この記事では、ネットショップ開業における仕入れの仕方について解説しています。初めてネットショップを開業する方のために、個人経営でも簡単にできる方法も用意しました。さらに、Shopifyで開業する方に向けて、便利な卸売り・仕入れアプリもご紹介します。
ネットショップ開業の仕入れ方法6つ
ネットショップ開業の仕入れ方法として、6つご紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
サプライヤーサイトで仕入れる
ネットショップ開業において、個人経営でも簡単にできる仕入れ方法の一つにサプライヤーサイトがあります。サプライヤーとは、事業者が販売する商品やサービスを供給、納入する業者のことで、サプライヤーサイトには問屋やメーカー、ブランドが商品を出品しています。これらのサイトは「卸売りサイト」や「仕入れサイト」と呼ばれることもあります。
サプライヤーサイトを活用する最大のメリットは、スマホやパソコンだけで仕入れができる点です。オンラインで仕入れができるため、業者との電話でのやり取りや直接交渉といった手間がかかりません。商品を直接見ることができない、価格交渉ができない、といったデメリットもありますが、オンラインショッピングをする時のように手軽に仕入れができることから、多くのネットショップで利用されている方法です。サプライヤーサイトを利用するにあたっては、会員登録が必要になることがほとんどで、登録完了後に卸価格を確認できる仕組みになっています。日本では、以下のサプライヤーサイトが知られています。
- NETSEA(ネッシー):メーカーや問屋が数多く出店している卸売りECサイトで、アパレルから日用雑貨、家電など幅広いカテゴリの商品を取り扱っています。
- orosy(オロシー):Shopify(ショッピファイ)やBASE(ベイス)などのサービスと連携している卸売・仕入れマーケットで、スマホアプリもあるので簡単に仕入れ先を探せます。
- Alibaba(アリババ):中国最大級のBtoB向けECサイトで、サイト上でサプライヤーと直接交渉できるという特徴があります。
卸売業者から仕入れる
従来から行われてきた仕入れの方法の一つに、卸売業者からの仕入れがあります。卸売業者とは、メーカーなどの製造者から商品を仕入れて、小売業者へ販売する専門の業者です。問屋や卸問屋とも呼ばれ、会員登録や契約を行うことで取引が可能になります。
卸売業者との取引では、大量の商品を購入することで、卸売価格と呼ばれる安い価格で商品を仕入れることができます。販売を開始する前に商品を仕入れることになるため、在庫管理が必要になります。また、仕入れ費用を前払いすることを考慮してキャッシュフローを考える必要があります。
卸売業者と取引をするには、ネットで卸売業者を探して連絡を取る、問屋街や卸問屋を訪れる、といった方法があります。取引の基準や条件は業者によって異なるため、直接問い合わせることをおすすめします。問屋街や卸問屋を訪問して交渉する場合は、名刺や事業の内容がわかる書類やサイトなどを用意しておきましょう。
ドロップシッピングを使う
在庫を持たずに商品を販売するビジネスモデルに、ドロップシッピングがあります。ECサイトで商品が売れたら、メーカーや卸売業者から購入者に商品が発送される仕組みとなっているため、商品を仕入れたり、商品を保管・管理したりすることなく、商品を販売できます。また、梱包・発送作業もドロップシッピング業者が行ってくれるので、通常のECサイトに比べて、コストや手間を抑えることができます。この時間とコストをマーケティングやブランディングに集中できるのが大きなメリットです。
事前に仕入れをする必要がないことから、商品在庫の確保や管理に費用がかからず、初期費用を抑えてビジネスを始めたい起業家にもおすすめの方法です。ドロップシッピングの始め方の記事では、始めるにあたっての注意点や商品選びのポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
製造業者から仕入れる
販売したい商品が決まっている場合は、メーカーなどの製造業者と交渉をして、直接取引を行うことができます。小売業者との直接取引を行っているのかどうか、また行っている場合にはその条件について問い合わせてみましょう。製造業者によっては小売店への販売を行っておらず、販売代理店や卸売業者を経由しなければ仕入れができない場合があります。
ホワイトレーベル
ホワイトレーベルとは、メーカーが開発・製造した商品やサービスを自社のブランド名で販売をすることを意味します。自社工場を持たない企業や個人が自社ブランド製品を販売するための方法で、製品の開発・生産ノウハウを持っていなくても、市場に参入することができます。
開発・製造から安全性・耐久性のテストまでをメーカーに依頼するため、安定した品質の商品を提供できるのが大きなメリットです。ゼロから商品開発を行う場合に比べてコストを抑えることができ、さまざまな製造元に依頼することで、取り扱うホワイトレーベル商品を増やしやすいのもメリットです。
OEM
OEM(オー・イー・エム)とは、Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)の略で、自社製品やサービスの開発を他社に依頼するビジネスモデルです。自社で企画・開発を行い、製造のみを他社に委託する場合と、商品開発から製造までを委託する場合があります。多くのプライベートブランド商品でOEM生産が行われており、少ない資金で自社ブランド商品を作れるのが大きなメリットです。OEMの特徴として、小ロット生産を受け付けてもらえる場合が多く、在庫リスクを軽減できます。
