ネットショップを立ち上げる際、「開業するからには必ず成功させたい」と誰しもが思うことでしょう。それでは、どのような対策を打てば成功させることができるでしょうか。
失敗に終わったネットショップを見てみると、売れない理由は三つのパターンに集約されます。今回は、売れないネットショップの共通点を挙げた上で、自社ショップを成功させるポイントについて解説します。
売れない理由1:集客に失敗している
売れないネットショップに見られる共通点の一つ目は、集客ができていないことです。そもそも集客に取り組んでいないというケースもありますが、何らかの対策を投じていてもネットショップへのアクセス数が増えていないというケースもあります。
月間利用者数が数千万人単位で存在するモール型ECに出店する場合は、努力しなくてもアクセス数を集められるかもしれません。しかし、ネットショップを自分で開設した場合、開業当初から集客対策を行わなければ、その後の成功を期待することは難しいでしょう。
売れない理由2:接客に失敗している
売れないネットショップの共通点の二つ目は、接客が不十分であることです。
接客というと「実店舗で販売員が顧客の要求に対応すること」というイメージがあるかもしれません。しかし、顧客と顔を合わせることがないネットショッピングだからこそ、顧客が何を求めているのかを汲み取る力がショップに求められます。
ネットショッピングでは、ECサイトにアクセスした人が商品に興味を持っていても、何らかの理由で購入に至らないことがよくあります。その理由を探らないまま放置しておくと売上に結びつかず、集客の努力が無駄になってしまいます。
売れない理由3:リピーターの獲得に失敗している
売れないネットショップの共通点の三つ目は、リピーターを獲得できていないことです。
リピーター対策には多大な広告費も人件費もかかりません。リピーターを獲得することができれば、コストを抑えて効率良く収益をあげることができます。
反対に、リピーターが増えないネットショップは新規顧客だけに頼ることになります。売上が上がっても収益が伸びないのは、リピーターの獲得に失敗しているからと言えるでしょう。
ネットショップを成功させるポイント1:戦略的な集客
ネットショップを開設した際に、何よりも最初に取り組むべきことは集客です。集客方法にはさまざまな方法がありますが、そのなかでも特に重要なものを紹介します。
SEO対策
ネットショップにアクセスする人の多くは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを経由してサイトにアクセスします。それを踏まえて、検索結果の上位にネットショップが表示されるように手を尽くすことをSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)対策と言います。
SEO対策の基本は、ユーザーに検索されやすいサイトを構築することです。例えば、ネットショップでコーヒーを販売する場合、「コーヒー、通販」や「コーヒー、販売」というキーワードで自社が上位に表示されれば、顧客を自社のサイトへと誘導できるようになるでしょう。これらのキーワードをページのタイトルや説明、画像のalt属性などを含むコンテンツに追加するといった方法が、具体的な対策のひとつとなります。
また、コンテンツの質を強化することも重要です。検索エンジンはユーザーの検索意図に沿って最適なページを表示するようになっているため、ユーザーにとって有益なコンテンツを作れば、サイトが検索エンジンに評価されやすくなります。
さらに、被リンクの数を増やすこともSEO対策として有効です。被リンクとは、外部サイトから自社サイトのURLリンクを貼ってもらうことを指します。検索エンジンは多くの人に紹介されているサイトはユーザーから評価されていると認識するため、コンテンツの質を強化しながら自然に被リンクを増やすことが理想的な検索順位の上げ方と言えます。
リスティング広告
SEO対策は費用をかけずに実行できる反面、検索結果で上位表示させるまでに時間がかかるというデメリットがあります。そこで、SEO対策とともに取り組みたい集客方法が、リスティング広告です。
リスティング広告とは、ユーザーが検索したキーワードに応じて検索結果の有料広告枠に自社を表示させる仕組みです。検索結果でサイトを上位表示させるまでにSEO対策では少なくとも3ヶ月ほどかかると言われているのに対し、リスティング広告では最短で1日から2日で上位表示させることができます。
また、リスティング広告は広告を表示させるだけでは料金が発生しないことも特長のひとつです。ユーザーが広告をクリックした時点で料金が発生するので、低コストで始めることができます。
