Instagram(インスタグラム)は約3300万人の利用者がいるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で、写真や短い動画を投稿できるほか、ショッピング機能もあるのが特徴です。
企業だけでなく、インスタで副業をはじめた人などインスタを使って稼ぐためにどのように活用したらよいのか知りたい人も多いでしょう。今回はInstagramマーケティングについて解説します。
目次
- インスタマーケティングとは
- インスタマーケティングのメリット
- インスタマーケティングのデメリット
- インスタマーケティングの効果的なやり方
- インスタマーケティングの成功事例
- インスタ用マーケティングツール(Instagramの分析・運用ツール)
- まとめ
- インスタマーケティングについてよくある質問
インスタマーケティングとは
インスタマーケティングとは、インスタグラムを使ってターゲットに視覚的にアプローチをし、ブランドや商品の認知度を上げたり売れる仕組みを作ったりするマーケティング手法です。
インスタマーケティングはSNSマーケティングの一種で、インスタグラムの主な利用者層である10代から30代の女性に特に有効です。
消費者は口コミやSNSの投稿をきっかけに購入することも多いため、インスタマーケティングによって商品やサービスの投稿を目にしてもらいやすくなると、認知度のアップだけでなく売り上げのアップにもつながります。
インスタマーケティングのメリット
視覚的に魅力を伝えることができる
インスタグラムの特徴は、画像や動画など視覚的な情報が主体である点です。投稿画面であるフィードを見れば何を扱っているのかわかるような写真を投稿したり、動きのある商材であれば実際の商品の動画を投稿することでアピールしたい点をダイレクトに伝えたりすることができます。
ショッピング機能で購入につながりやすい
インスタグラムではショッピング機能も利用できるため、気になる商品があったときに投稿から購入画面へと進むことができます。ショッピングサイトや商品を検索し直す必要がないため、購入意欲をそがず決済まで進みやすくなります。
ブランディングがしやすい
写真がメインのインスタグラムでは、ひとつひとつの投稿に統一感を持たせることで世界観を構築しやすく、伝えたいブランドイメージやターゲットに合わせた雰囲気を作ることができます。
また、投稿が新しい順に3枚ずつ時系列で並ぶため、工夫次第で大きな1枚の写真を作ることもでき、インパクトを与えることも可能です。
例えば、小柄な女性向けのアパレルブランドであるCOHINA(コヒナ)は、インスタグラムのフィードを大胆に利用したキャンペーン画像を作り、夏物のブランドイメージを作っています。
インスタマーケティングのデメリット
他のSNSに比べると拡散しにくい
インスタグラムは他のSNSのようなシェア機能(リポストなど他のユーザーの投稿を再投稿すること)がないため、拡散しにくいというデメリットがあります。
自分のフォロワー以外の人にもできるだけ多く見てもらうには、ハッシュタグをつけてキーワードで検索している人にリーチするほか、他のSNSと連携したり広告を活用したりすることで拡散しやすくなります。
写真や動画と親和性の低い商材は扱いにくい
視覚的な情報に強いインスタグラムは、写真や動画と相性の良くない商材は魅力を伝えにくいところがあります。例えば、さまざまなスペックがあるパソコンはその機能性を伝えるためには写真や短い動画だけでは不十分です。
そういった商材は写真に文字をのせる、写真の下に表示されるキャプションで文字情報を伝える、別の視点から魅力を伝えるといった工夫をすることで、インスタグラムをマーケティングに有効活用することができます。
Canon EOS(キャノン イオス)はスペック情報とは違った別の視点から魅力を伝えるために、EOSを使って撮られた写真を投稿することで、インスタグラムとカメラ本体の情報の親和性の低さを克服し、別の視点から視覚的に機能性の高さをアピールしています。
写真や動画のクオリティが求められる
インスタ映えという言葉もあるように、写真や動画がメインのインスタグラムではそのクオリティも重要視される傾向にあります。ビジネスアカウントであれば写真のクオリティはブランドや商品の印象も大きく左右してしまうため、特に重要です。
商品撮影のコツをつかんで魅力的な写真が撮れるように工夫したり、画像編集ソフトを使ってクオリティを上げたりすることも大切です。
インスタマーケティングの効果的なやり方
インスタマーケティングの手法はSNSマーケティングと同様で、アカウント運用、広告、インフルエンサーマーケティング、キャンペーン、ソーシャルリスニングが主なものですが、インスタグラムならではの機能や特徴を活用することでより効果的に行うことができます。
インスタグラムのプロフィールを最適化する
マーケティングを有効に行うためには、プロフィールの最適化をしておく必要があります。プロフィールに必要な情報をのせ、魅力が伝わるようにしておくことで、投稿から興味を持った潜在顧客がアカウントページを訪れたときにより興味を持たせることができ、自社サイトへ誘導したりフォロワーになってもらったりすることが可能になります。
具体的には、以下のような情報を加えておくと良いでしょう。
