世の中には音楽、動画、電子書籍、オンラインコースなどといった、多岐にわたるデジタルコンテンツが存在しています。これらは、実際に触れたり味わったりすることはできませんが、誰もが利用しています。
デジタルコンテンツは簡単に配布することができるため、このような無形商品を主とした事業をしている起業家は大勢います。また、従来の商品やサービスを補完するためのデジタルコンテンツを取り扱う人もたくさんいます。Shopifyならダウンロード商品を取り扱うネットショップをすぐに立ち上げられるので、デジタルコンテンツを取り扱い始めることは簡単です。
デジタルコンテンツが特に魅力的なのは、一度制作すれば多くの人に繰り返し販売できる点です。在庫補充をする必要もありません。新しい収入源を求めているクリエイターやアーティスト、教育者、そしてフリーランサーにとっては、維持する手間も少なく理想的な手段と言えるでしょう。
デジタルコンテンツとは何?
デジタルコンテンツとは無形資産またはメディア素材のことを指します。オンラインで繰り返し販売・配布でき、在庫補充の必要もありません。通常、デジタルコンテンツはMP3、PDF、動画、プラグイン、テンプレートなどのダウンロードまたはストリーミング可能なファイルとして提供されます。
デジタルコンテンツを制作する利点
デジタルコンテンツには魅力的な商品としての利点がたくさんあります:
- 間接費が低い。在庫を抱える必要がなく、配送料がかからない。
- 利益率が極めて高い。商品原価が繰り返しかからないため、売上の大部分を利益とすることができる。
- 自動化への可能性。注文を瞬時に納品することができ、発送にも手間がかからない。
- 商品に柔軟性がある。Eメール顧客リストを構築するためにデジタルコンテンツを無料配布したり、限定のデジタルコンテンツにアクセスできる月毎の定期購読料やライセンス契約料をチャージしたりすることも可能。デジタルコンテンツを事業にどう組み込むかという選択肢は多岐にわたる。
- Eラーニングは教育の未来を担う。2025年までに3310億ドルの規模になると予想されるEラーニング業界。そこで影響力のある事業を拡大していくチャンスがある。
一方で、デジタルコンテンツにも気をつけるべき課題があります:
- 無料コンテンツと競合している。デジタルコンテンツには代わりとなる無料コンテンツが多数存在するため、ターゲットにするニッチ分野には細心の注意を払い、付加価値の付いた商品説明をする必要がある。競争に参加するにはブランド構築を検討する。
- 著作権侵害や盗用の恐れがある。適切なツールでリスク対策を講じて、自社商品を守るためにリスクを軽減する必要がある。
- 販売方法に制限がある。例えばFacebookやInstagramのコマースポリシーでは、デジタルコンテンツの販売にあたり、まず形ある商品を販売することが条件となっている。
デジタルコンテンツ事業の立ち上げ時に生じるこれらの課題は、適切なツールさえあればほとんどが克服できるものばかりなのでご安心を。
デジタルコンテンツ向け販売アプリ6選
Shopifyでデジタルコンテンツのショップ立ち上げ、あるいは既存ショップにデジタルコンテンツを追加する場合には、以下でご紹介するアプリをぜひ使ってストアを構築してみましょう!(基本的にアプリ内では英語でのご利用となりますのでご注意ください)
- Sendowl:より複雑なデジタルコンテンツ事業向けアプリ。期限付きリンクや自動発行されるライセンスキーなど、多機能で便利なオートメーション機能付き。
- Single Music:ミュージシャン向けの音楽販売アプリ。従来の音楽商品とデジタル音楽の架け橋となるだけでなく、視聴用クリップを商品ページに簡単に添付することが可能に。
- Thinkific:専門知識を収益化するためのアプリ。Shopifyのネットショップにオンラインコースを追加して、オーディエンスを拡大することができる。コンテンツをアップロードし、ドラッグ&ドロップでコースのカリキュラムを作ることが可能。カリキュラムを3コースまで作ることができる無料プランあり。
- FetchApp:Sendowlを簡素化したデジタルダウンロード形式のデリバリーアプリ。無料プラン(保存容量5 MBまで)があり、一つの商品に複数ファイルを添付することが可能。
