モバイル決済は、事業者と顧客双方にとって便利で魅力的な決済手段です。
しかし、モバイル決済には、QRコード決済や非接触IC決済といった複数の種類があるため、「それぞれの違いがわからない」、「どのように選べば良いの?」という人も少なくありません。
この記事では、モバイル決済の種類や導入のメリット、おすすめのモバイル決済について解説します。
目次
モバイル決済とは?
モバイル決済は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を使用して決済を行うキャッシュレス決済の一形態です。PayPayなどのQRコード決済、Google PayやApple Payといった非接触IC決済など、さまざまな種類が存在します。モバイル決済は現金を携帯する必要がなく、手軽でスピーディーな決済が可能になるなど、顧客だけでなく事業者にも多くのメリットをもたらします。
2022年時点のキャッシュレス決済比率を見ると、韓国は93.6%、中国は83%となり、日本と比較すると大幅に高い値を示しています。それに対して経済産業省は、キャッシュレス決済比率を2025年までに約40%にするという目標を設定しており、実現に向けた取り組みを推進しています。その結果、2022年のキャッシュレス決済比率は36%に達し、前年と比較して10.8%も増加しました。これにはモバイル決済の利用も大きく貢献しており、キャッシュレス決済全般の利用率は年々上昇しています。
モバイル決済導入のメリット
モバイル決済を導入することで、店舗側、顧客側にはそれぞれ以下のようなメリットがあります。
<店舗側のメリット>
- 顧客の支払い速度が上がり、レジの混雑が緩和される
- 現金取り扱いによる誤差や盗難リスクが減少する
- 決済手段の多様化により顧客満足度の向上や、新しい客層の獲得が期待できる
<顧客側のメリット>
- スマートフォン一つで簡単に決済ができる
- 現金を持ち歩かなくても買い物ができる
- モバイル決済アプリが提供するポイントやクーポンを利用できる
モバイル決済の種類
モバイル決済には、大きく分けて「QRコード決済」、「非接触IC決済」、「キャリア決済」の3種類があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
QRコード決済
QRコード決済は、専用アプリをスマートフォンにインストールし、QRコードやバーコードを読み取って決済を行う方法です。具体的な例としては、「PayPay」や「LINEPay」、「楽天ペイ」などがあり、あらかじめクレジットカードや銀行口座を登録しておくことで、手軽に決済が行なえます。
QRコード決済には、顧客自身がQRコードやバーコードを読み取り、決済を行う「ユーザースキャン方式」と、店舗側が顧客から提示されたQRコードやバーコードを読み取り、決済を行う「ストアスキャン方式」の2つがあります。
非接触IC決済
非接触IC決済は、ICチップを内蔵したモバイル端末に電子マネーやクレジットカードなどの決済情報を事前に登録し、その情報を使って決済を行います。具体的な例としては「Apple Pay」、「Google Pay」、「NFC」、「おサイフケータイ」などがあり、顧客はモバイル端末を読み取り装置にかざすだけでスピーディーに決済ができます。
非接触IC決済には、電子マネーを先にチャージしてから決済に使用する「プリペイド方式」と、クレジットカードのように先に決済を行ってから後で料金を支払う「ポストペイ方式」の2種類があります。
キャリア決済
キャリア決済とは、ソフトバンク、docomo、auなどの各携帯電話キャリアのIDとパスワード認証を通じて、商品の購入代金を携帯電話料金と一緒に支払う決済方法です。具体的なサービスとしては、「d払い」、「auかんたん決済」、「ソフトバンクまとめて支払い」などが挙げられます。
キャリア決済の大きな利点は、クレジットカード情報の入力が不要なため、クレジットカードを持っていない人でも利用可能であるという点です。一方で、利用できる月間の上限額がクレジットカードと比べて低く設定されているため、高額な買い物には向いていません。
