リモートワークの普及に伴い、多くの企業や個人でZoom(ズーム)を利用する機会が増えています。遠方のクライエントとの商談や会議にZoomミーティングを活用したり、マーケティングの手法の一つとしてZoomウェビナーを開催したりすることもあるでしょう。
しかし、Zoomウェビナーとミーティングの違いがよく分からないという方も少なくありません。今回は、ウェビナーとミーティングの違いやウェビナーに使える便利な機能、ミーディングへの切り替え方法などを初心者向けに解説していきます。
Zoomのウェビナーとは?
Zoomウェビナーは50人以上が視聴するオンラインセミナーなどを想定した有料サービスです。
Zoomウェビナーを利用するには、主催者であるホストは出席者数に応じたライセンスを購入する必要がありますが、視聴者は有料ライセンスがなくともウェビナーに参加可能です。出席者は1度のウェビナーにつき最大10万人(米国内では100万人)まで招待可能で、パソコンやタブレット、スマートフォンなど様々な視聴デバイスに対応しています。
Zoomミーティングのような1対1の会話は想定しておらず、視聴者はミュート状態の視聴専用モードで参加します。ホストとパネリストに限り、音声のミュート解除や画面共有、参加者リストの表示ができます。ウェビナーの視聴者同士の対話はできませんが、交流を深めるためのライブチャットやQ&A機能を活用することも可能です。
Zoomウェビナーの機能
コントロール管理機能
ウェビナーのホストが参加者を管理するための機能です。視聴者リストの確認や、ミュート/ミュート解除の設定、視聴者のブロックなどの操作が可能です。
画面共有
ホストとパネリストは、自分のパソコンの画面共有が行えます。プレゼンテーション用のスライドや画像、ビデオなどを共有することで、ウェビナー参加者に視覚的に内容を伝えることができます。事前にプレゼンテーションや資料をアップロードするなどの作業は不要です。
Q&A
Q&Aとは、視聴者がウェビナー中に質問をし、パネリストやホストがそれに回答できる機能です。出席者同士で質問に答えあうことも可能です。
チャット
ウェビナー内でホストやパネリスト、視聴者がチャットを通してコミュニケーションを図ることができます。チャット参加者をホストが選択できるため、ホストとパネリストだけでチャットをしたり、ウェビナー参加者全員でのチャット使用を無効にしたりすることが可能です。
投票
ウェビナー投票は、ホストが視聴者の意見を確認できる機能です。投票用質問を視聴者に投げかけることで、リアルタイムで回答を得られます。さらに、投票レポートのダウンロードも可能で、ウェビナー中に投票で得られた結果に対しての議論もできます。
ウェビナー後アンケート
ウェビナー後アンケートを使うことで、視聴者からのフィードバックを簡単に得られます。アンケートは、ウェビナーの最後に視聴者に共有するようスケジューリングが可能で、回答をレポート化してダウンロードすることもできます。さらに、使い慣れたGoogle(グーグル)フォームやSurvey Monkey(サーベイモンキー)などの外部のアンケートサービスへのリダイレクトも可能です。
録画
ホストはウェビナーを録画することができ、保存先はZoomを使用しているデバイス(パソコンのみ)、またはZoomの提供するクラウドサーバーから選べます。録画したウェビナーは、マーケティングや教育などさまざまな目的でビデオコンテンツとして活用できます。視聴者もホストの許可があれば録画ができますが、ローカルレコーディングのみとなります。
ダッシュボードと分析
Zoomのダッシュボードには、過去12ヶ月分のデータが保存されており、ウェビナーの視聴者の使用デバイスやIPアドレス、入退室時間などのデータを確認できます。過去のウェビナーだけでなく、開催中のウェビナーのデータも閲覧可能です。ウェビナー中に発生した問題を分析してくれる機能もあります。
Zoomウェビナーとミーティングの違い
Zoomウェビナーとミーティングの違いは、ウェビナーでは発言者が基本的にホストとパネリストのみと想定されているのに対し、ミーテイングは全員が発言をしてコミュニケーションを取ることを目的としている点です。具体的な機能の違いとして、参加可能人数の上限、画面共有の可否、音声のミュートとミュート解除、参加者リスト表示の有無、そして練習セッションの有無といったポイントをご紹介します。
参加人数の違い
ウェビナー:有料プランが必要で、最大参加人数によって500〜10万人までライセンスが用意されています。