- ひと目で認識してもらえるアイコン画像:認識しやすいアイコン画像にすることで、フィード以外でも見つけてもらいやすくなります。
- 事業やアカウントの概要:公式アカウントであることや、ブランドコンセプトなどを伝えることができます。
- 自社HPへのリンク:ブランドや商品について深く知りたいと思ったユーザーを誘導することができます。
- ストーリーズハイライト:24時間だけ表示されるストーリーズ(動画)をハイライトとして残すことができます。情報のジャンルで分けたり、キャンペーン情報をまとめたりすることでユーザーがほしい情報を見つけやすくなり、エンゲージメントが高まります。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)を含める
他のユーザーによる投稿が購買のきっかけになることが多いため、UGCを利用するのが効果的です。ブランド名や商品名のハッシュタグからユーザーによる商品投稿を見つけてシェアしたり、ハッシュタグキャンペーンを行って積極的に投稿してもらったりするのも有効です。季節性やイベント性のある商材であればそういったキーワードのハッシュタグを利用することで多くのユーザーにリーチすることができます。
ハッシュタグはそのタグの投稿数を見ることができるので、利用者の多いハッシュタグを付けたり、逆にニッチなキーワードを使うことでコアなファンにリーチすることもできます。
ストーリーズを活用する
インスタグラムストーリーズは、15秒ずつ60秒までの動画を投稿でき、24時間で消える一時的な動画投稿機能です。フォロワーがメインの視聴者になるため、ロイヤリティの向上やフォロワー向けのキャンペーン告知などに活用できます。
アンケートや投票機能などもあり、顧客とコミュニケーションを取ったりソーシャルリスニングを行ったりすることもでき、SNSマーケティングとして有効活用できます。
動画はハイライトに加えると24時間たっても保存されプロフィールから見てもらえるようになるため、カテゴリーにわけてハイライトを作ることで情報を整理することもできます。FAQやUGCをまとめることでユーザーが知りたい情報を見つけやすくし、ロイヤリティを高めましょう。
リールを活用する
インスタグラムのリールとは、90秒までの動画を投稿できる機能です。ストーリーズとの違いは、ストーリーズが基本的に24時間で削除されるのに対し、リールは投稿として残ることです。このリールは専用のタブがありおすすめが表示されるため、フォロワー以外にもリーチしやすくブランド認知を高めるのに効果的です。フォロワーを増やすことで認知度を高める、見込み客を獲得するなどの目標達成のためにはリールでプレゼンスを高めるのが有効でしょう。
ショッピング機能を利用する
売り上げを上げることがマーケティングの目標であれば、購買に直接つながるショッピング機能を利用しましょう。使用イメージ写真など雰囲気も重視した写真内で商品をタグ付けすることで、雑誌やカタログを見ているような感覚でユーザーに見てもらえるだけでなく、いくつかの商品をまとめて紹介することもできます。宣伝のような投稿が多くなることはフォロワーが離れてしまうことを招くため、こういったイメージ写真×複数の商品タグはとても役にたちます。
インフルエンサーマーケティングを行う
インフルエンサーにPRをしてもらうのも効果的です。ファンの多いインフルエンサーに商品について投稿してもらうことで、多くの人に拡散できるだけでなく、ポジティブなメッセージを伝えてもらうことができます。また、率直な意見も入れてもらうことでより信頼性が高まり、結果としてエンゲージメントにつながります。
しかし、ステマ(ステルスマーケティング)と認識されてしまうと逆効果であるため、PRであることを明確に伝えてもらうようにしましょう。
インスタグラム広告を出す
インスタグラム広告は他のSNS広告同様にターゲティングが明確で、効率的にターゲットにアプローチできます。通常の投稿と同じ形でユーザーに表示されるため、視覚に訴える魅力的な写真を用意することで他の写真やキャプションも見てもらえる確率も高まります。
インスタグラムのショッピングページや自社サイトへワンタップで誘導することもできます。アイコンからはインスタグラムのアカウントページへ誘導できるため、フォロワーの獲得にもつながります。
インスタマーケティングの成功事例
コクヨ:リール・ストーリーズ
文具メーカーのコクヨは、公式インスタグラムアカウントの中でもリールやストーリーズを活用してインスタグラムマーケティングを行っています。
文具を実際に使用した動画や新商品紹介のインスタライブ(ストーリーズのライブ配信)を行うことで、写真や文章だけでは伝わりにくい使い方や切れ味などの使用感などが伝わり、商品への興味がわきやすくなっています。筆箱をメイクポーチにするなどユーザー発の使用アイディアを紹介したり、コクヨの文具を使った作品のコンテストを開催したりするなど、ユーザー参加型のキャンペーンやUGCも活用して、フォロワーを増やしています。
文具の消費が多い学生など若い世代が好むリールを活用することで、ターゲットにリーチしやすくなっているのも成功のポイントになっています。
BECKMANN(ベックマン):インスタグラム広告
ノルウェーの老舗バッグブランドであるベックマンは、インスタグラム広告で的確なターゲティングを行ってエンゲージメントを高め、クラウドファンディングからスタートした日本での販売が、1年で日本向け新商品を発売するまでに成長しています。