- Sky PilotまたはBold Memberships:ファイルの販売や限定動画のストリーミングをする、会員制プログラムを作成するためのアプリ。顧客は自分のアカウントから以前購入したことのある全ファイルにアクセスすることが可能。
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BookThatApp、Tipo、Sesami:1対1もしくは少人数制のコンサルティングやコーチングセッションの予約用アプリ。どのアプリも無料プランを提供。
この他にも、Shopifyではデジタルコンテンツの販売や保護に役立つアプリをご用意しています:
- Recurring Order & Subscription:週毎または月毎の定期購入用アプリ。繰り返し発生する注文書や請求書の処理、オンラインの入会手続き、そしてデジタルサブスクリプションなどを自動化。
- Photolock:ストックフォトなどのビジュアル商品に、より高いセキュリティをかけることができる便利なアプリ。ウォーターマークからソースコード保護に至るまで、必要とされるほとんどのセキュリティ対策を講じることが可能。
- Disable Right-Click:コンテンツを盗用から守るアプリ。画像やテキストにロックを掛け、許可なしでは保存やコピーをできなくする機能付き。
日本語で使えるその他のアプリはこちらをご覧ください!Shopifyのショップでデジタルコンテンツを販売するには、以下のようなアイデアも検討してみてはいかがでしょうか。
注意:Shopifyでデジタルコンテンツを制作する際、「配送が必要な商品です」のチェックを外すことをお忘れなく。

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ネットショップで販売できる6つのデジタルコンテンツ
1. 電子書籍やオンラインコースなどの教育関連商品
詳細なコンテンツをお持ちであれば、オンラインコースを提供してみてはいかがでしょうか。初期段階において、プレゼンテーション作成やガイダンス動画撮影などの準備が必要になります。またオンラインコースを制作するにあたり、まず学習の成果は何であるかを考えましょう。ユーザーに学んでもらいたいこと、コース終了後に習得してもらいたいことを明確にするのが大切です。
コースの中ではコンテンツを細分化し、クイズ、知識チェック、インタラクティブなアクティビティなどを取り入れて、オンライン学習をより親しみやすくするといいでしょう。またADDIEなどの教育モデルを学び、導入することも可能です。
料理本の代替品としてeブックを販売するHow to Cake It社
特定分野の専門知識をお持ちなら、その情報をまとめたものをデジタルコンテンツ化し、学びたい人向けに販売することがおすすめです。
既に教えたい内容を網羅した無料ブログ投稿やYouTubeチュートリアルが手元にあれば、「学習」というより「変化」を約束するコンテンツを売りにしてはいかがでしょうか。つまり学習することを通して、ユーザーがどう転身を遂げることができるかという可能性を打ち出すのです。
既に専門家としての定評がある場合には、それを利用して注目を集めることができます。一から始めるのであれば無料コンテンツを配布して関心を集め、有料のデジタルコンテンツへとつなげていくことが可能です。
2. デジタルコンテンツを使用するライセンス
デモ用ストック映像の使用ライセンスを学生向けに販売するEditStock社
ストックフォト、動画映像、音楽、音響効果など、クリエイターがアップロードした、ライセンス化できるデジタル資産は世界中に多数存在します。
ネットショップやストックフォトサイトなどのオンラインマーケットプレイスにおいて個人や企業にライセンスを提供することにより、写真、動画、音楽、そしてソフトウェアなどの使用料をチャージすることができます。ただしそのようなマーケットプレイスでは、露出度は高まりますが売上から50%におよぶ手数料が差し引かれます。デジタル資産販売用のプライベートサイトをご希望の場合には、個別ライセンスキーを自動発行してくれるSendowlならそのような事業展開を実現することができるでしょう。
デジタル資産を制作するにあたっては、ターゲットオーディエンスが求めていることから逆算するのも効果的です。オーディエンスが欲しているコンテンツを制作すれば、既に需要があるためにより簡単に販売できるからです。
