数多くのウェブデザイナーや開発会社が存在しているなかで、どのように自社を目立たせるか? クライアントは数ある競合のなかで、どのようにしてあなたを採用するのでしょうか?
これを伝えるのは心苦しいのですが、母親が子供に伝える「あなたは特別」というようなメッセージはここでは通用しません。特に、ウェブデザインのビジネスはレッドオーシャンです。似たような制作会社が世の中にはたくさんあります。彼らは同じサービスを同じような価格で提供しています。彼らがサイト上で強調する特長は、他者と似ていて被ることも多いです。
実際に、多くのウェブデザイナーのサイトを見てみると、どれもほとんど同じです。似たサービスを掲げていて、自分たちは優れた体験を作り出すと言っています。そして自分たちはすばらしい人間だと強調します。ほとんどのサイトは、入れ替えてもわからないでしょう。
残念ながらほとんどのウェブデザイン系のサイトは同じに見えます。NoVolumeによる画像。
それでは、成功するエージェンシーと苦労するエージェンシーを分けているものは、何なのでしょう? 仕事の質でしょうか? そうではないのです。すばらしい仕事をしているエージェンシーはたくさんあります。しかしそれでも彼らは、クライアントに来てもらうことに苦労しているのです。
目立ちたいときにできることが3つあります。仕事が継続して入ってくるようにするための3つの行動です。それがこちら。
- 得意分野を見つける
- 評判を築く
- カスタマーサービスにフォーカスする
それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。まずは、得意分野を見つけることから始めます。
1 自分の得意分野を見つけて差別化を図る
群衆の中で目立つ方法の1つが、群衆のサイズを小さくすることです。言い換えると、あなたは競合の数を減らす必要があります。そのための最良の方法が、専門化して他社と差別化を図ることです。
ウェブデザインの観点から専門化をおこなうと、あなたは競合の数を減らせます。あなたが専門とする領域であなたと同じレベルで戦える相手を減らすのです。たとえば、ヘルスケア領域を専門にするとしましょう。その領域であなたと同じ経験をもつエージェンシーはだいぶ少なくなることがわかるでしょう。
こうした専門化は、直感に反するように感じられるかもしれません。可能性のある仕事をわざわざ断る必要があるでしょうか? 実際はしないですよね。専門外の仕事も厳しい情勢のときには受けるべきなのです。
わたしが言いたいのは、マーケティング活動(サイトなど)は専門性に集中すべきということです。専門領域外の仕事を受けるにしても、あなたを目立たせることに引き続き注力しましょう。
サイトを専門分野に特化することで競合の数を減らすことができます。
もう1つ覚えておいてほしい重要なことは、潜在的なクライアントはまだまだたくさんいるということです。専門領域をヘルスケアなどに特化したとしても、関心を持つ人々が足りなくなるわけではありません。さらに、ウェブの仕組みにより、これらのクライアントはあなたを見つけやすくなります。
専門化する方法
ここで質問が上がるでしょう。自分は何を専門にしたらいいのか? 大きく2つのオプションがあります。あなたが提供できるモノ・サービスに特化する、または、提供先のターゲット・業種業態に特化することの2つが挙げられます。
たとえば、あなたはShopifyのECサイトの提供を専門にすることができます。この領域で専門家になれば、Shopifyのサイトに関心のあるクライアントを引きつけることが可能です。
あなたが提供するものを専門分野にできます。たとえば、Shopifyサイトの構築を専門にしている人たちもいます。
または、特定のターゲットオーディエンスを専門にすることもできます。たとえば、先述したようにヘルスケア領域を専門にすることも可能です。この業界が直面している課題の専門家になれば、その領域で助けを必要としているクライアントを引きつけられます。
専門化の方法はシンプルです。自分のポートフォリオを見て、繰り返されているパターンを発見します。たくさんのShopifyサイトを作っていたり、特定のタイプのクライアントと多く仕事をしていませんか? これは領域の絞り込みに役立ちます。また、専門性を宣伝する際のケーススタディとしても貴重です。
とはいえ、専門化だけでは不十分なのです。同じ領域を専門にしている競合もいるので、さらにやるべきことがあります。あなたを際立たせる評判を築く必要があるのです。
2 評判を築く
わたしたちの職業には、いい仕事さえしていればクライアントはやってくる、という神話がありますが、これは真実ではありません。
”わたしたちの職業には、いい仕事さえしていればクライアントはやってくる、という神話がありますが、これは真実ではありません。”
もちろん、リピートビジネスとクチコミは重要で、これについては後で説明します。しかしそれだけではあなたを支えるのに十分ではありません。初期の段階ではとくに。あなたは評判を確立する必要があるのです。
ウェブサイトであなたがどんなに優れているかを訴えるだけでは不十分です。それを証明しなくてはいけません。たんに話すのではなく、示す必要があります。
あなたの専門知識を共有することで、それができます。ブログを頻繁に書き、本を執筆し、イベントで話し、ニュースレターを発行します。あなたが知っていることを共有する機会をすべて活用しましょう。これにより、その業界であなたがエキスパートだという評判を築くことができます。ここではあなたの商品やサービスを宣伝する必要はまったくありません。むしろ、それは避けてください。
