ネットでお金を稼ぐ方法、在宅で稼ぐ方法として、ハンドメイド作品の販売が人気です。
「趣味でハンドメイド作品をたくさん作ったけれど、そろそろプレゼントする人もいなくなってきた」「ハンドメイド品を販売したいけれどやり方がわからない」「生活にゆとりをもたせるために副業で収入を得たい」「在宅でできる仕事を探している」そんな人は、オンラインでハンドメイドの販売を始めてみませんか。
この記事では、ハンドメイド作品の販売の始め方から、気になる値段設定の方法や販売にかかる手数料、販売における注意点まで、ハンドメイド販売の初心者が気になる点を総合的にまとめました。
ハンドメイド販売の始め方
ハンドメイド販売を始めるには、大きく次の6ステップがあります。
- 販売する商品を決める
- コンセプトやストア名を決める
- 販売計画を立てる
- オンラインストアを開設する
- 商品を登録する
- 梱包材など発送に必要なものを用意する
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販売する商品を決める
ハンドメイド商品といっても、ハンドメイドアクセサリー、洋服、かばん、石けん、お菓子などの食品まで、幅広い商品が売られています。すでに趣味としてハンドメイド作品を作っている人は、自分のどの作品を販売するのか決めましょう。まだ何を販売するか決めかねている人は、ハンドメイドで売れるものをリサーチしてみましょう。
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コンセプトやストア名を決める
販売する商品を決めたら、次はブランドのコンセプトやストア名を決めます。コンセプトとは、ブランド全体をつらぬく考え方のことであり、「ブランドらしさ」のことです。たとえば、洋服を販売するなら、だれに着てほしいのか、どんなときに着てほしいのか、着たときにどんな気分になってほしいのかを想像してみましょう。最初は抽象的になってしまうかもしれませんが、軸となるコンセプトが定まれば、他のストアとの差別化ができ、顧客をひきつける魅力的なストーリーがうまれます。コンセプトにあわせて、ショップ名も決定しましょう。
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販売計画を立てる
材料はどこから調達するか、在庫はどのくらい確保するか、商品の値段はいくらにするかなどを決定し、販売計画を立てます。経費がいくらかかり、利益がいくら得られるか、あらかじめ試算しておきましょう。
ビジネスを継続するには、目標を設定することも大切です。個別の商品の利益から、短期目標を決めてもいいでしょうし、1〜3年で達成したい長期目標から逆算して1ヵ月の販売目標を定めるのも効果的です。製作にかけられる時間や、ライフプランなども考慮して、ビジネスプランを立てましょう。
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オンラインストアを開設する
販売計画を立てたら、いよいよオンラインストアを開設します。ハンドメイド販売サイトにはハンドメイド専門サイト、フリマサイト、自社ECサイトがあります。
ハンドメイド専門サイトには、minne(ミンネ)、creema(クリーマ)、Etsy(エッツィー)などがあり、最初からハンドメイドに興味があり購買意欲のあるユーザーが集まっている点が魅力です。
フリマサイトは、メルカリが代表的です。フリマサイトの利点は、なんといっても規模の大きさです。国内最大のフリマサイトであるメルカリの場合、2022年に月間の利用者数が2000万人を突破した月もありました。
ハンドメイド専門サイトやフリマサイトは、さまざまな商品が一箇所に集まるマーケットプレイスであるため、常に価格競争が発生しています。しかし売上の一部が手数料として引かれるため、利益を確保するためには商品の値段を上げなければならないという現状もあります。また、マーケットプレイスの場合、通常顧客データを収集することはできません。
自社ECサイトは、自由度が高く、ビジネスの成長に応じて拡張させていくことができます。ネットショップの開業をサポートするプラットフォームには、Shopify(ショッピファイ)があります。Shopifyを利用すると、ウェブ制作の知識がなくても、自社ECサイトをかんたんに立ち上げることができます。ブランドの信頼性を高める独自ドメインの取得も可能で、デザインの細かい調整もできるため、ブランドのイメージをストアに確実に反映させることができます。また、顧客データや購買データが取得できるため、データを分析して、マーケティングの戦略が立てられるのも自社ECサイトの強みです。