モバイル決済導入時の選定ポイント
モバイル決済を導入する際は、以下のようなポイントに注意して、自社にとって最適なサービスを選定しましょう。
決済手数料と振込手数料
モバイル決済サービスの利用には、主に「決済手数料」と「振込手数料」が発生しますが、これらの料金はサービス会社によって異なります。決済手数料はモバイル決済の売上時に発生し、その相場はおおよそ3.24%〜3.74%となっています。たとえ0.1%の違いであっても長期にわたってみれば大きな金額になるため、選ぶ際には十分な検討が必要です。一方、振込手数料はモバイル決済の売上が自社の口座に振り込まれる際にかかる料金で、この相場は約200円〜300円となっています。しかし、振込手数料が全く無料のサービスも存在するため、これらを踏まえた上で適切なサービスを選びましょう。
入金サイクル
入金サイクルは、決済が行われてからその資金が自社の口座に入金されるまでの時間を指します。入金サイクルはサービスによっては異なり、決済翌日に入金されるものもあれば、数日から数週間かかることもあります。入金サイクルが長いと、資金繰りに影響を及ぼす可能性があり、売上金が口座に入金される前に資金が尽きてしまうといった問題が生じるかもしれません。そのため、なるべく入金サイクルが早い短いサービスが望ましいでしょう。
自社のユーザーに合った決済手段か
モバイル決済を導入する場合、自社のターゲットユーザーに合った決済法を選ぶことで、新規顧客獲得のチャンスを増やせます。そのため、ターゲット層の顧客がよく利用する決済方法や種類を事前にリサーチしておくことが重要です。
たとえば、消費者庁の「キャッシュレス決済の動向整理」によれば、「QRコード決済」は若い年代ほど利用が多く、「電子マネー」は年齢が上がるほど利用が多いという結果が出ています。
おすすめのモバイル決済ランキング
ここからは、上記で紹介した選定ポイントとともに、サポートの充実度や顧客満足度などを考慮した、おすすめのモバイル決済サービス6社をランキング形式で紹介します。
1. スマレジ
初期費用 |
スマレジ・PAYGATE端末代:30,800円(税込) |
月額費用 |
3,300円(税込) |
決済手数料 |
3.24%〜 |
振込手数料 |
要問合わせ |
入金サイクル |
クレジット/電子マネー売上:月2回 |
決済サービス |
クレジットカード、QRコード決済、電子マネー、非接触IC |
スマレジは、iPadやiPhoneを用いた高機能なクラウドPOSレジを提供しています。モバイル型のマルチ決済端末「スマレジ・PAYGATE(スマレジ・ペイゲート)」は、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済、非接触IC決済に対応しており、プリンターやカードリーダーも内蔵されているため、別途オプション品を購入する必要がありません。また、サポートサイトや電話窓口を通じた365日体制のサポートがあるため、初心者にも安心して導入できます。
2. AirPay(エアペイ)
初期費用 |
0円 |
月額費用 |
無料 |
決済手数料 |
3.24%〜 |
振込手数料 |
無料 |
入金サイクル |
月3回 |
決済サービス |
クレジットカード、電子マネー |
AirPay(エアペイ)は、自身のiPadやiPhoneを使用すれば初期費用なしで導入でき、さらに月額費用や振込手数料も無料です。さまざまな決済方法にiPadまたはiPhoneとカードリーダー1台で対応でき、特定のキャンペーン条件を満たすと、カードリーダーも無償で提供されます。また、無料のPOSレジアプリ「Airレジ」をダウンロードし、連携させれば、注文の入力から会計までが一括で可能となります。
3. Square(スクエア)
初期費用 |
Squareターミナル端末代:46,980円(税込) |
月額費用 |
無料 |
決済手数料 |
3.25%〜 |
振込手数料 |
無料 |
入金サイクル |
週1回 |
決済サービス |
クレジットカード、QRコード決済、電子マネー、非接触IC |