また、ウォーターマークなどのセキュリティ対策を講じて商品を保護するようにしてください。これは、オンラインで写真を販売する場合は特に重要になります。
3. 限定版のデジタルコンテンツにアクセスできるメンバーシップの提供
スノーボーダー向け商品に関するプレミアム教育コンテンツのサブスクリプションを提供するSnowboard Addiction社
個別のデジタルコンテンツを販売する代わりに、それらを一つにまとめた有料サブスクリプションを提供し、繰り返しの収入を得ることもできます。
これは、プレミアムコンテンツのライブラリーを増やし、熱意ある会員コミュニティーを育成したい場合には非常に適した手段です。有料のデジタルサブスクリプションが、既存コンテンツを収益化に導いてくれる場合もあります。
通常このようなコンテンツにはロックが掛かっており、料金を支払った登録者のみが顧客アカウントを通してアクセスできるようになっています。そのため、ダウンロード形式ではなく、ストリーミング形式で限定コンテンツを提供することも可能です。
登録料の支払い処理にはChargeRabbitを、デジタルデリバリーシステムにはSkyPilotを使用して、事業案を作成してみてはいかがでしょうか。
4. デジタル版テンプレートとツール
デザイナー向けにデジタルツールやデジタル資産を販売するRetro Supply Co.社
デジタルコンテンツには、専門外のタスクや時間がかかる作業に役立つツール形式のものもあります。多くのオーディエンスが苦労する問題点やニーズに対応する、デジタルソリューションの販売を販売するのです。
デジタルソリューションとは以下のようなものを指します:
- 起業家向けの商品試作ファイル
- 就職希望者向け履歴書テンプレート
- ビジネス向けソフトウェア
- 動画編集者向けのAdobe After Effectsプラグイン
- ウェブデザイナー向けのアイコン、フォント、UXキットなど
5. ミュージックもしくはアートの販売
動画のサウンドトラック用にデジタル版シートミュージックを販売するMateria Collective社
ミュージシャンやアーティストの方は自分の才能を生かし、自分が築いたオーディエンスから収益を得ることもできます。Tシャツやプリントなどのオリジナルグッズを販売することも選択肢の一つですが、デジタルダウンロードを商品化することも可能です。
例えば、ミュージシャンであれば代表的な曲をリングトーンとして、漫画家の方は自分のイラストを携帯用の壁紙として販売することができるでしょう。在庫を抱える必要がないため、リスクを取ることなく様々な形式でオーディエンスが求めていることを模索することができるのです。
6. 専門知識やサービス
個別のトレーニングプログラムをデジタルパッケージにし、月毎のサブスクリプションとして販売するStreet Parking社
通常、サービスを提供する時間数(「在庫」のようなもの)は限られていますが、デジタルコンテンツに制限はありません。そのように真逆の性質を持つサービスとデジタルコンテンツは、組み合わせて販売するにはとても相性が良いようです。
なお顧客は、購入したサービスの一部としてデジタルコンテンツを受け取ることが多々あります。デザイナーはロゴを提供し、パーソナルトレーナーはエクササイズ計画を提示してくれます。このように、サービスにお得なデジタルコンテンツを取り入れて「パッケージ」として販売することができるのです。
例えば、有料のコンサルティングサービスを行うにあたり、カスタマイズしたレポートやエクセルのスプレッドシートを提供すれば、他のサービスや商品を組み合わせて販売することができるようになるでしょう。もしくはダウロード可能な商品を無料で提供すれば、Eメール顧客リストを構築することが可能になります。現在、多くのオンラインビジネスはこの手法を採用しています。
サービスの一部として処理する作業が、自分には簡単である一方で顧客にとって貴重な内容であれば、それを商品化してみるのも一つの手です。これは、手間暇かけることなく収入源につながるチャンスだと言えるでしょう。
売れるデジタルコンテンツのアイデアを見つける
何かをひらめくまでじっとしているのは簡単ですが、優れたビジネスアイデアを見つけるのには時間がかかります。熱中できるアイデアがあるのは素晴らしいことですが、収益を上げたいならブレインストーミング、調査、検証の段階をしっかりと踏むことが重要です。
1. ブレインストーミング
