音楽や動画、電子書籍、オンラインコースなど、デジタルコンテンツは日常のあらゆるところで消費されています。
デジタルコンテンツは、簡単に配布でき、一度制作すれば多くの人に繰り返し販売できるので、在庫を抱えたり補充する必要がなく、取り扱いやすい商品だといえます。
ここでは、デジタルコンテンツの特徴、デジタル商品のアイデア、そして売り方などを解説していきます。
デジタルコンテンツとは?
デジタルコンテンツとは、無形のデジタル形式のコンテンツのことです。デジタルコンテンツはオンラインで繰り返し販売・配布でき、在庫補充の必要もありません。通常、デジタルコンテンツはMP3、PDF、動画、プラグイン、テンプレートなどのダウンロードまたはストリーミング可能なファイルとして提供されます。
デジタルコンテンツとアナログコンテンツの違い
デジタルコンテンツとアナログコンテンツの違いは、実際に手に取れるモノであるかどうかです。また、デジタルコンテンツはアナログコンテンツと比べて、簡単に複製でき、一つ一つが全く同じであるため、質に差がでないという特徴もあります。
デジタルコンテンツの特徴とメリット
デジタルコンテンツには、以下のような特徴があり、商品として取り扱うメリットがたくさんあります。
- 販売しやすい:在庫として保管する必要がなく、配送する必要もない。
- 利益率が極めて高い:商品原価が繰り返しかからず、配送料もかからないため、売上の大部分を利益とすることができる。
- 販売が自動化できる:商品を瞬時に納品することができ、発送する手間がかからない。
- 商品に柔軟性がある。顧客のメーリングリストを作成するために、メールアドレスの提供と引き換えにデジタルコンテンツを無料配布したり、限定のデジタルコンテンツにアクセスできる月毎の定期購読料やライセンス契約料をチャージしたりすることも可能。デジタルコンテンツを事業にどう組み込むかという選択肢は多岐にわたる。
デジタルコンテンツ販売のデメリットと注意点
- 無料コンテンツと競合する:デジタルコンテンツには、たとえば広告収入から利益を得ているYouTube動画など、代わりとなる無料コンテンツが存在するため、差別化しないと売れない。
- 著作権侵害や盗用の恐れ:デジタルコンテンツは複製が容易なので、ウォーターマークなどを使って商品を守らないと、盗用される恐れがある。また、簡単に真似され、似たようなコンテンツが販売される可能性がある。
- 販売できる場所が限定される:例えばFacebookでは、出品投稿でダウンロード式のデジタルコンテンツやサブスクリプションを売ることが禁止されている。
デジタルコンテンツの種類・商品化のアイデア
1. 電子書籍やオンラインコースなどの教育関連商品
Eラーニング業界は今後も拡大していくことが予想されています。まずは、プレゼンテーションやレクチャー動画などの準備が必要になりますが、一度用意すれば、滅多に編集する必要はありません。
オンラインコースを制作するにあたり、まずはユーザーに学んでもらいたいこと、コース終了後に習得してもらいたいことを明確にすることが大切です。
コースの中ではコンテンツを細分化し、クイズ、知識チェック、インタラクティブな演習などを取り入れて、オンライン学習をより楽しくすることで、他のコースと差別化することができます。
料理本の代替品としてeブックを販売するHow to Cake It社
ある分野に関する専門知識があれば、その情報をまとめたものを、電子書籍化し、学びたい人向けに販売することもできます。
既に専門家としてある程度知名度があるのであれば、SNS動画などのデジタルコンテンツを利用して、より広いオーディエンスを集めることができます。一から始めるのであれば無料コンテンツを配布して関心を集め、後で有料化し、デジタルコンテンツの定期購読などへつなげていくことが可能です。
2. デジタルコンテンツを使用するライセンス
デモ用ストック映像の使用ライセンスを学生向けに販売するEditStock社
ストックフォト、動画映像、音楽、音響効果など、クリエイターがアップロードした、ライセンス化できるデジタル資産は多数存在します。ネットショップやストックフォトサイトなどのオンラインマーケットプレイスで個人や企業に使用ライセンスを提供することにより、写真、動画、音楽、そしてソフトウェアなどの使用料をチャージすることができます。
