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価格設定の考え方:原価率の決め方や計算方法 6種類!

価格設定

「新しい商品の販売価格を決めたいけれど、最適な価格設定の方法を知りたい。」

「今売っている商品からの利益をさらに上げたい。そのために販売価格を見直したい。」

これからビジネスを始めようとしている人や、すでにビジネスを始めていて利益を伸ばしたいと考えている人にとって、価格設定の考え方や方法、そして価格戦略はマーケティングを成功させるためにとても重要な知識です。

この記事を読めば、ビジネスをする上での基本的な価格設定の考え方や、基本的な価格設定の計算方法の種類、そして消費者心理に基づいた価格戦略の種類を知ることができます。

目次

価格設定とは

値下げ札のついた商品

価格設定とは、製造コスト、需要と供給、市場、商品の品質などの要素を考慮し、商品やサービスの価値を決定する行為です。

消費者は、商品やサービスの価格、品質、必要性、競合製品との比較などを考慮し、様々な条件や要素をもとに意思決定を行い、購入します。

ビジネスをする上で、最適な商品やサービスの価格設定を行うことができれば、

  • 利益の最大化
  • 市場シェアの拡大
  • 商品・サービスへの信頼獲得

などに繋がります。

しかし、「この計算式を使えば絶対にこの商品は売れる!」といった完璧な計算式はこの世に存在しません。 

価格設定を行うときは、製造コスト、需要と供給、ターゲットとする顧客、自社の強みと弱み、商品の広告宣伝の方法など様々な要素を考慮して、はじめて最適な価格設定を行うことができます。 

そのため、価格設定を行うときは製造コストや利益率を考慮して販売価格を設定しても、そのままの価格で消費者へ売るときの値段を決めてはいけないのです。

価格設定の基本用語や計算方法

原価・原価率

商品やサービスの価格設定を行う上で、「原価」や「原価率」という言葉が出てきます。

「原価」とは、簡単にいうと商品を作るまでに至った費用のことです。

「原価率」とは、販売価格に対するその原価の割合のことを指します。

利益を生むためには、当然のことながら「原価が販売価格より低い」状態にしなければいけません。

例えば、原価が100円の商品を、200円という販売価格で売れば100円の利益です。

もしこれが、原価が200円で、販売価格が100円だと、100円の赤字になりますね。

また、価格設定を行う上で、「原価率をもとに販売価格を決める」考え方もよく使われます。

例えば、飲食店の原価率は30%ほどだといわれています。

原価率をもとに販売価格を計算すると、原価が100円の商品があったとすれば販売価格は333円ほどになります。

100円(原価) ÷0.3 (原価率30%) = 333 (販売価格)

利益率

一方で、原価率ではなく、利益率から販売価格を出す計算方法もあります。

利益率とは「売上」に対する比率を利益率といいます。

販売価格が2000円の商品があったとして、1000円で仕入れたとします。

その場合、1000円が粗利益で、

粗利÷売上高 = 粗利益率(%)

の式に当てはめると

2000円(販売価格) ― 1000円(仕入れ価格) = 1000円 (粗利益)

1000円(粗利益) ÷ 2000円(販売価格) × 100 = 50%の利益率

利益率は50%だと分かります。

これらの原価率と利益率をもとに販売価格を決める計算方法以外にも多くの計算方法があります。

価格設定の基本的な計算方法6種類のメリットとデメリット

価格設定の基本的な計算方法

原価率と利益率をもとに販売価格を導き出す計算方法を紹介しましたが、ここからはそれら以外によく使われている価格設定の方法を紹介するとともに、それぞれのメリットとデメリットも解説します。

コストプラス法

1番シンプルな価格設定の方法として、「コストプラス法」があります。

コストプラス法とは名前の通りに、かかったコストに利益をプラス(足し算)する価格設定の方法です。

計算式で表すと

販売価格 = 原価(直接費 +間接費) + 利益

原価志向価格決定法とも分類されるコストプラス法は、原価を基準に価格設定を行うため、「自動車関連」、「食品関連」などの「製造メーカー」がよく使う価格設定の方法です。

