいと、バリュープロポジション(価値提案)を作りやすくなるため、訴求力向上も期待できるでしょう。
顧客に信頼感を与えられる
消費者が商品購入を決断する際に重要となるのが、商品や販売者、製造者が信頼できるかという点です。どんなに魅力的に見える商品やサービスを提供していたとしても、信頼感がない場合、購入には至りにくくなります。
顧客に信頼感を与えるために、ブランディングを行って商品や販売者の認知度を上げたり、有名人やインフルエンサーを起用したりする手法が取られることもあります。また、口コミが多い、商品の検証を細かく行っている、顧客対応が手厚いと感じられる場合にも、消費者は安心して商品を購入することができるでしょう。顧客との関係を強化するために、サンプルを配るといった方法も有効です。
販売者のビジョンが明確で共感を呼ぶものである
消費者は、商品アイデアの良し悪しだけでなく、販売者のビジョンに共感して商品を購入することも少なくありません。販売者のビジョンが明確で、かつターゲット層の共感を呼ぶものであると、販売者のビジョンがタッチポイント(顧客接点)となり、商品に興味を持ってもらうきっかけとなります。
例えば、環境に配慮したサステナブルなビジネスや健全な職場環境の実現、社会貢献などが挙げられます。利益追求だけでなく、企業が社会や個人へ与える影響を考え、共感してもらえれば、リピーターとして何度も商品を購入してもらえることもあるでしょう。
起業家マインドセットを持っている
売れる商品を販売する企業に共通する点として、起業家マインドセット(起業家精神)を持っていることが挙げられます。起業家マインドセットとは、新規事業を考え、リスクを恐れず行動し、困難や課題を乗り越えるようとする姿勢のことです。
収益性の高いビジネスを成長させることは容易ではありません。売れるアイデアを考えるだけでなく、そのアイデアを実際に収益につなげていくために、長期的な計画を立てたり困難や課題に誠実に向き合い対応したり、さらには逆境でも辛抱強く戦略的な運営を続けたりすることが必要となります。
以下のようなマインドセットを意識して売れるアイデアを追求してみましょう。
- 好奇心:新たなビジネスアイデアやチャンスを見つけるきっかけとなります。
- 協調力:人や他部署、他企業と協力し合って事業を成長に導くことができる力です。
- 粘り強さ:成果が目に見えない場合も試行錯誤を繰り返し収益化を目指す姿勢のことです。
- 責任感:仕事や顧客に対し、任務や責任を全うしようとすることを指します。
- レジリエンス(再起力):逆境にあっても改善を目指して対応し、状況を好転させることのできる力です。
- コンフォートゾーン(快適領域)から抜け出す自信:現状に満足せず、向上心を持って新たなことに挑戦する心構えを持つことです。
まとめ
売れるアイデアを見つける方法は、ゼロから生み出したり、Googleトレンドやネットで見つけたものを参考にしたりするだけではありません。既存商品の改良、SNS戦略の活用、目的達成を主軸にするなど、さまざまな視点から考えることで見つけられます。
AIのような最新技術を取り入れたり、ハンドメイド製品やプライベートレーベル商品を試したりすることもできるでしょう。ECサイト運営者なら、デジタルコンテンツやオンライン講座、サブスクリプションサービスも適しています。
また、敢えてターゲット層をずらすことで、新たなニーズを見つけて利益をあげることもできます。
この記事で紹介した売れるアイデアだけでなく、売れるアイデアの特徴も参考にしながら、新規ビジネス開始や事業拡大に役立ててください。
売れるアイデアに関するよくある質問
売れるアイデアには何がある?
- 既存商品を改良する
- SNS戦略が活用できる商品を選ぶ
- 目的達成のためのビジネスを構築する
- 小規模ビジネスからスタートし規模を拡大させていく
- AIを活用する
- プライベートレーベル商品を販売する
- デジタルコンテンツを販売する
- オンライン講座を販売する
- サブスクリプションサービスを提供する
- ターゲットをずらして商品提供する
売れるアイデアを実現する方法は?
- 市場調査を行う
- ビジネスプランを作成する
- 資金調達をする
- 販売チャネルを決定・用意する
- ブランディングを行う
手作りアイテムでネットで売れるものは?
- 石鹸
- アクセサリー
- キャンドル
- 陶器
- 編み物
- 革製品
- レジン製品
- アクリルスタンド
文:Masumi Murakami