ただしこのようなマーケットプレイスでは、個人サイトで販売するよりもより多くの人の目に止まるという利点はあるものの、売上から50%におよぶ手数料が差し引かれます。デジタル資産販売用のプライベートサイトを運営するなら、個別ライセンスキーを自動発行してくれるSendowlがおすすめです。
デジタル商品は簡単にコピーされてしまうため、特に、オンラインで写真を販売する場合は、ウォーターマークなどのセキュリティ対策を講じて商品を保護するようにしましょう。。
3. 限定版のデジタルコンテンツにアクセスできるメンバーシップの提供
スノーボーダー向け商品に関するプレミアム教育コンテンツのサブスクリプションを提供するSnowboard Addiction社
個別のデジタルコンテンツをひとつひとつ販売するのではなく、ダウンロード形式ではなく、ストリーミング形式で限定コンテンツを提供し、アクセス権を有料サブスクリプションを取り入れると、安定した収入が得られるだけではなく、熱意ある会員コミュニティーを形成することも可能です。
登録料の支払い処理にはChargeRabbitを、デジタルデリバリーシステムにはSkyPilotを使用して、事業案を作成してみてはいかがでしょうか。
4. デジタル版テンプレートとツール
デザイナー向けにデジタルツールやデジタル資産を販売するRetro Supply Co.社
デジタルコンテンツには、専門外のタスクや時間がかかる作業に役立つツール形式のものもあります。例えば痒い所に手が届くような、エクセルシートの作成など、デジタルソリューションの販売がおすすめです。デジタルソリューションとは以下のようなものを指します:
- 起業家向けの商品試作ファイル
- 就職希望者向け履歴書テンプレート
- ビジネス向けソフトウェア
- 動画編集者向けのAdobe After Effectsプラグイン
- ウェブデザイナー向けのアイコン、フォント、UXキットなど
5. ミュージックもしくはアートの販売
動画のサウンドトラック用にデジタル版シートミュージックを販売するMateria Collective社
ミュージシャンやアーティストの方は自分の才能を生かし、自分が築いたオーディエンスから収益を得ることもできます。Tシャツやプリントなどのオリジナルグッズを販売することも選択肢の一つですが、デジタルダウンロードを商品化することも可能です。
例えば、ミュージシャンであれば代表的な曲をリングトーンとして、漫画方は自分のイラストを携帯用の壁紙として販売することができるでしょう。在庫を抱える必要がないため、リスクを取ることなく様々な形式でオーディエンスが求めていることを模索することができるのです。
6. 専門知識やサービス
個別のトレーニングプログラムをデジタルパッケージにし、月毎のサブスクリプションとして販売するStreet Parking社
通常、サービスを提供する時間数(「在庫」のようなもの)は限られていますが、デジタルコンテンツに制限はありません。そのように真逆の性質を持つサービスとデジタルコンテンツは、組み合わせて販売するにはとても相性が良いようです。
なお顧客は、購入したサービスの一部としてデジタルコンテンツを受け取ることが多々あります。デザイナーはロゴを提供し、パーソナルトレーナーはエクササイズ計画を提示してくれます。このように、サービスにお得なデジタルコンテンツを取り入れて「パッケージ」として販売することができるのです。
例えば、カスタマイズしたレポートやエクセルシートを提供すれば、他のサービスや商品と組み合わせて販売することができます。もしくはダウンロード可能な商品をメールアドレスと引き換えに無料で提供すれば、顧客リストを構築することも可能です。
デジタルコンテンツ向け販売アプリ6選
Shopifyでデジタルコンテンツのショップ立ち上げ、あるいは既存ショップにデジタルコンテンツを追加するのにおすすめのアプリを紹介します。基本的にアプリは英語での利用となりますが、翻訳ツールを使えば問題なく使用できます。
-