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商品を登録する
開設したオンラインストアに商品情報を登録します。登録には、商品名、販売価格、商品説明、商品スペックなどについてのテキストと、商品画像が必要です。
説明には特徴を現すキャッチフレーズをいれると、顧客の関心をひくことができます。
商品画像も非常に重要な要素です。自分で物撮りする場合は、光や背景を工夫してみましょう。光のあたりかたが変わるだけでも、印象はぐっと変わります。さらに、編集ソフトで、明るさや構図、色味などを調整して、商品の理想のイメージに近づけていきましょう。
サイズやファイルの拡張子は、各ストアのガイドラインを参照してください。
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梱包材など発送に必要なものを用意する
商品の発送時に必要となる梱包材、ガムテープ、緩衝材、メッセージカード、明細表などを用意します。商品が安全に顧客の元へ届くように、商品の素材やサイズにあわせて適切な梱包をしましょう。
梱包は、ブランドイメージにも大きく寄与します。実店舗のないネット販売の場合、顧客がはじめて触れるのは、梱包された状態の商品です。梱包もブランドの一部ととらえて、ブランドコンセプトにあった梱包とはどんなものか、顧客にどんな第一印象を与えたいか、検討して用意を進めましょう。
ハンドメイドの値段設定方法
値段を設定する一番シンプルな方法は、コストの合計に対し、利益を足すことです。
コストには次のようなものがあります。
- 原材料費
- 梱包材費
- 配送料
- 人件費(製作に要した時間×時給)
- 製作に使用した道具代
- 販売にかかる手数料
一般的には「コストの3〜5倍が販売価格」といわれています。つまり、コストを1000円かけてハンドメイドアクセサリーを製作した場合、3000〜5000円が販売価格の幅となります。ですが、こういった計算はあくまでひとつの目安にすぎません。顧客の想像する価格イメージや、競合の販売価格、需要や希少性などを考慮に入れ、調整する必要があります。
また、商品の値段は、ブランドのイメージにも影響します。「始めたばかりだから採算は度外視しよう」とむやみに安くするのは考えものです。もちろん値段が安いほうが、商品購入のハードルは低くなりますが、安すぎる価格は、チープであやしいイメージをもたれてしまうこともあります。商品の内容やブランドコンセプトにあわせて、適切な値段を設定しましょう。
適切な値段を設定するには、ほかにもさまざまな計算方法や戦略がありますが、完璧な公式はどこにも存在しません。また、値段は一度設定したら終わりというわけでもありません。売れ行きや顧客からのフィードバック、社会情勢なども考慮して、定期的に値段を見直しましょう。
ハンドメイド製品の販売手数料
ハンドメイドの販売手数料は、プラットフォームによって大きく異なります。
主要なプラットフォームの販売手数料は次のとおりです。
- Shopify:プランに応じた月額制であり、商品登録は無料です。Shopifyペイメントを利用した場合、取引手数料も無料になります。外部決済サービスを利用する場合、ベーシックで2%、スタンダードで1%、プレミアムで0.5%の取引手数料が発生します。Shopifyペイメントを利用した場合、振込手数料も無料です。
- minnne:商品登録は無料です。商品が売れた場合、送料を含めた作品価格+購入オプション価格の10.56%(税込)の販売手数料が発生します。また、売上金を引き出す際に、220円(税込)の振込手数料が発生します。
- creema:商品登録は無料です。作品・素材が売れた場合は商品総額の11%(税込)、食品が売れた場合は決済総額の15.4%(税込)、中国版サイトで商品が売れた場合は、決済総額の21%(台湾の営業税5%込)と一取引あたり42円(台湾の営業税5%込)の決済手数料が発生します。
- Etsy:商品登録には1点あたり0.20米ドル(税込)かかります。商品が売れた場合、商品の価格に応じて6.5%(税込)の取引手数料が発生します。また、日本への入金には、販売合計額の6%+0.30 米ドルの入金手数料が発生します。
- メルカリ:商品登録は無料です。送料を含めた商品価格の合計額の10%の販売手数料が発生します。また、売上金を引き出す際に、220円(税込)の振込手数料が発生します
ハンドメイド販売の注意点
ハンドメイド販売において注意すべきなのは著作権です。作ったハンドメイド作品を個人的に楽しんだり、無償のプレゼントにしたりする場合、著作権はほとんど問題になりませんが、販売するときは、自分の作ったものが他の人の著作権を侵害していないか十分に注意する必要があります。