コストプラス法のメリット

コストプラス法のメリットとして、費用が正確に計算されている場合は、商品が売れればマークアップによって確実に一定の利益が得られることです。

そして、計算方法もシンプルで、自社の費用を基準に価格設定がされるため、追加の市場リサーチに時間と費用を費やす必要がありません。 

コストプラス法のデメリット

逆に、コストプラス法では、自社の費用だけを基準に価格設定がされているので、競合の価格が考慮されず、市場の需要と販売価格がマッチングしない可能性も出てきます。売り手目線で設定されているこの価格設定方法だと、競合製品の価格を無視しているのと同時に、「消費者が求めている価値と販売価格が一致しているとは限らない」のです。

競争志向型価格設定

競争志向型価格設定とは、その名の通り、競合他社の価格データを基準値として使い、自社製品の価格を意図的に低い価格にする価格設定の方法です。

競合他社よりも安い価格設定にすれば、類似商品よりもあなたの商品を買うことを、価格に敏感な顧客に対してはたらきかけることができます。しかし、この “底辺への競争” は、すべてのビジネスや商品にとって常にベストな戦略であるとは言えません。

この価格設定の方法は類似製品を販売する企業によって頻繁に使用されます。

競争志向型価格設定のメリット

サプライヤーと卸売り単価を交渉することができ、一方でコスト削減をしながら積極的に競争力のある価格で販売促進を実施できるようであれば、この戦略は有効だと言えるでしょう 。

競争志向型価格設定のデメリット

小さな小売店では維持するのが難しい戦略と言えます。より低価格とは、より低い利益率を意味するため、競合他社よりも多くの数量を売り上げることが必須となります。また商品によっては、顧客が必ずしも一番安価のものを購入するとは限りません。

バリューベースプライシング

バリューベースプライシングとは、今まで見てきた原価率や利益率などから販売価格を決めるのではなく、商品やサービスの価値に基づいて価格を設定する方法です。 

ユニークな製品や価値の高い製品を販売する企業にとっては、標準的な商品を販売する企業と比べて、バリューベースプライシングによる価格設定の恩恵を受けやすいです。

消費者が「この価値なら払っても良い」という消費者目線の価格設定だと、価格が下がれば需要が上がるという需要と供給のメカニズムが適用されず、

「商品の価格が高くても買う」という現象が起きます。

例としては、プラダやグッチのブランド品です。消費者は「それらのブランド品の質が高いからそれ相当のお金を払う価値がある」と信じて、ブランド品を買います。

バリューベースプライシングのメリット

バリューベースプライシングによる価格設定では、商品の価格をより高く設定することができます。

アート、ファッション、コレクターズアイテム、その他の高級品は、この価格設定の方法でうまくいくことが多いです。また、ターゲットとする市場に響くような革新的な製品を作り、ブランド価値を高めることができます。

バリューベースプライシングのデメリット

コモディティ商品の付加価値を正当化するのは難しいです。

バリューベースプライシングの価格設定を適用するには、特別な製品を用意する必要があります。

知覚価値は主観的なものであり、文化的、社会的、経済的な要因に左右されるため、コントロールが効きません。

価値ベースの価格を見るための厳密な科学はないので、価格の設定が難しくなることが多いです。

スキミングプライシング

スキミングプライシングとは、市場に参入しようとする企業がより早い段階で収益を得るために、商品の販売価格を初期段階から価格を高く設定し、時間をかけて価格を下げていく方法です。

初期の顧客の需要が満たされ、競合他社が市場に参入してくると、価格を下げて、より価格に敏感な新たな顧客層を獲得します。

この価格設定での目標は、需要が高く、競合が少ない間に、より多くの収益を上げることです。アップル(Apple)は、iPhoneのような新製品の開発コストをカバーするために、この価格設定モデルを使用しています。

スキミングプライシングは、以下のような状況下で有効です。

  • 新製品を高い値段で買ってくれる見込み客が十分にいる
  • 高い価格では競合他社を引き付けられない
  • 価格を下げても、収益性や単価の低減にわずかな影響しかない
  • 高価格が、高級で高品質と見なされるとき

スキミングプライシングのメリット

スキミングプライシングは、革新的な新製品を発売する場合、短期的に高い利益を得ることができます。

消費者が一流のブランドイメージを持っている場合、この価格設定では消費者のそのイメージを維持でき、「いち早く手に入れたい」「特別な体験をしたい」というアプローチもでき、忠実な顧客を惹きつけるのにも有効です。

また、商品に希少性がある場合にも有効です。例えば、需要が高く、供給が少ない商品には高い価格を付け、供給が追いつくと価格を下げることができます。

スキミングプライシングのデメリット

他のブランドには真似できないような素晴らしい機能がない限り、競争の激しい市場において価格操作は最適な戦略ではありません。

また、発売後、あまりに早く、あるいはあまりに早く価格を下げると、競合を引き付け、アーリーアダプターに悪影響を及ぼす可能性があります。

ペネトレーション・プライシング(市場浸透価格)