見本市や展示会などのイベントで仕入れる
見本市や展示会などのイベントに参加して、商品アイデアを得たり、仕入れ先となるメーカーや製造者、卸売業者と交渉をしたりすることができます。こういったイベントでは、まだ広く流通していない商品や最新アイテム、今後人気が出ることが予想される商品と出会える可能性があります。一度に多くの商品を見比べることができるので、質や機能にこだわった商品を販売したい場合にも適しています。多くの企業と交流を持てる機会でもあることから、仕入れ交渉だけではなく、人脈やネットワーク作りにも役立つほか、同業者との情報交換の機会にもなるので、気軽に参加してみましょう。
自社製造を行う
他社から商品を購入するのではなく、アクセサリーやキャンドルなどのハンドメイド商品を自社製造して販売する方法もあります。自社で製造した商品を販売するため、商品の品質管理は自ら行う必要があります。
自社製造の場合、大量生産が難しい、大量生産するには資金が必要になるといった点に注意が必要です。ハンドメイド作品を作る場合は、材料費や制作時間がかかるので、コストを考慮した販売戦略を立てましょう。
Shopifyでのネットショップ開業におすすめ仕入れアプリ11個
1. Spocket
Spocket(スポケット)は、アメリカやヨーロッパなど、世界各国のサプライヤーから商品をShopifyストアに追加できるアプリです。最低購入数がないため、仕入れのしやすさにも定評があります。請求書にブランドロゴを追加することもできます。カスタマーサービスは24時間年中無休で対応しているため、初めてドロップシッピングを行う場合でも安心です。
主な取扱商品カテゴリー
- 衣料品
- インテリア雑貨
- ジュエリー
- ペット用品
料金
- 無料プラン
- Startar:月額39.99ドル
- Pro:月額59.99ドル
- Empire:月額99.99ドル
2. Printful
Printful(プリントフル)は、カスタマイズ可能な商品が豊富で、プリントオンデマンドサービスを活用して、オリジナルグッズを販売できます。無料素材やデザイン機能を搭載したデザイン作成ツールや、ロゴ作成ツールなどの機能が充実しており、デザインの知識や技術がなくても安心して利用できます。日本国内だけでなく、海外にも拠点があるので、海外販売を視野に入れている人にもおすすめです。
主な取扱商品カテゴリー
- Tシャツ
- スウェットパンツ
- レギンス
- トートバッグ
- マグカップ
- スマホケース
- フレーム付きポスター
料金
- インストール無料
- Printful Growth:月額24.99ドル
3. goooods
卸売マーケットプレイスのgoooods(グッズ)で注文した商品を、自分のストアで簡単に販売できます。お気に入りに追加した商品や注文した商品は、Shopifyの管理画面上で一覧表示で確認できるので、販売したい商品を選択して、Shopifyストア上に商品を表示させて販売を開始できます。
主な取扱商品カテゴリー
- 美容
- 日用品
- 家具・インテリア
- 食品
- ペット用品
- アウトドア
- スポーツ・レジャー
- ファッション
- 文房具・事務用品
料金
- インストール無料
4. Faire
Faire(フェール)は、10万以上のブランドやメーカーが商品を出品しているBtoB卸売サイトです。取扱商品のカテゴリーは家庭用品から食品、アクセサリー、化粧品、ベビー用品、ペット用品まで幅広く、商品詳細だけでなく、販売元に関する情報も確認することができます。FaireのShopifyアプリをインストールすれば、Shopifyの管理画面から簡単な操作で商品の仕入れと販売を1か所で管理できます。条件を満たせば、購入後60日までの支払いも可能で、リスクを抑えながらネットショップを運営できます。
主な取扱商品カテゴリー
- ホーム雑貨・インテリア
- 食品
- 美容・健康
- アクセサリー
- キッズ・ベビー用品
- ペット用品
料金
- インストール無料
5. Printify
Printify(プリンティファイ)はプリントオンデマンドサービスで、豊富な商品カタログのから選んだ商品をカスタマイズして、オリジナルグッズを販売できます。利用するプリントオンデマンドサービスを自分で選べるほか、アプリ上で注文や発送状況を一覧で確認することができます。有料プランにアップグレードすると、全商品20%オフで仕入れられるので、利益率を高めることが可能です。
主な取扱商品カテゴリー
- Tシャツ
- マグカップ
- ポスター
- ステッカー
- 靴下
- ウォーターボトル
- スマホケース
- トートバッグ
料金
- インストール無料
- Premium:月額29ドル
6. Syncee
Syncee(シンキー)は、世界中のサプライヤーの商品を豊富に扱っているドロップシッピングマーケットプレイスです。販売したい商品を選択して自分のストアにインポートすることができ、アップデートも自動で行われます。無料プランでも24時間365日対応のカスタマーサポートを受けられます。
主な取扱商品カテゴリー
