自分の店舗がなくても商品を販売できる委託販売は、在宅ワークでハンドメイドキャンドルやアクセサリーなど、ハンドメイドの制作を行っている方におすすめの販売方法です。また、手先が器用であったり、ユニークな商品アイデアがあったりする場合は、この記事での解説を参考に、ぜひハンドメイド販売に挑戦してみてください。
委託販売とは
委託販売とは、商品を第三者に預けて代理で販売してもらう販売方式です。ネットショップや雑貨屋、カフェなどに商品を置いてもらい、販売から発送までを委託先に任せ、商品が売れたら委託販売手数料を支払うのが一般的です。
委託販売の仕組みと流れ

委託販売の仕組みと主な流れは次のとおりです。
- 委託先を見つけ、契約する
- 委託先に商品を搬入する
- 委託先から売上報告を受ける
- 委託手数料を支払う・売上金を受け取る
1. 委託先を見つけ、契約する
委託したい店舗があり、そこが委託販売をしているのか分からない場合は、スタッフに確認してみましょう。今まで委託販売の経験がなくても、自分が常連客であれば特別に交渉に応じてくれる場合もあります。委託をお願いできる場合は、次の項目について、細かく書面で契約を締結しましょう。
- 委託販売手数料
- 破損や盗難時の責任
- 返品時の委託先への返金
- 売上報告の頻度
- 入金先、入金頻度と期限
- 新商品の搬入や売れ残りの搬出頻度、役割分担、制限事項
- 購入者からの問い合わせ対応の役割分担
2. 委託先に商品を搬入する
商品の搬入前に、割り当てられたスペースにどの程度の商品が陳列できるか想定しておきましょう。同じサイズのスペースを用意してレイアウトをシミュレーションしておくと、効率良く搬入ができます。
委託先によっては搬入時間や搬入経路、搬入口に停められる車両のサイズなどが指定されている場合があるので、必ず確認しましょう。
また、委託先で検品が行われることもあります。契約にない商品を持ち込まない、不良品があった場合に備え少し多めに商品を準備しておくなどしましょう。
3. 委託先から売上報告を受ける
委託販売の場合、売り上げごとに仕切精算書(売上計算書)という会計上の書類が委託者に発行されます。売上報告は在庫管理の点でも重要なため、売り上げがなくても定期的に報告してもらうか、報告以外の方法で委託先の在庫数を確認できるように契約で定めましょう。
4. 委託手数料を支払う・売上金を受け取る
報告書をもとに、委託手数料を支払います。売上金は契約で決めた振込先や期日などに基づき受け取ることができますが、売り上げから手数料分を引いた額を受け取る相殺処理をすることも可能です。
委託販売の手数料の相場
委託販売の手数料は委託先により異なりますが、おおよそ販売額の20〜60%が相場です。実店舗の場合、個人経営店やセレクトショップ、商業施設内のブースなど、店舗形態によって手数料が変動します。大型商業施設のほうが手数料は高く、相場は40〜60%です。
ネットショップの委託手数料は実店舗よりも比較的低い傾向にあります。相場は約20〜50%で、個人経営のネットショップでは20〜40%と、より低めに設定されることが一般的です。
このように、商品を陳列するスペースを確保し、テナント料が発生する実店舗のほうがネットショップよりも手数料が高くなる傾向にあります。また、委託手数料のほかに初期契約料や更新料なども必要になる場合があります。
委託販売のメリット
開店せずに店舗販売できる
委託販売では、自らテナントを借りたりドメインを作ったりする必要がなく、販売員やサイト運営の人員確保、店舗やウェブサイトの保守も不要です。これらの業務はすべて店舗側が行ってくれるため、開店や運営の負担を大幅に軽減できます。
既存の店舗の知名度を活かせる
委託先の集客力を活かして、ビジネスを軌道に乗せるまでの時間を短縮できます。特にファンが確立しているブランドに委託できた場合は、その影響力を最大限活用しましょう。自身のSNSを活用してマーケティングを行い、積極的に営業活動をすることで、より多くのユーザーに商品を知ってもらえます。
委託販売のデメリット
在庫管理が必要
委託販売では、商品の在庫管理を自分で行う必要があります。売上報告をもとに在庫数を計算したり、店舗に問い合わせたりする以外にも、店舗で陳列しきれない場合や返品が出た場合など、余剰在庫に対応する必要性があることも理解しておきましょう。
委託先との契約が難しい
口頭でも契約は締結できますが、委託販売は業務委託契約書を用意したほうがトラブル防止につながります。たとえば、商品が盗まれたり、事故や天災で破損したりした場合は、誰がどのように責任を取るのか、商品の搬入や搬出にかかる作業費用は、どちらがどのくらい負担するか、委託先の同意を得て契約書に記載しておく必要があります。