しかし、リスティング広告を運用するにあたり一定のコストがかかることには変わりありません。リスティング広告を利用する際には、どのような効果を狙い、いつまで掲載するのかという具体的な計画を立てることが重要です。
リターゲティング広告
SEO対策とリスティング広告は、ネットショップへの検索流入を増やすために有効な施策です。しかし、ネットショップへのアクセスが増えても、商品を購入せずに去ってしまう人は少なくありません。そこで、合わせて取り組みたいのがリターゲティング広告です。
リターゲティング広告とは、過去に自社サイトを訪れたことのある人の行動を追跡し、他サイトの広告枠に自社の広告を表示する仕組みです。タイミングよく広告を表示することによって、ユーザーの購入意欲を高めたり、顧客が他社へ流れるのを防いだりすることができます。
リターゲティング広告を行うためのツールのひとつに、Facebookピクセルがあります。Facebookピクセルとは、自社サイトへの訪問者を追跡するためにウェブサイト上に追加するコードで、Facebook広告の効果を測定するために使用されます。
Shopifyでネットショップを立ち上げると、FacebookピクセルのIDを自社ショップに追加するだけで訪問者のFacebook上にリターゲティング広告を配信することができます。また、ターゲティング広告を見た人が再び自社ショップに訪れた際には、その行動を追跡したりすることも可能です。
SEO対策、リスティング広告、リマーケティング広告はそれぞれが異なる特徴を持っています。3つの施策を組み合わせて実施して、失敗のない集客体制を整えましょう。
ネットショップを成功させるポイント2:顧客目線の運営
集客に成功したら、今度は購入率を高めるための対策が必要です。顧客がECサイトを訪問してから購入するまでの流れを考え、離脱させないためのポイントを押さえましょう。
商品情報
ネットショップを訪れた人が購入に至らずに離脱する理由の一つとして、目的の商品を見つけられないことが挙げられます。注力商品をトップページにリンクしたり、商品をカテゴリー別に分類したりすることで、初めて自社ショップを訪れた人にもわかりやすいサイトを設計しましょう。
また、目的の商品を見つけたとしても、その商品が自分のニーズに合っていると判断できなければ顧客はネットショップから離脱します。商品画像や説明文、口コミなどを充実させて顧客の心をつかみましょう。
ショップ情報
ネットショップにアクセスした人が離脱する別の理由として、初めて訪れるショップでの購入に不安があることが挙げられます。自社ショップに親しみを持ってもらうための第一歩として、ECサイト上に商品の背景にあるストーリー(ショップを始めたきっかけや目指す方向性など)を載せると良いでしょう。
また、配送や決済、返品などについての情報を明確に記載しておくと、顧客からの信頼を高めることができます。サイト上のFAQで想定される質問に対する回答をまとめておきましょう。
さらに、顧客がショップに問い合わせをしやすい環境を整備することも重要です。自社ショップの電話番号やメールアドレス、SNSのリンクをサイト上の目立つところに掲載し、質問や依頼に対応できる体制を整えましょう。
レスポンスの速さ
顧客からの問い合わせに対するショップの対応が遅れると購入率は下がります。レスポンスは可能な限り迅速に行いましょう。問い合わせに対してスピーディーに対応できるチャットサポートをECサイトに導入することもおすすめです。
また、商品が届くまでの日数も顧客の満足度を左右します。注文を受けたら迅速に対応して、商品をいち早く顧客の元へ発送しましょう。
決済方法の拡充
初めて利用するネットショップに個人情報を伝えたくないという顧客は意外と多いものです。決済方法の選択肢を増やすことも、顧客にとっての購入しやすさを考える上で大事な要素となります。
オンライン決済サービスのPayPalは海外で広く普及しているため、海外向け商品を取り扱う場合には導入したい決済方法です。顧客がPayPalアカウントを持っていれば、購入の際に個人情報を入力する煩わしさがありません。また、顧客はネットショップにクレジットカードや銀行口座の情報を伝える必要がないため、安心して決済できます。
Amazon Payは、Amazonのアカウントを利用した決済方法です。ネットショップがAmazon Payを決済方法の一つとして導入すれば顧客がより気軽に買い物できるようになるでしょう。
顧客のなかには、クレジットカードを利用しない人や商品を受け取る前に支払いを済ませることを躊躇する人もいます。そのような顧客にはBNPL(後払い)という選択肢があると、購入への心理的なハードルを下げることができます。