ミーティング:無料ライセンスでは最大100名まで。有料では最大1,000名まで参加できます。
画面共有の違い
ウェビナー:ホストとパネリストは画面共有ができますが、視聴者はできません。
ミーティング:ホストが画面共有を無効にしていない場合は、全員が画面共有をすることができます。多くのアカウントでは、初期設定で画面共有が有効になっています。
音声ミュートとミュート解除の違い
ウェビナー:ホストとパネリストは自分の音声のミュート・ミュート解除を自分で行えますが、視聴者は基本的に視聴専用モードと呼ばれる音声がミュートされた状態での閲覧となります。ホストは任意の視聴者のミュートを解除することができます。
ミーティング:ホストにミュート解除を禁止されていない場合、参加者全員が自分のミュートやミュート解除を行うことができます。ホストは、ミーティング開始時に参加者の音声をミュートする設定が可能です。また、ホストは参加者のミュートやミュート解除をリクエストすることができます。
参加者リスト表示の有無
ウェビナー:ホストとパネリストのみ、参加者リストを見ることができます。
ミーティング:参加者リストは、全ての参加者に表示されます。
練習セッションの有無
ウェビナー:ホストと代替ホスト、パネリストは練習セッションを行うことができます。練習セッションは、本番の数日前から数時間前に行うことができますが、参加するにはプロ以上のZoomの有料サブスクリプションが必要です。練習セッションからウェビナー本番を開始することもできます。
ミーティング:練習セッションはありません。
Zoomウェビナーの使い方・設定方法
Zoomウェビナーの始め方
Zoomウェビナーを開催するための準備や操作を解説していきます。開催するにはウェビナーライセンスの購入だけではなく、事前にウェビナーのスケジュール設定や登録承認設定を行う必要があります。
事前の準備
ウェビナーのスケジュール設定
- Zoomにサインインします。
- 画面左側にあるナビゲーションパネルから「ウェビナー」をクリックします。
- 画面右上に表示される「ウェビナーをスケジュールする」ボタンをクリックします。
- 開催するウェビナーの名前や説明、日時、期間などのウェビナーの詳細設定を行います。登録が必要なウェビナーの場合は、ここで「登録」オプションを選択します。
- 「スケジュール」をクリックしましょう。
- 最後に、「招待状」タブにある「出席者を招待」から、参加用リンクや招待状をコピーし、ウェビナー参加予定者と共有できます。
登録が必要なウェビナーを開催する場合
ウェビナーには、事前登録をした人のみを対象として開催することが可能です。ホストは、登録者を自動で承認するか、手動で承認するかを選べるだけではなく、出席者の登録を無効にすることも可能です。承認方法の詳細は以下のとおりです。
- 自動承認:登録者全員に、ウェビナーへの参加方法が記載された確認メールが自動送信されます。
- 手動送信:ホストは、登録者を手動で承認または拒否します。登録が承認された場合には、自動承認と同様にウェビナーへの参加方法が記載された確認メールが送信されます。
ウェビナーを始める
ブラウザからの場合:
- Zoomにサインインします。
- 画面左側にあるナビゲーションパネルから「ウェビナー」をクリックします。
- 開始するウェビナー名を見つけたら、右側にある「開始」ボタンをクリックします
デスクトップクライアント(アプリ)からの場合:
- アプリを開きます。
- 「ミーティング」タブをクリックします。
- 開始するウェビナー名をクリックするとポップアップ画面が表示されるため、「開始」ボタンをクリックします。
カレンダーからの場合:
- Zoomアカウントにログインしていることを確認します。
- カレンダーに記載されているリンクをクリックしてウェビナーを開始します。
なお、視聴者としてウェビナーに参加する場合は、ホストから送信されたリンクをクリックするだけで視聴を開始できます。登録が必要な場合など、ウェビナーによっては参加する際に氏名やメールアドレスの入力を必須とすることもあります。
Zoomウェビナーの登録ページをカスタマイズする方法
事前登録が必要なウェビナーを開催する場合、初期設定ではシンプルな登録ページが用意されています。この登録ページは自由にカスタマイズでき、必要な項目や質問を追加できるため、メールマーケティングやブランディングに活用することが可能です。
Zoomウェビナーの登録ページをカスタマイズする手順は以下のとおりです。