スキミングプライシングとは逆の方法を取っているペネトレーション・プライシング(市場浸透価格)は、商品を市場に出す初期段階で、値段を安く設定し、市場に浸透させて市場シェアを獲得する方法です。

ペネトレーション・プライシングは、新しいブランドにも有効な戦略で、顧客の認知度向上と利益の確保をトレードオフにすることで、多くの新ブランドが参入を果たすことができます。

ペネトレーション・プライシング(市場浸透価格)のメリット

この価格戦略は、店舗に多くの来客を呼び込み、季節外れの在庫または古い在庫を処分するのに有効です。

もし、狙い通りに市場シェアを獲得できれば、企業のブランディングもできるので、競合との差別化も図ることができます。

また、価格を下げることによって購入する顧客層の幅が広がるので、低所得層から高所得層までの購入客の顧客情報も集められます。

ペネトレーション・プライシング(市場浸透価格)のデメリット

あまりに頻繁に利用すると、安売り店という評判が立ち、消費者が定価で商品を購入する妨げになる可能性があります。また、消費者の品質に対する認識に対して、心理的にマイナスの影響を与えます。「低価格ブランド」という印象を与えてしまうと、あとから値上げをしたときの商品の品質に疑問を持つ顧客も出てくる可能性があるでしょう。

キーストーン価格

キーストーン価格とは、多くの小売店が使う、大まかな計算式を使って設定した価格のことです。基本的には小売店が商品に支払った卸価格を単に二倍にして価格を設定する方法です。

キーストーン価格で算出した価格が低すぎたり、高すぎたり、または適正価格であるという筋書きは多数考えることができます。

販売までに時間がかかる商品を扱っている場合や、高額の輸送費や取扱手数料がかかる商品、または独特で稀少な商品を扱っている場合には、キーストーン方式で算出した価格は低すぎることが多いようです。

その場合、需要のある商品にはより高めのマークアップを付けて小売価格を引き上げることが適切です。

それとは逆に、日用品やどこでも簡単に手に入る商品を取り扱っている場合には、キーストーン価格を機能させることは難しいかもしれません。

小売価格を計算する簡単な計算式は以下の通りです:

小売価格 = [(商品コスト) ÷ (100 – マークアップ%)] x 100

例えば、商品コストを15ドルとし、マークアップを通常の50%でなく45%に設定したい時には、小売価格を以下の通りに計算することができます:

小売価格 = [(15) ÷ (100 - 45)] x 100

小売価格 = [(15 ÷ 55)] x 100 = 27ドル

これは比較的シンプルなマークアップの計算式ですが、この価格戦略がすべての小売店の全商品にうまく機能するわけではありません。

キーストーン価格のメリット

キーストーン価格は、十分な利益幅を確保した手早く簡単にできる計算方法です。高いマークアップを設けることで、諸経費をカバーすることができ、高い利益率を期待することができます。万が一値下げをする必要があっても、柔軟に対応することもできるのがメリットです。

キーストーン価格のデメリット

特定商品の在庫の有無や需要によって、高いマークアップをすることが合理的でない場合があります。

また、商品を高くしすぎて顧客がより安い商品を求めるために離れてしまう可能性もあります。そのため、競合企業が自社の商品より安い、または高く設定している場合はキーストーン価格を見直す必要があります。

消費者心理に基づいた心理的価格設定5種類

消費者心理に基いた価格戦略

これまでに基本的な価格設定の考え方や計算方法のメリットとデメリットを紹介しましたが、その他にも存在する消費者心理に基いた価格戦略も紹介します。

抱き合わせ価格

「抱き合わせ価格」は、複数の商品をまとめ、一つの価格で販売することです。これは、「セット価格」や「バンドル販売」とも呼ばれる戦略として知られています。

抱き合わせ価格はスーパーなどでよく見受けられる価格戦略です。アパレル業界でも、特にソックスや下着、Tシャツなどの商品に採用されることがあります。

例えば、任天堂の携帯型ゲームであるゲームボーイの発売当初、単体で販売した時よりも、ゲームソフトと抱き合わせて販売した時の方が売上を伸ばしたという調査結果が出ています。