- 自動車関連
- 美容
- テクノロジー
- エコフレンドリー
- ファッション
- 食品
- プレゼント
- アクセサリー
- キッズ・ベビー用品
- スマートフォン
- スポーツ・アウトドア
- ペット用品
- おもちゃ
料金
- Startar plan:無料
- Basic plan:月額29ドル
- Pro plan:月額49ドル
- Business plan:月額99ドル
7. creativehub
creativehub(クリエイティブハブ)は、アート作品をプリントした商品を仕入れて販売できるサイトです。アプリを使ってネットショップと接続すれば、気に入った作品のサイズや印刷のタイプを選べるようになり、販売することができます。
主な取扱商品カテゴリー
- アート作品
料金
- インストール無料
8. MY ONLINE FASHION STORE
MY ONLINE FASHION STORE(マイオンラインファッションストア)は、レディースファッションアイテムがメインの、アメリカ拠点のドロップシッピングサイトです。6,000点以上の商品を取り揃えていて、各商品には推奨販売価格が記載されています。安価な送料設定や返品無料サービスがあり、人気を集めています。現在、アメリカ国内でのみサービスが提供されています。
主な取扱商品カテゴリー
- スカーフ
- タンクトップ
- 下着
- サングラス
- ハンドバッグ
- 帽子
- ベルト
料金
- Monthly $9:月額9ドル
- Monthly $19:月額19ドル
- Monthly $29:月額29ドル
- ANNUAL PLAN:年額108ドル
9. DSers
DSers(ディーザーズ)は、AliExpress(アリエクスプレス)に出品されている商品をドロップシッピングで販売することができるアプリです。DSersでは、安価な仕入れ値の商品を見つけることができるので、利益率を上げやすいというメリットがあります。ニッチ商品も見つけやすく、ニッチ市場で顧客開拓を狙う人におすすめです。
主な取扱商品カテゴリー
- 衣類
- アクセサリー
- 家庭用品
- 家電
- スマホアクセサリー
料金
- インストール無料
- Advanced:月額19.90ドル
- Pro:月額49.90ドル
10. Lulu Direct
Lulu Direct(リュリュディレクト)は、書籍とカレンダーに特化したオンデマンド印刷サービスです。書籍の形式やサイズ、インク、紙質、製本の種類(ハードカバーまたはソフトカバー)を選べます。選択できます。オンデマンド出版で自作の本を出版することができ、印刷から配送手続きまで行ってくれます。
主な取扱商品カテゴリー
- ハードカバー写真集
- 小説
- 漫画
- ワークブック
- カレンダー
- 日記帳
- ノート
料金
- インストール無料
11. Shapeways fulfillment
Shapeways fulfillment(シェイプウェイズフルフィルメント)は、3Dプリンターで商品を印刷し、出荷してくれるサービスです。3Dプリンター用のモデルをアップロードして注文を確定すると、3D印刷された商品が注文者に届く仕組みです。一般的なドロップシッピングとは異なり、3Dプリンターで作成する品に特化しているため、ニッチ市場を狙う人におすすめです。
主な取扱商品カテゴリー
- プラスティック
- スチール
- ゴールド
- アルミニウム
- カーボンファイバー
料金
- インストール無料
まとめ
ネットショップ開業の仕入れの仕方には、サプライヤーサイトやドロップシッピングを使った仕入れのほか、卸売業者や製造業者と直接取引をする、見本市や展示会で仕入れる、自社製造を行う方法があります。サプライヤーサイトからの仕入れは、ネットショッピング感覚で商品を調達できるので、個人事業主や初めてネットショップ開業に挑戦する人にもおすすめの方法です。
ネットショップ開業でShopifyを使えば、便利なアプリを追加して、仕入れ作業を簡素化できます。ドロップシッピングサイトと連携させることで、商品を自社サイトに反映させたり、Shopify管理画面から商品を管理したりできるようになります。越境ECにも対応しているので、この機会にShopifyでネットショップ開業を検討してみてはいかがでしょうか。
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ネットショップ開業の仕入れに関するよくある質問
ネットショップ開業の仕入れ方法にはどんなものがある?
- サプライヤーサイトで仕入れる
- 卸売業者から仕入れる
- ドロップシッピングを使う
- 製造業者から仕入れる
- 見本市や展示会などのイベントで仕入れる
- 自社製造を行う
ネットショップ開業の仕入れ方法には、上記の6つがあります。取り扱う商品やネットショップの規模、予算などを考慮して、仕入れ方法を選びましょう。
海外から仕入れを行うことは可能?
海外の企業との直接取引や海外サイトを通じて、仕入れることができます。販売したい商品が決まっている場合は、現地で直接買い付けたり、見本市・展示会に参加して取引先を開拓したりする方法もあります。
無在庫でネットショップ仕入れはできる?
ドロップシッピングを使えば、在庫を抱えることなくネットショップの仕入れができます。
文:Masumi Murakami