まずは考えているアイデアを書き出すことから始めましょう。この段階では否定的にならないよう注意してください。悪いアイデアが良いアイデアにつながる場合もありますし、その逆もあります。ブレインストーミングでは考えすぎないようにすることがコツです。
何かピンと来るものを求めているなら、以下の内容を自問自答してみてはいかがでしょうか:
- 商品の使い方を伝授することはできるだろうか?例えば編み物グッズを販売しているなら、高度な編み物技術のレッスンを提供してみる。
- 顧客を手助けできることはあるだろうか?例えばサーフボードを販売しているなら、サーフィンができる健康状態を維持するための顧客向けワークアウト計画を作成する。
- ビジネスの基盤となった企業理念に戻り、関連するトピックを考える。例えば再生可能なアパレル商品を販売しているなら、サステナブルな暮らしに関するオンラインコースを顧客に提供する。
- 顧客コミュニティーが一堂に集える機会はあるか?台所用品を販売しているなら、バーチャルガイド付きワインテイスティングイベントを開催してみる。
- 得意なことは何か?例えば、商品写真撮影が特技であれば、優れた商品写真の撮影方法をオンラインコースで伝授する。
2. 調査
アイデアリストに記した内容についてはきちんと調べておくことが大事です。顧客が批判的に感じている商品、業界、価値を知ると同時に、彼らが満足していることも把握しましょう。その両方にチャンスが潜んでいるはずです。
調査をするには以下のような手段があります:
- Facebookグループ。考えつくすべてのニッチ分野やオーディエンスを網羅したグループが存在するFacebook。潜在顧客がどんなことに気をかけているかを知るには格好の場所。
- 業界別フォーラム。特定の趣味や業界のコミュニティーに重点を置いたフォーラムは、業界を超えて人々が何を欲しているのかを知るのに役立つ。
- 商品レビュー。自社および競合他社の商品レビューを読みアイデアを集める。商品ページのレビュー、ブログやウェブサイトに投稿された個別レビューのどちらでも可。
- ブログ投稿やコメント。関連したブログやコメントを読み、アイデアを集める。例えば自動車部品を取り扱っているなら、自動車関連のブログを読み内容を掘り下げてみる。
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顧客からのEメール。顧客からのEメールやメッセージは必ず読み返す。自分の考えや懸念点を伝えるためにわざわざ連絡してくる人には「強い意志」があるため、ビジネスに役立つ見識を得ることができる。
3. 検証
一つのアイデアに固執して時間を費やす前に、それが確固たるものであるかを検証する必要があります。成功するかどうかわからないまま、新たな事業に時間やお金を投資することは避けたいものです。
アイデアを検証する方法は以下の通りいくつかあります:
- キーワード調査。キーワードツールを使って、扱っているトピックがどのくらいの人たちに検索されているかを調べる。これは一つ一つのアイデアへの関心度を知ることに役立つ。
- Googleトレンド。Googleトレンドで検索をかけ、関心が高まっているトピックを調べる。関心度の高いトピックは、その機会規模が上昇傾向にあること示唆している。
- フィードバックの依頼。Eメールやソーシャルメディアを通して顧客に直接連絡を取る。顧客からのフィードバックを集めるには、世論調査やアンケートもおすすめ。
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小さいことから始め、繰り返す。アイデアを検証する最も簡単な方法は、小さな規模で試して、成長していく余地を残しておくこと。何らかの形でアイデアを表面化し、どんな反応があるかを試し、そこから改善していくことを目標とする。
業界が何であれ、ユニークな特技や知識は顧客のために大いに役に立つでしょう。
独自のデジタルコンテンツでクリエイティブに
デジタルコンテンツを取り扱うビジネスは、在庫を抱えたり、形ある商品を販売するための間接費を支払ったりする必要がありません。そのため、大きなリスクを負うことなく簡単に試してみることができます。
デジタルコンテンツを制作して事業に取り入れる方法はたくさんあります。創意工夫と少しの時間投資をすれば、それを補ってくれるだけの魅力的な価値を作り出すことができるでしょう。