- Zoomにログインし、カスタマイズしたいウェビナーを選択する
- 画面下部の「招待状」タブをクリックして開く
- 「登録設定」の右側にある「編集」をクリックする
- 「質問」タブをクリックし、登録フォームに必要な項目を選択して必須項目にする場合はチェックを入れる
- オリジナルの質問を追加したい場合は、「カスタムの質問」タブをクリックしてオリジナルの質問を作成して完了
「ブランディング」タブからは、登録ページに事業者のロゴやバナーを設定したり、講演者情報を追加したりすることもできます。また、ここで設定したロゴは招待状に追加することももできます。
Zoomのウェビナーからミーティングへの切り替え方法
ウェビナーとして開催スケジュールを設定したものの、参加者同士で自由に意見交換するためミーティングで開催したい、といった場合にはあとから切り替えることもできます。視聴URLはそのまま利用でき、登録ページは新たなミーティング用ページへと自動的に転送される仕組みとなっています。ただし、Q&Aや視聴後アンケートといったウェビナー専用機能は利用できなくなります。
Zoomウェビナーからミーティングへ切り替える手順は、以下の通りです。
- ホストのアカウントでZoomにサインインします。
- 画面左側にあるナビゲーションパネルから「ウェビナー」をクリックしてください。
- ミーティングに切り替えたいウェビナー名をクリックします。
- 「開始」ボタンと「編集」ボタンの右側にある「このウェビナーをミーティングに変換する」をクリックします。
- 「変換」をクリックすることで、ウェビナーがミーティングに切り替わります。
ミーティングをウェビナーに切り替えたい場合には、同様に「ミーティング」から「ミーティングをウェビナーに変換する」をクリックすることで可能です。ただし、ウェビナーが使用可能なライセンスが必要となります。
まとめ
Zoomウェビナーとミーティングは、どちらも複数人で同時に視聴ができたりコミュニケーションを図れるツールで、違いがよくわからないという人も少なくありません。Zoomウェビナーは基本的に発言するのはホストとパネリストでそのやりとりを多くの人が視聴する形を前提としているのに対し、ミーティングは参加者全員でお互いにコミュニケーションが取れるという点が異なります。また、ウェビナーでは参加人数の上限が大きく、音声ミュート・ミュート解除の権限や参加者リスト表示などの機能はホストのみが利用可能となっています。
Zoomは、ミーティングを活用して社内外との会議や商談ができるだけでなく、消費者向けにウェビナーを開催して認知度を高めたりマーケティング効果を得たりすることも可能です。
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Zoomに関するよくある質問
Zoomアプリがなくてもウェビナーに参加できる?
Zoomはアプリがなくても、パソコンのブラウザからウェビナーに参加できます。タブレットやスマホから参加する場合にはアプリが必要です。
Zoomウェビナーを利用する条件は?
Zoomウェビナーを利用するには、有料サブスクリプション契約が必要で、更にウェビナー開催のための出席者数課金型ライセンスまたはサブスクリプションが必要です。
Zoomウェビナーを1回だけ開催することはできる?
1回だけ開催することは可能ですが、月単位または年単位のサブスクリプション契約が必要になります。1回のみ、などの単発のウェビナー開催の場合は、1ヶ月分のみの購入ができるZoom Webinarsプランが適しているでしょう。契約中の1か月間は回数無制限でウェビナーを主催できます。
Zoomウェビナーとミーティングの見分け方は?
Zoomウェビナーとミーティングの見分け方としては、開催中に参加者リストを見られるかどうかで確認することができます。ウェビナーでは参加者リストが見られるのはホストとパネリストに限定されているのに対し、ミーティングでは参加者全員が参加者リストを見ることができます。また、ウェビナーでは基本的に視聴者側からミュート解除や画面共有ができない仕組みになっていますが、ミーティングの場合でもホストが有効化していないと画面共有ができない場合などがあるため、この違いだけで見分けることはできません。
ウェビナーは録画できる?
ウェビナーを録画するには、スケジューリングの際に録画の設定をしておきましょう。録画したウェビナーは、後からオンデマンド配信も可能です。
文:Masumi Murakami