たとえば、次のような商品は販売することができません。
- 他人の作品を模倣したもの:他のハンドメイド作家から、アイディアを得たり、参考にしたりすることはあると思いますが、作品を模倣して販売してはいけません。他の人の作品にちょっとしたアレンジを加えたのみで、第三者からはほとんど変化がわからないような作品も著作権違反です。オリジナルの作品を販売しましょう。
- ブランドロゴやキャラクターを使用・模倣したもの:ブランドロゴに類似したロゴを作成し、販売することはできません。オリジナルではないキャラクターを使用したり、模倣したりして、販売することも禁止されています。自分のオリジナルのロゴやキャラクターを使用しましょう。
- キャラクター生地やデザイナーズ生地を使用しているもの:キャラクター生地の使用は、権利を取得しないかぎりNGです。また、デザイナーズ生地では販売目的のハンドメイド作品への利用が禁止されていることがあります。ハンドメイド作品への利用がOKな記事であっても、公式のライセンス製品と区別をつけるため、ブランド指定の表記を商品タグへ記載することが義務づけられていたり、利用料を払う必要があったりと、利用条件はそれぞれ異なります。自分の使用する材料が、販売用のハンドメイド作品に使用できるかどうか、使用できる場合はどんな条件を満たす必要があるのか、確認してから製作に移りましょう。
- 既製品に一部手を加えただけのもの:既製品に一部アレンジを加えただけの商品を販売することはできません。
- ハンドメイドの雑誌・本に掲載されている作品:ハンドメイドの雑誌や本に掲載されている作品を模倣して販売すると著作権違反になります。市販の型紙、キットなどを使用した作品も同様です。
- 芸能人の写真や名前、見た目を無断で使用したもの:写真を無断で使用した場合、撮影者の著作権を侵害するだけではなく、被写体の肖像権をも侵害することになります。また、芸能人の名前を利用し、その名声を利用してファンを集めようというのは、パブリシティ権の侵害にあたります。
また、製品だけでなく、商品写真や宣伝にも適切な素材を使用しましょう。他のネットショップやメーカーのサイトやSNSの写真の無断転載は、著作権法違反になります。
モデルやカメラマンに依頼して商品写真を撮影する場合も、写真の利用範囲や、クレジット表記の有無など、規約をあらかじめ確認しておきましょう。
まとめ
在宅でできる手軽さや、初期コストが少なくてすむことから、ハンドメイド販売をする人は増えています。作家として人気を獲得したり、ブランドとして会社化したりと、大きな成功をつかんだ人もたくさんいます。
計画と目標を立て、ルールを把握し、あなただけのハンドメイドブランドを始めましょう!
ハンドメイド販売についてのよくある質問
ハンドメイド商品の販売による収入はどのくらい?
販売する商品や数、製作にかけられる時間によっても、収入は大きく異なります。 GMOインターネットグループが2022〜2023年にかけて行った「ハンドメイド作家における副業調査」では、兼業・複業・副業としてハンドメイド販売をしている人の80%が、1ヵ月に5000円未満~10万円の収入を得ていると回答しています。少数ではありましたが、1ヵ月に100万円以上の収入を得ていると回答した人もいました。
ネットでハンドメイド販売するのに営業許可は必要?
販売するものによっては営業許可が必要となります。
- アクセサリー、かばんなどの雑貨や、洋服などの繊維製品:営業許可の取得は必要ありませんが、「家庭用品品質表示」が義務づけられています。対象となる商品や、表記の内容に関しては、消費者庁で確認しましょう。
- 菓子、ジャムなど:「菓子製造営業許可」と「食品衛生責任者」を取得することが必要です。また「食品表示」が義務づけられているので、消費者庁で確認しましょう。
- 化粧品:「化粧品製造販売業許可」などが求められます。
ハンドメイド販売の効果的な宣伝方法とは?
ハンドメイド販売の効果的な宣伝方法には、SNSがあります。Instagram、Facebook、X(旧Twitter)、TikTokなどは無料でアカウントを作成できるので、手軽に始められます。商品写真やビデオを共有し、ハッシュタグをうまく活用することで、口コミの拡散が期待できます。ダイレクトに顧客とつながり、反応を収集できるので、その後の販売方針の決定にも役立つでしょう。
確定申告は必要?
あなたが会社などから給与を受けており、副業でハンドメイド作品の販売をしている場合、所得が20万円以上に達したら確定申告を行う必要があります。ハンドメイド販売を本業とする場合は、開業届を提出して個人事業主登録を行い、年度末には確定申告を行いましょう。
文:Taeko Adachi