Sendowl:様々なニーズに応えるデジタルコンテンツ販売アプリ。期限付きリンクや自動発行されるライセンスキーなど、多機能で便利なオートメーション機能付き。
- Single Music:ミュージシャン向けの音楽販売アプリ。従来の音楽商品とデジタル音楽の架け橋となるだけでなく、視聴用クリップを商品ページに簡単に添付することが可能に。
- Thinkific:専門知識を収益化するためのアプリ。Shopifyのネットショップにオンラインコースを追加して、オーディエンスを拡大することができる。コンテンツをアップロードし、ドラッグ&ドロップでコースのカリキュラムを作ることが可能。カリキュラムを3コースまで作ることができる無料プランあり。
- FetchApp:Sendowlを簡素化したデジタルダウンロード形式のデリバリーアプリ。無料プラン(保存容量5 MBまで)があり、一つの商品に複数ファイルを添付することが可能。
- Sky PilotまたはBold Memberships:ファイルの販売や限定動画のストリーミングをする、会員制プログラムを作成するためのアプリ。顧客は自分のアカウントから以前購入したことのある全ファイルにアクセスすることが可能。
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BookThatApp、Tipo、Sesami:1対1もしくは少人数制のコンサルティングやコーチングセッションの予約用アプリ。どのアプリも無料プランを提供。
この他にも、Shopifyではデジタルコンテンツの販売や保護に役立つアプリをご用意しています:
- Recurring Order & Subscription:週毎または月毎の定期購入用アプリ。繰り返し発生する注文書や請求書の処理、オンラインの入会手続き、そしてデジタルサブスクリプションなどを自動化。
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Photolock:ストックフォトなどのビジュアル商品に、より高いセキュリティをかけることができる便利なアプリ。ウォーターマークからソースコード保護に至るまで、著作権を守るために必要なほとんどのセキュリティ対策に対応。
- Disable Right-Click:コンテンツを盗用から守るアプリ。画像やテキストにロックを掛け、許可なしでは保存やコピーをできなくする機能付き。
日本語で使えるその他のアプリはこちらをご覧ください!Shopifyのショップでデジタルコンテンツを販売するには、以下のようなアイデアも検討してみてはいかがでしょうか。
Shopifyでデジタルコンテンツを販売する際の注意点
Shopifyでデジタルコンテンツを制作する際、「配送が必要な商品です」のチェックを外す必要があります
デジタルコンテンツの市場規模と将来性
総務省の「日本のデジタルコンテンツ産業の展望」によると、国内のコンテンツ産業は年々成長しており、2021年の時点でゲームはそのうちの4割強を占めています。 さらに、音楽や動画のストリーミングサービスがより身近になり、コンテンツ量と共にその利用者も増えてきています。Eラーニングに関しては、フォーブス誌(英語)によると、2025年までにその市場は3310億ドルの規模になると予想されています。 近年、AIコンテンツ生成ツールにより、高度なスキルがなくとも、販売可能な質の高いコンテンツが作成できるようになってきているため、コンテンツ市場規模はさらに拡大することが予想されます。
デジタルコンテンツのまとめ
デジタルコンテンツを取り扱うビジネスは、在庫を抱えたり、形ある商品を販売するための間接費を支払ったりする必要がありません。そのため、大きなリスクを負うことなく、時には安価で、簡単に始めることができます。
Shopifyならダウンロード商品を取り扱うネットショップをすぐに立ち上げられるので、デジタルコンテンツを簡単に売り始めることができます。
デジタルコンテンツを制作して事業に取り入れる方法はたくさんあります。創意工夫と少しの時間投資をすれば、それを補ってくれるだけの魅力的な価値を作り出すことができるでしょう。
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