抱き合わせ価格のメリット

抱き合わせ価格を採用することで、小売店はより低いコストでより高い知覚価値を生むことができます。その結果、より高い購買を促すことができます

他の商品とセットで販売することによって、在庫を減らすこともでき、売上向上にも繋がります。          

抱き合わせ価格のデメリット

低価格で抱き合わせ販売をすると、商品単体をより高価格で販売することが困難になり、消費者に認知的不協和を与えてしまう可能性があります。

消費者によっては単体で商品を買いたい人もいるため、セット販売で売ることで顧客のニーズを完全に満たしているのかが分かりません。

ロスリーダー価格:平均取引金額を増やす方法

皆さんは、人気商品の値引きに誘われてお店に入り、その商品だけを購入するだけでなく、他の商品も同時に買って店を後にしたことを経験したことがあるでしょうか。

それは、ロスリーダー価格による影響を受けたからだと言えるでしょう。これは、小売店が魅力的な値引き商品を使い顧客を引きつけ、顧客に追加の商品を購入することをはたらきかける戦略です。

例えば、ピーナッツバターの価格を値引きし、関連商品のパンやジャム、ハチミツなどの購入を促すことが挙げられます。この場合、スーパーはピーナッツバターだけを販売する代わりに、特別なバンドル価格を提供することで、関連商品を同時購入するようはたらきかけることもあります。

元々のセール商品は損失となるものの、顧客が店内にいる間に購入したその他の関連商品から利益を上げることができるという仕組みです。

ロスリーダー価格のメリット

ロスリーダー価格は小売店にとって素晴らしい効果を発揮する戦略です。一回の取引で複数商品の購入を促し、客一人当たりの売上金額を伸ばすだけでなく、元々のセール商品から出た損失をカバーすることができるからです。

ロスリーダー価格のデメリット

値引き価格を頻用するのと同じように、ロスリーダー価格を使い過ぎると、顧客が常にバーゲンを期待し、定価で商品を買うのを躊躇するようになる恐れがあります。

端数価格:端数を使った魅力的な価格設定

端数価格とは、販売価格を2000円や5000円といったキリのいい数字にするのではなく、1980円や4980円のように端数をつけて実際の金額はさほど変わらないものの、消費者に安い印象を与える価格戦略です。

ある調査で、「人々はお金を使う時に痛みや損失を感じる」ということがわかりました。そのため、小売店がいかにその痛みを最小限に緩和し、購入に繋げることができるかということが重要になってきます。

伝統的に多くのマーチャントは、5、7、9(日本では8)などの端数で終わる価格設定をすることにより、それを達成してきました。価格を9ドルの代わりに8.99ドル(日本では200円の代わりに198円)などに設定することがその例です。

ウィリアム・パウンドストーン(William Poundstone)は著書Pricelessの中で、魅力的な価格(端数を使用した価格)を使った8つの調査について分析しました。その中で、価格設定で端数を使用した時は、“切りの良い” 数字を使った時よりも、平均で24%の売上増加が見受けられたとの結果が記されています。

それでは、価格戦略ではどのような端数を使うことが有効なのでしょうか。実は、数字の「9」は価格戦略の世界では究極の数字だと言われています。MITとシカゴ大学の研究者たちが、女性用衣服を34ドル、39ドル、44ドルで販売するという調査を実施しました。どの価格が一番高い売上を上げたと思いますか?

その通り、39ドルの商品です。より低価格の34ドルではなかったのです。

端数価格のメリット

魅力的な価格設定は衝動買いを促進します。端数で終わる価格は買い物客にお得感を与えるので、衝動を阻止するのが難しくなるのです。

端数価格のデメリット

ラグジュアリー商品を扱っている場合、切りの良い数字、例えば1,000ドルという価格を、999.99ドルなどの端数に引き下げることで、ブランドイメージを傷つけてしまう可能性が生じます。なぜならば、商品に欠陥がある、もしくは同じような理由で値引きしたと思わせてしまう恐れがあるからです。 

他にも、オックスフォード大学出版局のJournal of Consumer Researchに掲載されている研究によると、アップグレード商品を販売している場合、端数価格の商品の方が安く見えるため、アップグレード商品の購入を妨げる効果があるとわかりました。

