起業というとハードルが高く感じるかもしれませんが、初期費用をかけなくても、新規事業を立ち上げることはできます。実際に、0円で起業した結果、事業がどんどん大きくなり、多くの人が知る大企業に成長した例も存在します。この記事では、そんな0円起業のアイディアと、その成功例を紹介します。
お金はないけれど起業してみたいという人や、お金がないからこそ何かしなければと考えている人は、ぜひこの記事で自分にできる0円起業のアイディアを探してみてください。
0円起業とは
0円起業とは、文字通り費用ゼロで起業することです。法人を立ち上げる場合は費用がかかりますが、個人事業主なら開業届の提出に費用はかかりません。0円起業には、大きく分けて2つの方法があります。1つ目は、家に眠っている不用品や、経験、スキルなどをお金に替えることです。何らかのデジタルスキルをお持ちの方なら、それを生かして開業するのもいいでしょう。在宅でできる仕事であれば、オフィスも必要ありません。2つ目は、自己資金以外で開業することです。初期費用が要らないフランチャイズへ加盟する、クラウドファンディングで資金を集めるなどの方法で、自己資金はゼロでも開業ができます。
0円起業のアイディア14選
1. ネットショップ
ネットショップを開設し、家に眠っているものを販売しましょう。服やかばんなどの衣料品、古道具、本やゲーム、家電や家具など、使わずにしまいこんでいるものはありませんか。自分にとっては使わないものでも、他の誰かにとってはお宝かもしれません。また、日本ではありふれたものも、越境ECで海外に向けて販売すれば人気がでる可能性があります。
Shopify(ショッピファイ)は初期費用無料で自分のネットショップを開設できます。開設時に無料ドメインが付与されるので、自分でレンタルサーバーなどの契約をする必要もありません。
2. ドロップシッピング
ドロップシッピングはメーカーや卸売業者など、取り扱う商品のサプライヤーと契約して、梱包や配送を代行してもらうという仕組みを利用したネットショップビジネスの一形態です。注文が入ると、サプライヤーから購入者に直接商品が発送されます。通常のECビジネスは、仕入れや在庫の保管にお金がかかりますが、ドロップシッピングビジネスなら、在庫を抱えるリスクはありません。 メーカーなど商品をもつサプライヤーが梱包も発送も代行するので、ほとんど初期費用をかけずにビジネスを始めることができます。
重要なのは、ドロップシッピングで売れる商品と、そのサプライヤーをみつけることです。ドロップシッピングは参入障壁が低い分競争が激しく、薄利多売になりやすいという傾向があります。ニッチで単価の高い商品をみつけだしてサプライヤーと契約をし、仕組みさえつくりあげてしまえば、不労所得になる可能性も秘めているビジネスです。
3. アフィリエイト
SNSアカウントやブログを持っている方が手軽に始められる事業として、アフィリエイトが挙げられます。アフィリエイトとは、広告主の商品やサービスを自分のSNSアカウントやブログで宣伝し、その成果に応じて報酬を得る仕組みです。
Amazonアソシエイトや楽天アフィリエイトなどのアフィリエイトプログラムに登録し、プログラムから紹介する商品やサービスのリンクを作成し、それをブログやSNSに貼るだけで始められます。リンクを通じて商品が購入されたり、サービスに登録されたりすると、売上の一部が報酬として支払われます。
成果が出るまでに時間がかかるといわれていますが、自分のペースですすめられるビジネスです。自分のSNSアカウントやブログのテーマに沿った商品をとりあげたり、実際に商品を使用してレビューを書いたりと、工夫しながら継続していきましょう。不労所得になる可能性があります。
4. クラウドソーシング
ウェブライティング、デザイン、プログラミング、動画制作などのスキルがあれば、Lancers(ランサーズ)やクラウドワークスといったクラウドソーシングサイトで仕事の依頼を探すことができます。実績を積んでスキルを磨けば、単価をあげていくことができるでしょう。自分のポートフォリオをつくって、アピールすることも重要です。
こういったスキルがない場合は、まずデジタル庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省のポータル「マナビD(デラックス)」で学ぶのがおすすめです。基本から応用まで、無料で学べる講座が多数用意されています。