キャッシュレス決済サービス会社のSquare(スクエア)が提供する決済端末「Squareターミナル(スクエアターミナル)」は、最短数日で導入でき、1台でクレジットカードやデビットカード、電子マネー、PayPayなど、多様な決済方法に対応可能です。プリンターが内蔵されているため別途プリンターの購入も必要ありません。
また、みずほ銀行や三井住友銀行を通じて売上金を入金する場合、最短で翌営業日に反映されるという迅速な入金サイクルが特徴です。
4. STORES決済(ストアーズ決済)
初期費用 |
端末代:19,800円(税込) |
月額費用 |
無料 |
決済手数料 |
3.24%〜 |
振込手数料 |
200円 |
入金サイクル |
手動入金:翌1〜2営業日 |
決済サービス |
クレジットカード、QRコード決済、電子マネー |
STORES決済(ストアーズ決済)は、一定の条件を満たせば端末代が0円となり、初期費用を全くかけずに導入可能な決済サービスです。電子マネーの決済手数料が業界最安水準の1.98%という低コストが大きな特徴で、STORESレジやスマレジ、ユビレジといった業種に特化したPOSシステムとも簡単に連携できます。
5. PAYGENT(ペイジェント)
初期費用 |
要問合せ |
月額費用 |
要問合せ |
決済手数料 |
要問合せ |
振込手数料 |
要問合せ |
入金サイクル |
締め日から9営業日 |
決済サービス |
クレジットカード、電子マネー、コンビニ決済、キャリア決済、銀行ネット決済、オンライン決済など |
PAYGENT(ペイジェント)は、Web決済をメインとしたサービスを提供しており、最短5営業日という短い入金サイクルが特徴です。また、PAYGENTは多様な決済方法に対応しており、顧客の属性に合わせて最適な支払い方法を選択できます。
6. 楽天ペイ
初期費用 |
楽天ペイ ターミナル端末代:38,280円(税込) |
月額費用 |
無料 |
決済手数料 |
3.24%〜 |
振込手数料 |
1回330円 |
入金サイクル |
翌営業日 |
決済サービス |
クレジットカード、電子マネー、非接触IC |
楽天ペイは専用アプリや楽天IDで簡単に支払いができる決済サービスです。「楽天ペイアプリ」は、スマホ決済アプリではPayPayに次ぐ高いシェアを誇り、導入することでそのユーザーを集客できるという利点があります。
楽天銀行を振込口座に登録すると、土日祝日も含め365日翌営業日に自動入金されるため、現金並みのキャッシュフローを実現できます。さらに、キャンペーンを利用すれば専用カードリーダーやQRコード決済が無料で利用できます。
まとめ
スマートフォン一つで手軽に決済ができるモバイル決済は、その利便性から顧客と事業者双方にさまざまなメリットをもたらします。また、幅広い決済方法を提供することで、新たな顧客層の獲得や、顧客満足度の向上も実現可能です。
また、モバイル決済は実店舗だけでなく、ECサイトにおいても活用できます。自社のECサイトを構築する際には、Shopifyを利用することで、QRコード決済や非接触IC決済、キャリア決済など、多種多様なモバイル決済を簡単に導入することができます。これにより、顧客が使いやすく、かつ、事業者にとって効率的なECサイトを作ることができるでしょう。モバイル決済についてよくある質問
NFCモバイル決済とは
NFCモバイル決済とは、非接触ICチップが内蔵されたモバイル端末を用いた決済方法のことを指します。おサイフケータイやApple Payなどのモバイル決済に使用されており、スマートフォンをかざすだけで商品の購入代金を支払えます。
日本のモバイル決済シェアは
経済産業省によると、2022年のモバイル決済を含むキャッシュレス決済の比率は36%で、前年と比較して10.8%増と、年々増加しています
電子マネーとモバイル決済の違いは
電子マネーとモバイル決済の違いは支払い方法にあります。
電子マネーは基本的に利用者が事前にチャージするプリペイド式で、その残高を使用して商品やサービスを購入します。一方モバイル決済は、プリペイド式の前払いだけでなく、クレジットによる後払いも選択できます。