逆に、基本商品の価格をキリのいい数字にすることで、消費者はアップグレード商品を選択する傾向があり、より多くのお金を使う可能性が高いと結論づけています。

つまり、商品A1000円と商品B1200円の商品があるとすれば、消費者は後者のアップグレード商品を選ぶ傾向があるということです。

アップグレード商品を販売している場合は、安易に基本商品に端数価格を設定しない方がいいかもしれないということですね。

名声価格:競争力のある価格設定の上を行く

名声価格(威光価格)とは、意図的に商品の販売価格を高く設定し、その分消費者に商品の質が高いと思わせ、それらの商品を所有していることによって優越感を与える価格戦略のことをいいます。

この価格戦略が想像しやすいカテゴリとして、宝石や高級ブランドの商品などが挙げられます。

ブランド企業は競合他社の価格を基準としますが、意図的に自分たちの商品価格をそれよりも高く設定し、より贅沢で、高級で、稀少価値の高いブランドであると位置付けます。例えばスターバックスのプレミアム価格は、人々がダンキンドーナツのような低価格競合他社よりも自分たちを選べば、スターバックスに有利に機能します。

経済学者のリチャード・セイラー(Richard Thaler)氏による調査を例に見てみましょう。ビーチに訪れている冷たいビールを飲みたいと思っている人たちを対象に、近くの落ち目のスーパーか、近くのリゾートホテルで同じビールを購入するという2つの選択肢を与えました。結果として、人々は同じビールに、ホテルではより高い金額を支払ってもいいと答えていることがわかりました。そんなまさかと思うかもしれませんが、それがハイエンドブランドと位置付けたマーケティング力の成す技なのです。

名声価格のメリット

この価格戦略はビジネスや商品に“ハロー効果”と言われる現象をもたらします。競合他社よりも高い価格が付いているため、消費者はその商品をより高品質でプレミアの高いものだと認知するからです。 

名声価格のデメリット

店舗の物理的な場所やターゲット顧客層により、実際に導入することが難しくもある価格戦略です。他で類似商品を買う選択肢を持つ、価格に敏感な顧客層を抱えているとすれば、この戦略は効果的とは言えません。そのため、自分のターゲット顧客のことを良く理解し、市場調査を行うことが重要になります。

アンカリング:買物客のために基準価格を設定

アンカリング効果とは、意思決定の際に最初に提供された情報に過度に依存する人間の共通傾向を表す認知バイアスのことです。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、アンカリング効果を用いた広告は身の回りに溢れています。

例えば、電気量販店の商品のラベルに「29,800円→9980円」とあったとすると、二重線で消されている元の値段よりも、値引きされた値段の方が遥かに安く見えますよね。これはアンカリング効果を利用した価格戦略で、消費者に無意識に「お得感」を感じさせることができます。

このような基準価格を設ける(定価と値引き価格を並べて表示する)ことで、「アンカリング」と呼ばれる認知バイアスを誘発します。マサチューセッツ工科大学のダン・アリエリー博士はある研究の中で、学生たちに自分たちの社会保障番号の下二桁を書くように言い、それと同額を、価値がわからないことにされた商品(ワイン、チョコレート、コンピューターの周辺機器など)に対して支払うかどうかを訊ねました。

次に学生たちにこれらの商品を競り落とすように言ったところ、アリエリー博士は、より大きな二桁の番号を持つ学生たちの方が、小さい番号を持つ学生たちよりも60~120%ほど高い金額を提示したことに気付きました。これは、より高い数字(つまり社会保障番号)が、彼らの頭の中に基準値として “固定(アンカー)” されたことによるものです。同じように、消費者は定価を基準値として頭の中に “固定(アンカー)” し、並んで表示された値引き価格に対する判断をするのです。

この原理を活かすことができるもう一つの方法は、低価格の商品を意図的に高額商品の隣に陳列し、顧客の注目を引きつけることです。

業種を超えた多くのブランドは、このようなアンカー価格戦略を中間価格層の商品に用い、顧客の購買行動を促しています。

アンカリングのメリット

セール価格よりもはるかに高い定価を記載した場合、そのお買い得感から、顧客の購買行動を誘発することができます。

アンカリングのデメリット

アンカー価格が現実的でない場合には、ブランドの信用を失ってしまう可能性があります。顧客はオンラインで競合他社の商品価格を簡単に確認することができるので、常に合理的な価格を記載するようにしてください。

価格設定をするときの注意点

価格設定をするときの注意点

これまでにさまざまな価格設定の計算方法や消費者の心理に基づく価格戦略について解説しました。

どの価格戦略を採用するのかは、あなたの事業のマーケティング戦略によって変わるので、ここからはどのような点に注意しながら商品の販売価格を決めた方がいいのかを解説します。