5. イラストや写真などの素材販売
イラスト、写真、動画、音声、音楽、効果音、スクリプトやプラグイン、ウェブサイトテンプレートをつくるスキルがあれば、それらのファイルを素材として販売することができます。
Shopifyで自分のネットショップを開設するか、PIXTA(ピクスタ)やAdobe Stock(アドビストック)、Shutterstock(シャッターストック)などの素材販売サイトに登録しましょう。
6. 文章や漫画の販売
自身の経験や知識を、文章や漫画にまとめて、販売することもできます。変わった経験やそこから得た知見などがあれば、お金を出しても知りたいという人がいるかもしれません。たとえば、note(ノート)などのプラットフォームで、定期購読のプランをつくってファンを集めることができます。記事をバラ売りで販売することも可能です。また、電子書籍にまとめて、Kindle(キンドル)などのプラットフォームで出版するのも良いですし、プリントオンデマンド出版を利用するのもアイディアのひとつです。Shopifyなどを使って、電子書籍専門のECサイトを開設してもいいでしょう。
7. ポッドキャスト、音声配信
ポッドキャストや音声配信も、稼げる事業になる可能性を持っています。Spoon(スプーン)、stand.fm(スタンドエフエム)、Voicy(ボイシー)、Radiotalk(ラジオトーク)などのアプリを使うことで、無料で配信が始められます。
時間はかかるかもしれませんが、地道にファンを獲得して人気チャンネルになれば、スポンサーを得て広告収入を得たり、ファンからのサポートを得たりすることが可能です。ラジオのパーソナリティに憧れていた人は、ぜひ挑戦してみましょう。
8. メールマガジン、ニュースレター
文章を書いて定期的に発信するのが得意であれば、Substack(サブスタック)やtheLetter(ザ・レター)などのサービスを使い、メルマガやニュースレターを定期配信して収益が得られます。
海外では、ニュースレターの配信によって約7500万円の収入を得た例もあります。
9. オンライン講座
何らかの分野の専門知識を持っているなら、オンライン講座を立ち上げ、講師として起業することもできます。オンライン講座には、Zoomなどのウェブ会議ツールや、Udemy(ユーデミー)、Brain(ブレイン)、ストアカなどの専用プラットフォームが活用できます。アーカイブや補助教材などを、ネットショップで販売することも可能です。
10. インフルエンサー
SNSアカウントやブログ、YouTubeなどで継続的に発信をするのが得意なら、インフルエンサーを目指すというのもひとつの道です。
写真や動画で表現をすることが得意ならInstagram、短い動画にまとめるのが得意ならTikTok、短い言葉で的確に発信するのが得意ならX、面白い企画がつくれるならYouTube、ゲームなどのライブ配信ならTwitch、文章力に自信があるならnoteか個人ブログというように、媒体にもそれぞれ違いがあります。自分に適した媒体を探して、得意なジャンルのコンテンツを投稿し、ファンを増やして知名度をあげていきましょう。
インフルエンサーが収入を得る主な方法には、投げ銭とよばれる視聴者からの寄付金、プラットフォームに応じた広告収入、オリジナルグッズの販売などがあります。
また、一定数のファンがつき、企業からインフルエンサーとして認知されれば、PRやモニタリングの案件を受けることもあるでしょう。
11. 代行サービス
個人や企業の業務を代行して報酬を得るというアイディアもあります。家事代行、ペットの散歩代行、買い物代行、お墓参り代行、退職代行、珍しいものでは愚痴聞き代行やモーニングコール代行、お遍路参拝代行など、すでにさまざまな代行サービスが存在しています。個人や企業の思わぬ需要をみつけだし、新しいアイディアを形にすることができれば、ビジネス自体が大きく発展していく可能性も秘めています。