インスタグラムでは他のSNSと比較してより精度の高いターゲティングが可能です。ベックマンの「人間工学を用いた体に優しい設計」「北欧の洗練されたデザイン」「王室御用達」というキーワードを盛り込んだ広告は、重いランドセルで子供が体を痛めることを危惧する小学生の親世代には訴求力が高く、小学生や入学を控えた親向けに広告配信することで高いエンゲージメント率につながったと考えられます。
こういった的確なターゲティングによる広告が購入につながり、さらに購入者のレビューをハイライトにまとめることで、広告からプロフィールを訪れたユーザーにより信頼してもらえるという好循環も生み出しています。
GU(ジーユー):UGC
ファストファッションブランドのGUはユーザー投稿(UGC)を活用してマーケティングを行っています。
ブランド名を含めたハッシュタグをつけて投稿すると公式HPで取り上げられたり、商品名のハッシュタグをつけてコーディネートを投稿するとインスタアカウントでピックアップされたりすることで、ユーザーが積極的にコンテンツを作成したくなる環境を作り、他のユーザーの目にもとまりやすくなっています。
季節のコーディネート投稿も促すことで、投稿者の購入に加えてUGCを目にした他のユーザーの購買意欲も刺激し、シーズンごとの売り上げにもつながりやすくなります。
nicoせっけん(ニコせっけん):インフルエンサーマーケティング
敏感肌用の石けんであるnico石けんは、インフルエンサーマーケティングを活用してブランド認知度の向上と販売促進を行っています。nico石けん自体のフォロワー数は多くないものの、インフルエンサーに使用感などをレポート形式で投稿しPRしてもらうことで「敏感肌用石けん」としての認知度を高めることに成功しています。
PRを依頼するのは、ターゲットである小さな子供がいる親や美容に関心の高い女性がフォロワーになっているインフルエンサーで、普段から子育てに関する情報発信や美容に関する悩みの共有などを行っているため、PR投稿でも信頼感があり、購買につながりやすくなっています。
石けんのメインターゲットとインスタグラムの主な利用層が重なっているのも、より拡散しやすくなっているポイントでしょう。
いずれの成功例も、自社アカウントを運用しながらその他のインスタマーケティングの手法を活用しています。プロフィールへの自社HPリンク掲載やハイライトの活用などはどのアカウントも行っていて、インスタグラムの基本を理解して運用することがインスタマーケティング成功の大前提だと言えそうです。
インスタ用マーケティングツール(Instagramの分析・運用ツール)
インスタ用マーケティングツールとして代表的なものは、Instagramインサイトです。公式アプリで提供される、ビジネスアカウント用の無料分析ツールです。
Instagramインサイトでは、次のような重要なパフォーマンスデータを確認できます。
- リーチ数:投稿を見たアカウント数
- インタラクション数:投稿に対していいねやコメント、フォローなどのリアクションをしたアカウント数
- 保存数:投稿を保存したアカウント数
- インプレッション数:投稿が表示された回数
- プロフィールへのアクセス数:プロフィールが閲覧された数
- フォロワー:フォロワーの性別や年齢、地域、アクセス時間帯などの情報
- ウェブサイトタップ数:プロフィールにHPリンクをのせている場合、そのタップ数
- メールを送信ボタンのタップ数:メールを設定している場合、送信ボタンのタップ数
月ごとにインプレッションやリーチ、インタラクションが上がったのか下がったのかを確認でき、フォロワーの増減と合わせて分析することができます。これらの情報をパフォーマンスの良い投稿と比較して分析することで、傾向やパターンを見つけることができ、マーケティングを長期的に効率化するのに役立ちます。
Instagramインサイトは公式アプリの分析ツールですが、他社が提供する分析・運用ツールもあります。インスタグラムに特化したツールで改善施策まで提案してくれるものや、提携インフルエンサーがいてインフルエンサーマーケティングを支援してくれるもの、色分析などデザインに強い分析ツールや他社アカウントの情報を閲覧して比較できるものなど多種多様です。
- SAKIYOMI(サキヨミ):インスタグラム専用。改善策提案や提携インフルエンサーとの連携が可能。
- MASAI(マスエーアイ):色分析やトレンド分析によってデザインを具体的に分析し検討できる。
- Aista(アイスタ):他社アカウントの統計情報と自社を比較できる。
インスタマーケティングは投稿→分析→改善→投稿と微調整しながらサイクルしていくのが有効です。分析ツールを活用して有効な手法や内容を見極めていきましょう。
まとめ
インスタマーケティングはインスタグラムならではの機能や特徴を理解することからはじまります。インスタグラムらしいクリエイティブな写真や動画を使って投稿したり、メインターゲットが好んで使う機能を活用したりすることで効果をあげやすくなります。
また、投稿して終わりではなく、分析ツールを使ってどのような投稿が効果があったのか、ターゲットはどのような投稿に対してより多くのリアクションをしたのかなどを分析し、次の投稿へと活用することが大切です。