原価・原価率から販売価格を決めない

記事の冒頭で、飲食店の原価率が30%だと一般的に知られていると紹介しましたが、原価率の基準があまり決まっていない業界の場合、原価率をもとに販売価格を決めるべきではありません。

原価率をもとに出した販売価格をそのまま消費者へ売るときの値段に設定してしまうと、「顧客目線」で価格設定を行なっていないため、顧客の予算やニーズとマッチングしない可能性が高いからです。

値段を定期的に見直す

1度販売価格を設定し、売上が伸びたからといって販売価格を一生そのままにするべきではありません。

価格設定に時間を費やしたものの、社会情勢や市場の需要と供給のバランスを常に確かめながら、販売価格を調整すると、さらに売上が伸びる可能性もあるのです。

有名な例だとサイゼリヤがコロナ対策として端数価格で提供していたメニュー価格を、50円または100円単位に変更したことです。

サイゼリヤの人気商品として有名な「ミラノドリア」が299円→300円に変更されたことで、細かい小銭のやり取りがなくなり会計の手際が良くなりました。

東洋経済オンラインによると、この「1円値上げ」の価格改定により、会計の総時間が30%も減少し、さらに客単価も上がり、コロナ禍で値上げしたにも関わらずプラスの経済的効果がありました。

総合的なマーケティング戦略を取る

ここまで記事を読んだあなたは深く理解していると思いますが、最適な価格設定を行う上では、最適な販売価格を適用するだけでは消費者に購入を促すことはできません。

マーケティング戦略でよく使われるツールとして「マーケティングミックス」があります。

このマーケティングミックスとは、4つの要素(4P)から企業が製品・サービスを市場で販売促進するために用いる一連の行動のことをいいます。

マーケティングミックスの4Pは

  • 製品(Product) 製品のコンセプト
  • 価格(Price) 最適な価格
  • 流通(Place) 売る場所
  • プロモーション(Promotion) 商品の売り方

によって成り立っており、「価格(Price)」が含まれています。

つまり、消費者に商品・サービスを購入してもらうためには、最適な価格設定だけでなく、製品のコンセプト、売る場所、商品の売り方も考慮しなければなりません。

消費者へ売るときの値段を設定するのには、売り手目線で考える戦略の4P分析の他にも、その逆の購入者目線で立てる4C分析もよく使われるマーケティング戦略です。

4Cとは以下の4つの要素です。

  • 顧客価値(Customer Value)
  • コスト (Cost)
  • 利便性 (Convenience)
  • コミュニケーション (Communication)

4P分析や4C分析などを用いて総合的にマーケティング戦略を立てることで、価格戦略が効果的に発揮されます。

まとめ

商品やサービスのための価格設定の考え方や価格設定の方法をメリットとデメリットと一緒に紹介しました。

販売価格を決めるプロセスは、あなたのビジネスのターゲットの心理や競合、市場の需要と供給などさまざまな要素を考慮して辿る必要があります。

Shopifyの利益率計算機を使えば、商品の総費用と期待する利益率を入力することで簡単に販売価格を計算することができます。

販売価格を決める際のサブツールとして使うことで、販売価格を決める際に役に立つでしょう。

利益率計算機スクリーンイメージ

よくある質問

基本的な価格設定の方法や戦略はなに?

価格設定でよく使われる価格戦略は以下の6種類です。
・コストプラス法
・競争志向型価格設定
・バリューベースプライシング
・スキミングプライシング
・ペネトレーション・プライシング(市場浸透価格)
・キーストーン価格

消費者心理に基づく心理的価格設定の種類は?

消費者心理に基づく心理的価格設定の種類は以下の5種類です。
・抱き合わせ価格
・ロスリーダー価格
・端数価格
・名声価格
・アンカリング

商品の適正な価格設定とは?

「いかにバランスを良く取るか」にかかっています。低価格にすると、利益を出すことなく販売量だけが増えるので、理想的だとは言えません。同じように、高めの価格設定をすると販売量が落ち、価格に敏感な顧客が離れ、結果としてマーケットシェアを失いかねません。

原価率の計算方法は?

原価率とは原価を販売価格で割り、出すことができます。
原価 ÷ 販売価格 ×100

利益率の計算方法は?

利益率とは「売上」に対する比率を利益率といいます。
粗利÷売上高 = 粗利益率(%)

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