委託販売の経験がある店舗なら、既に契約書のテンプレートがあるかもしれませんが、内容の変更が必要な場合は変更点の精査や弁護士の確認などに時間がかかります。
商品の説明やアピールの方法が限定される
委託販売では、商品について顧客に直接説明できません。そのため、商品について委託先に理解してもらい、代わりに説明をしてもらう必要があります。
また、アピールの方法に制限がある場合もあります。たとえば、実店舗でポップ設置ができない、レイアウト変更が気軽に行えないなどが考えられます。ネットショップの場合は、サイトの仕様でアップできる画像数や文字数に制限があるかもしれません。
委託販売店やネットショップの見つけ方
実店舗に依頼する
実店舗の場合、委託販売を受け入れてくれそうな店舗に問い合わせしてみましょう。正式に委託を依頼する前に、一度客として来店し、店内の雰囲気や店員の対応を確認することも大切です。委託販売を受け付けていない店舗でも、常連であれば特別に対応してくれる可能性があるので、一度交渉してみると良いでしょう。
ネットショップに依頼する
ネットショップの場合は、SNSやインターネットを活用して委託販売先を探すのが効果的です。委託販売を募集しているネットショップを検索して見つける方法や、インスタグラムなどのSNSで同業種のクリエイターが利用している委託販売先を投稿から見つける方法などがあります。
委託先の候補が見つかったら、委託販売を任せられるショップか確かめます。商品検索からカートへの追加、配送方法や日時の指定、決済手段の多さなどのほかに、可能であれば実際に商品を購入し、購入処理完了の連絡から商品の到着、梱包の仕方まで確認しましょう。
ハンドメイド製品を委託販売できるネットショップには、Etsy(エッツィー)などがあります。委託販売を依頼したいショップがあったら、委託生産パートナーとして提携できないか交渉してみましょう。
店舗側やバイヤーに見つけてもらう
委託先を自ら探す以外に、店舗側からスカウトされて商品を置かせてもらう方法があります。たとえば、売りたい商品の展示会や同業種のイベントなどに参加することで、興味を持った店舗やバイヤーから声をかけてもらえる可能性が高まります。
また、店舗側から注目された際に声がかかりやすいよう、SNSのアカウントを整え、活動情報を定期的に投稿し、連絡先も目立つように記載しておきましょう。その際、短く覚えやすいアカウント名、印象に残りやすいキャッチコピー、商品へのこだわりなどをアピールし、唯一無二なブランド構築を行っておくと効果的です。ブランドは自分の商品と他社の商品を差別化する重要な要素です。なるべく早い段階から意識し、戦略的に構築にしていきましょう。
まとめ
委託販売は、第三者に販売を任せることで、開店準備の手間がなくなり、委託先の知名度を活用できる魅力がありますが、在庫管理や契約内容など難しい部分もあります。
しかし、すべてを自分で経営・運営するよりも、委託販売のほうが商品の制作に集中でき、諸費用も抑えられるため、ハンドメイド製品などを販売したい方にとって、委託販売は有力な選択肢となるでしょう。また、委託先を実店舗かネットショップのどちらかに絞る必要はなく、両方と契約してマルチチャネルを確立することも一つの方法です。
よくある質問
ハンドメイド商品の委託販売は儲かる?
ハンドメイド商品の委託販売は、一概に儲かるとは言えません。ただし、店舗の開店費用や人件費などのコストが不要で、売れた際のみ手数料が発生するため、金銭的な負担が軽減されます。
委託販売の手数料の相場は?
委託販売の手数料の相場は、販売額の20〜60%が一般的です。ほかにも初期手数料や委託契約更新料などが必要な場合もあります。委託先の知名度や店舗の規模、委託者の実績などに応じて、損益分岐点を割らない範囲で手数料を決めましょう。
どんなものが委託販売されている?
ハンドメイドアクセサリーなどの装飾品、イラストや写真集などの芸術品、家具や電子回路などの実用品に至るまで、さまざまな製品が実店舗やネットショップで委託販売されています。
ネットショップと実店舗ではどちらが委託販売向き?
ネットショップと実店舗のどちらが委託販売向きかは商品によって異なりますが、肌触りや匂い、味、使い勝手などが売りの商品であれば、実店舗が向いています。そのような商品をネットショップに委託する場合は、問い合わせに応じて商品サンプルを送付するなどの対応をすると良いでしょう。
委託販売で特に注意すべき点は?
委託販売で注意すべき点は、委託先との契約内容です。手数料を差し引いても利益が出るビジネスモデルになっているか、双方の義務が想定できるすべてのケースについて規定されているか、権利は自分だけに不利になっていないかなど、契約内容を必ず確認しましょう。
文:Momo Hidaka