わたしは10年以上、毎週ブログを書いてきました。その結果、専門家としての評価を得ています。この評価がわたしを際立たせてくれるのです。
セルフプロモーションは、必死に見えてしまいます。それはあなたの「思想リーダー」としてのイメージを損ないます。その代わりに、あなたが共有する知識自体に語らせましょう。人々は、セルフプロモーションがない場合に、あなたの言うことを聞いたり投稿をシェアしたりする傾向が強まります。何か新しいことを彼らに教えることで、価値をもたらすのです。
”人々は、セルフプロモーションがない場合に、あなたの言うことを聞いたり投稿をシェアしたりする傾向が強まります。”
しかし、ここに厳しい現実があります。評判の構築は、一晩ではできません。多くのエージェンシーがブログをスタートし、あまり読む人がないのでやめてしまいます。イベントでの講演が受け入れられずに士気を失い、講演の申請をやめてしまう人がたくさんいます。
あなたを際立たせるような評判を築くためには、一貫したペースで専門知識を共有し続ける必要があります。つまりこれは、ニュースレターを欠かさずに送信し、週ごとにブログを書くことを意味するわけです。
こうした努力は、クライアントを満足させ続けなければ、徒労に終わってしまいます。オンラインでの彼らの一言が、あなたの評判を破壊するかもしれません。そこで、カスタマーサービスに絶え間なくフォーカスすることが、ほかと一線を画すために重要となってくるのです。
3 カスタマーサービスにフォーカスする
競争力を維持するために、すばらしい仕事を続けなければならないことは、言うまでもありません。しかし、これは始まりに過ぎないのです。目立つためには、卓越したレベルのカスタマーサービスを提供する必要があります。
素敵な環境でおいしい食事を提供するレストランを想像してみてください。もしあなたのウェイターが不快で失礼だったら、あなたの体験は幸せなものになりますか? もちろん、違いますよね。あなたが受けるサービスは、「成果物」と同じくらい重要なのです。
失礼なウェイターはレストランでの食事体験を台無しにします。同様に、ウェブデザインでの貧相なサービスは、クライアントの体験を損なう可能性があります。
同様に、わたしたちは、作成するウェブサイトと同じくらいにサービスを重視する必要があります。このカスタマーサービスこそ、クライアントがオンラインでわたしたちのことを褒め、ひとに薦めてくれる要因となるのです。そして同じこのカスタマーサービスゆえに、クライアントはまた戻ってくるでしょう。
リピートとクチコミのレコメンドは、ビジネスが成功する秘策です。それがないと、新しい仕事を得るための努力はすべて不可能なものとなるでしょう。また、あなたの競合は簡単にあなたからクライアントを引き離すことができてしまいます。
優れたカスタマーサービスの中心は、優れたコミュニケーションにあります。ですが、多くのウェブデザインエージェンシーはこの領域が得意ではありません。わたしたちは、クライアントを引き込んできちんと情報を共有することを忘れたプロジェクトに注力し過ぎています。実際のところ、わたしたちはしばしば、クライアントがプロジェクトを台無しにすることを恐れて、彼らを締め出してしまいがちです。
そんなにむずかしいことではないのです。クライアントに対して、定期的に情報を上げるだけで十分です。しかし、たとえ進捗がなくても、クライアントへの情報をアップデートする必要があります。そうしないと、彼らは心配し始めます。
また、起こりうる問題について話すのを後回しにしないでください。警告したうえで、期待を上回るほうがいいです。一番やってはいけないのは、サプライズとして問題を起こすことです。
最後になりますが、実際にクライアントと話しましょう! 電話をかけてください。ミーティングをおこないましょう。電子コミュニケーションには頼り切らないように。あなたはそれが好きかもしれませんが、文脈が失われがちになります。対面で直接話すことは、クライアントを安心させます。
同じ領域内での他社のカスタマーサービスの弱点は、あなたを際立たせる機会をもたらします。クライアントをプロジェクトに巻き込み、頻繁にコミュニケーションを取りましょう。それができれば、カスタマーサービスを中核に据えたアプローチをしていることを彼らに示せます。これが、あなたと競合を差別化するのです。
”同じ領域内での他社のカスタマーサービスの弱点は、あなたを際立たせる機会をもたらします。”
こうしたクライアント中心のアプローチを、お客さまの声やケーススタディ、ウェブサイトのコピーを通じて説明します。そうるすることで、競争上の多大な優位性が得られます。
ウェブサイトばかり気にするのはやめよう
ウェブデザイナーとして、わたしたちは自分のサイトのリデザインにあまりに多くの時間を使い過ぎています。デザインとコピーに苦しむ時間が長すぎます。わたしたちは、サイトがマーケティング活動を促進したり台無しにしたりすると考えます。しかし実際には、それはあなたを際立たせる点でごくわずかな要素にしかなりません。事実、たくさんのウェブデザイナーが自分のサイトを必要以上に気にしていますが、最終的にはさほど役に立っていません。
あなたのサイトをシンプルに保ちましょう。専門性を見つけることにフォーカスし、評判を打ち立てることに時間をかけ、優れたサービスを提供します。人混みの中で目立つには、これがもっとも効果的ということに、あなたは気づくでしょう。
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