ココナラやスキルマーケットのようなサービス売買のプラットフォームでも、代行サービスを展開することはできますが、ブランディングをしてサービスを発展させていくには、独自のサイトの開設がおすすめです。Shopifyでは代行サービスのような無形商品を販売するネットショップも開設できます。予約アプリなどを組み合わせて、顧客も自分も使いやすい窓口を整えましょう。
12. 観光ガイド
インバウンド需要を取り込めるビジネスアイディアに、観光ガイドがあります。
2018年の規制緩和により、通訳案内士の資格がない人でも、通訳ガイドで報酬が得られるようになりました。外国語のスキルがある人は、Airbnb(エアビーアンドビー)体験やToursByLocals(ツアーズ・バイ・ローカルズ)といったプラットフォームにガイドとして登録することで、世界中から顧客を獲得することが可能です。自分の住む地域や周辺の観光名所、歴史、文化、食べ物などを調査し、観光コースをつくりましょう。ブログやSNSで情報発信し、地元の魅力を紹介することで、顧客を集め、地元にも貢献できる可能性があります。
ただし、ホテルや旅館などの宿泊先の予約や手配をしたり、運送手段をチャーターしたりといった業務には、旅行業または旅行代理業の登録が必要になります。必要が出てきた場合には、忘れずに登録を行うようにしましょう。
13. フランチャイズ加盟
フランチャイズとは、対価を支払うことで既存のブランドに加盟し、ブランドの傘下内で自分の店舗を運営するビジネスモデルのことです。大手フランチャイズに加盟する際には加盟金と開業資金の用意を求められる場合が多いですが、資金ゼロで始められるケースも存在します。実店舗をもたない宅配サービスやハウスクリーニング、家の修理などでは、資金なしで始められるフランチャイズもあります。
フランチャイズの場合、すでに本部でビジネスモデルが確立されています。研修を受けながら経営に必要な知識やノウハウを習得できるため、資金や経験はないけれど起業に挑戦したいという方におすすめです。
14. クラウドファンディング
新しい製品やサービスのアイディアがあるけれど資金はないという場合、クラウドファンディングを利用して事業をスタートするのも選択肢のひとつです。
クラウドファンディングとは、オンライン上でプロジェクトやアイディアを公表し、賛同する支援者から資金を募るシステムを指します。クラウドファンディングのプラットフォームには、CAMPFIRE(キャンプファイヤー)、Makuake(マクアケ)、GREEN FUNDING(グリーンファンディング)、Kickstarter(キックスターター)などがあり、それぞれ特化している事業が異なります。また、寄付型、購入型、融資型、投資型というように、資金の集め方にも種類があるため、自分のアイディアに合うものを選択して申し込みましょう。
0円起業の成功例5つ
1. Airbnb(エアビーアンドビー)
民泊というサービスを世界中に定着させたAirbnbも、0円からスタートした事業です。
始まりは、貯金もなく定職にもついていなかったブライアン・チェスキー氏とジョー・ゲビア氏が、自分たちの家賃を支払うために簡単なウェブサイトをつくり、自宅アパートのロフトを旅行者に貸し出すようになったことでした。また、ロフトを貸し出すだけでは家賃を賄うことができなかったため、ふたりはルームメイトのマッチングサービスも行っていました。紆余曲折はありましたが、0円で始めたこれらの事業が元となって現在のプラットフォームがあることは間違いありません。
2. 株式会社カカクコム
株式会社カカクコムも、最初は0円からスタートしました。
創業者の槙野光昭氏が、ネットショップで販売されている商品の価格をサイト別に比較するというアイディアを思いつき、自宅の一室でつくった¥CORE PRICE¥(コアプライス)というサイトが、現在の価格.com(ドットコム)の前身です。当初は連日手作業で価格更新を繰り返していたそうですが、1998年には、各ネットショップが価格をリアルタイム、かつ直接登録できる独自システムを開発し、さらに、ユーザー間で意見交換できるコミュニティの場をいち早く提供しました。
現在は価格.comだけでなく別の業界にも活動を広げ、飲食店口コミサイトの食べログや、映画の口コミサイトの映画.com、ライフスタイルメディアのキナリノ、求人検索エンジンの求人ボックスなどを運営しています。
3. 株式会社リブセンス