キャリア決済は、携帯電話の支払いと一緒に商品の代金を後払いする決済方法です。ドコモ、au、ソフトバンクがそれぞれサービスを提供しており、各携帯電話会社のIDとパスワードを入力するだけで簡単に決済できます。クレジットカードを持っていない可能性の高い若年層をターゲットとするネットショップがキャリア決済を導入すれば、購入率の向上を期待できるでしょう。
代金引換(代引き)は、商品を受け取る際に商品代金を支払う決済方法です。着払いと混同しやすいですが、着払いで支払うのは送料であるのに対し、代金引換で支払うのは商品代金が中心です。代金を支払うためにコンビニや銀行に行く必要がないため、シニア層に好まれる傾向があります。
カゴ落ち対策
顧客が商品をカートに入れたまま購入を中断してしまう、いわゆる「カゴ落ち」も、よくある離脱のパターンです。カゴ落ちは、顧客が購入意欲を失った場合だけでなく、購入するつもりでいながら後回しになっていたり購入するのを忘れたいたりする場合にも発生します。
カゴ落ちしている顧客に絞ってメールを送信すると、通常のメルマガ配信と比較して高いコンバージョン率が期待できます。放置されたカートへのリンクをメールで送信して顧客にチェックアウトを促し、効率よく購入率を高めましょう。
Shopifyでは、カゴ落ちメールを自動送信したり、メールの内容をカスタマイズして送信したりすることを通常機能で行うことができます。詳細についてはこちらをご覧ください。
ネットショップを成功させるポイント3:リピーターの獲得
ネットショップが軌道に乗って顧客が増えてきたら、リピーターを増やすための対策を考え始める時期です。過去に自社ショップを利用した顧客と接触し、顧客が再来店するきっかけを作りましょう。
お礼のメール
商品を購入した顧客にお礼のメールを書くならば、リピーターの獲得を視野に入れて一工夫しましょう。例えば、お礼に加えて「商品の使用感はどうですか」「トラブルはありませんか」といったフォローアップを行えば、顧客側からショップに接触するきっかけになるかもしれません。
また、「商品に対する口コミを書いていただけたら、クーポンをプレゼントします」というような文章を添えれば、顧客の再来店を促しながら新規顧客を獲得することも期待できます。
メルマガ
メルマガは一度に多くの顧客に情報を伝えるのに適しています。チラシやダイレクトメールのように印刷やデザインの必要がないため、誰でも簡単に始めることが可能です。
迷惑メール扱いをされることもあるメルマガですが、読者限定の特典を配信すれば登録してもらいやすくなります。セール情報や新商品の先行予約などの特典で読者を増やし、読者が再来店したくなるような自社ショップならではの情報を配信しましょう。
ダイレクトメール
顧客の年齢層が高い場合は、ダイレクトメールによる接触方法がより高い効果を発揮します。印刷や郵送が必要な分コストがかかりますが、顧客を絞り込んでその人の購入履歴に合わせた商品の紹介をすれば、費用に見合った効果を期待することができます。
DMは送るタイミングが肝心です。年賀状や母の日、父の日など、季節のイベントを活用してDMを送るのも賢い方法でしょう。
ブログ
ネットショップのコアなファンを作ってリピーター化させるには、ブログでの情報発信が有効です。例えば、商品の開発秘話をテーマに情報を発信すれば、顧客に「このショップが好き」という気持ちが生まれて再来店につながるかもしれません。
Shopifyでは、別ドメインでブログを用意しなくてもショップ内にブログを持つことができます。また、Word Press、Tumblr、Bloggerなどの外部プラットフォームのブログを持っている場合は、ブログへのリンクをネットショップのメニューに追加することも可能です。実際にブログを追加する方法についてはこちらをご参照ください。
SNS
ネットショップがTwitterやFacebook、InstagramなどのSNSアカウントを開設して情報を発信することも、リピーターの獲得につながります。ブログ記事を書いた後に記事へ誘導させるリンクをSNSで発信したり、タイムセールを告知したりなど、SNSの活用方法はさまざまです。
SNSでリピーターの獲得を狙うメリットは、おもしろい投稿やおしゃれな写真を通じて顧客とコミュニケーションをとることができる点です。リピーターの生の声を拾ってマーケティングにつなげていきましょう。
ネットショップを成功させる三原則
ネットショップを始める際には、やらなければならないことがたくさんあります。なかでも重要なのは、売上を上げるための「集客」「接客」「リピーターの獲得」です。
これらの対策の取り組み具合によって、ネットショップの成功・失敗が決まります。ひとつずつ地道に取り組んで、ネットショップの収益拡大を目指しましょう。
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