マッハバイト(旧ジョブセンス)や転職ナビ、転職会議などの有名な求人サービスを展開するリブセンスもまた、資金ゼロでスタートしました。
当時大学1年生だった村上太一氏は、先に掲載料をとるのが通例だった求人業界において、求人広告の無料掲載を行ったり、採用祝い金を出したりする成功報酬型の新しいビジネスプランを提唱し、所属大学主催のビジネスプランコンテストで最優秀賞を獲得しました。2006年に法人を設立したあと、史上最年少で東証1部上場を果たしています。
現在では求人業界だけでなく、不動産検索サービスのDOOR(ドアー)賃貸、IESHIL(イエシル)、ビジネス比較・発注サイトimitsu(アイミツ)、医療情報サイトの治療ノートなども運営しています。
4. 株式会社yutori(ユトリ)
SNSを使用して0円で起業した例として挙げられるのが、株式会社yutoriです。
始まりは、創業者の片石貴展氏がInstagramで「古着女子」というメディアを、副業として立ち上げたことでした。アカウントのフォロワーは、開設から5ヶ月で10万人を突破し、ネットショップでは20着程の古着が3分以内に売り切れるほどの人気を獲得しました。
2008年には法人化し、現在では9090(ナインティナインティ)、genzai(ゲンザイ)、centimeter(センチメーター)など複数のブランドやメディアを運営するアパレル企業へと発展を遂げています。
5. レンタルなんもしない人
おっさんレンタルやレンタル彼女など、人間のレンタル業が出現した2010年代に、森本祥司氏は「なんもしないこと」を仕事に設定し、レンタルなんもしない人としての仕事を始めました。
サービスの内容は、ゲームの人数合わせや花見の場所取りなど、ただ1人分の場所が必要なところにレンタルされていき、ただそこにいるだけという斬新なものです。この目新しさが話題を呼び、漫画化やテレビドラマ化など複数のメディアでとりあげられ、海外メディアからも取材を受けるようになりました。
まとめ
開業資金が0円でも、アイディアやスキル次第でビジネスをスタートさせることが可能です。0円で自宅から始まった事業が、大企業へと成長した例は複数あります。ほかにも、YouTuberやライバー、有名ブロガーなど、多くのインフルエンサーが0円起業だといえるでしょう。
0円起業に興味をもった人は、まず家にある不用品で売れそうなものがないか、自分の得意なことや向いていることは何かを分析し、何ができるか計画をたててみましょう。やることが決まれば、あとは行動するだけです。まずは副業から始めるのもいいでしょう。
資金面から起業をためらっていた人は、ぜひこの記事を参考に、起業を目指してみてください。
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0円起業についてのよくある質問
0円で始められる事業は?
- ネットショップ
- ドロップシッピング
- アフィリエイト
- クラウドソーシング
- イラストや写真などの素材販売
- 文章や漫画の販売
- ポッドキャスト、音声配信
- メールマガジン、ニュースレター
- オンライン講座
- インフルエンサー
- 代行サービス
- 観光ガイド
- フランチャイズ加盟
- クラウドファンディング
上記で挙げた例のほかにも、アイディア次第でゼロ円での起業が可能なビジネスは複数あります。
傾向としては、インターネットを利用したビジネスが多いといえるでしょう。
0円起業に適さない事業は?
物理的な商品を扱う小売業や、高額な設備投資が必要な製造業は、0円での起業に適していません。ほかにも、実店舗が必要となる場合は、どうしても運転資金が必要となるため、0円で始めるのは困難です。
ただし、ドロップシッピング、フランチャイズ加盟、クラウドファンディングなど、開業資金がなくても事業を始められる道は存在します。資金がなくても、アイディアがある場合は、できることがないか探ってみましょう。
0円起業のメリットは?
- 初期費用がかからないため、経済的リスクが低い
- 自分のペースで始められる
- フレキシブルな働き方ができる
0円起業のデメリットは?
- 安定した収益が得られるまでに時間がかかる
- 時間と労力の負担が大きい
- 参入障壁が低いビジネスは競争が激しい
文:Taeko Adachi