大物ユーチューバー(YouTuber)がこぞってグッズ販売のビジネスに参入するのには理由があります。
あなたも一度は見たことがあるのではないでしょうか。例えば、ネイルアートのチュートリアル動画で有名なチャンネル「SimplyNailogical」のクリエイターCristine Rotenbergは「Halo Taco」というブランドで豪華な仕上げと色の高級マニキュアラインを展開しています。また、人気インターネットパーソナリティEmma Chamberlainが立ち上げた「Chamberlain Coffee」は、コールドブリュー(水だし)コーヒー豆から始まり、アパレル、抹茶、コーヒーアクセサリーまで幅広い商品の販売を行っています。その他にも、Youtube向けバラエティー番組「Good Mythical Morning」のクリエイターであるRhett McLaughlinとLink Nealは「Mythical」というブランドで、Tシャツ、ヘアケア用品、キッチンタオルなどのアイテムを販売しています。
これらのクリエイターは皆、自分たちがビジネスを行っていることを自覚しており、成功するために収益を多様化する方法(英語)を見つけています。
広告やブランドとのスポンサー契約に頼ることは、第三者やアルゴリズムの気まぐれな方針変更に左右されることを意味します。また、動画共有サービスVineのように、突然サービス終了が発表され、プラットフォーム自体が消滅してしまう可能性もあります。
多くのYoutubeクリエイターは、グッズなどを販売することが、ファン層を活性化させながら大きな利益を得るための効果的な方法であることを改めて認識しました。グッズのデザイン、ショップの運営、プロモーションなどは、すべてをクリエイターが自らコントロールできるのが最大の魅力で、アルゴリズムの影響とは無縁です。
オリジナルグッズの販売を開始するのに何百万人ものチャンネル登録者は必要ありません(英語)。むしろ、早い段階で販売を始めることがチャンネルの成長にもつながります。この記事では、あなたがグッズ販売を始めるべき理由とその方法について詳しく紹介しますので、ぜひこのまま読み進めてください。
ユーチューバー(YouTuber)としてグッズを作成してお金を稼ぐ方法
クリエイターとして活動しているあなたには、自分のビジネスをサポートするためにオリジナルグッズのショップを立ち上げるスキルがすでに備わっています。ここからは、YouTube向けにオリジナルグッズを展開する方法を詳しく紹介していきます。
目次
ユーチューバー(YouTuber)としてオリジナルグッズ販売を行うべき理由
YouTubeのコンテンツクリエイターになることは、外から見ると自由なキャリアを手に入れる究極の方法のように聞こえます。しかし、実際はそんなに単純な話ではありません。
どのプラットフォームでも、クリエイターは他人や企業の言いなりになることが多いのが現状です。YouTubeで広告を掲載できるパートナーになるための条件を満たしたり、ブランドとのスポンサー契約を求めたりすることなどがその一例です。これらの方法でお金を稼ぐということは、他人のルールに従うということを意味します。
これまでは、YouTubeでお金を稼ぐにはパートナープログラムを利用することが一般的でしたが、そのためには条件が設けられています。
現在、パートナープログラムに参加するためには最低でも以下の条件を満たす必要があります。
- 1,000人のチャンネル登録者
- 過去12ヶ月間に有効な公開視聴時間が4,000時間あること
- チャンネルがコミュニティガイドラインに違反していないこと
- YouTubeの収益化ポリシーに準拠していること
- パートナープログラムが提供されている国に住んでいること
これらの条件を満たして初めて応募することができますが、応募しても必ず承認されるとは限りません。また、プログラムに参加していても、ルールに違反したと判断された場合はYouTubeが広告収入の分配を停止したり、チャンネルを停止・削除したりすることができます。
パートナープログラムに参加するだけでも大きなハードルをクリアする必要がありますが、この難関をくぐり抜けても、あなたの運命はYouTubeのコンテンツモデレーション(不適切動画の仕分け)の手に委ねられることになります。AI活用で自動化されたYouTubeの品質管理プロセスは、過去にクリエイターのチャンネル収益化を不当に無効化したとして非難されたことがあります(英語)。
ここにきて明らかになってきたことは、荒波を乗り越えて成功を収めているYouTubeクリエイターたちは、自らの独立性を守る術(英語)を知っているということです。
クリエイターとして本当の意味でビジネスを所有するということは、YouTubeからコントロールを取り戻すことで、オリジナルグッズの販売はそのための一つの方法です
グッズ販売はあなたが自らコントロールでき、すべての報酬を得ることができる効率的な収入源です。第三者との交渉や契約なしで、あなたのブランドや価値観を維持したまま、自分のショップを立ち上げることができます。
ファンにとっては、グッズ販売は商品という見返りを得ながら、あなたのチャンネルを宣伝することができる究極のサポート方法です。
オリジナルグッズの販売を行うことは、規約改定を含む様々な問題から保護された収益源を維持することができ、パートナープログラムに参加しなくても始めることができます。つまり、チャンネル登録者数が少なくても収益を上げることができるのです。
クリエイターとして本当の意味でビジネスを所有するということは、YouTubeからコントロールを取り戻すことであり、グッズの販売はそのための一つの手段です。うまくいけば、広告から得られる収入を上回る可能性もあります。
YouTubeクリエイターとして販売するもの
クリエイターとして販売できるものには、大きく分けて「グッズ」と「自分でプロデュースした商品」の2種類があります。それぞれに長所と短所がありますが、長期的な戦略としては両方の販売方法を検討する必要があります。
グッズの販売
ファンに商品を提供する方法として、いわゆる定番グッズを作るのが一般的です。コンサート会場で購入できるTシャツや、ロゴ入りタンブラーなどがその一例です。ファンはこれらを身につけたり使ったりすることで、クリエイターとしてのあなたの仕事を間接的にプロモーションすることができるので、あなたのチャンネルに関連したスローガンやイメージを使用したアイテムを作りましょう。
具体的には、以下のようなものがあります。
- Tシャツ
- パーカー
- 帽子
- マグカップ
- ステッカー
- ワッペン
- エナメルピン
基本的に、あなたのブランドロゴやデザインを印刷できるものなら何でもグッズの候補になります。
Scott Walterはミニチュアフィギュアに特化したチャンネル「Miniac」を運営し、約30万人の登録者を抱えています。彼はミニチュアペイントのテクニックなどをチャンネルに投稿しています。YouTubeでニッチな分野を開拓した彼は、ファンのためのグッズとミニチュア愛好家のための自己プロデュース商品の両方を販売するネットショップを開設しています。
彼は、ミニチュアと自分の好きなメタル音楽の両方からインスピレーションを得たTシャツや帽子を販売しています。
Scottが販売しているシャツの数々。Miniac
この種のグッズの利点は、プリントオンデマンド(後ほど詳しく説明します!)を活用することで比較的簡単に制作できることです。これはグッズ販売の費用対効果が非常に高いことを意味しています。プリントオンデマンドのサービスを利用すれば、オリジナル商品の調達や在庫の確保、配送などを気にする必要がないので、時間とお金の両方を節約することができるのです。
また、こうしたグッズはすでに市場が確立されている点も見逃せません。あなたのファンも過去に他のクリエイターやアーティストから同様のアイテムを購入しているはずで、似たようなグッズがあなたからも発表されることを期待しています。さらに、ファンがあなたの商品を身につけたり使ったりするたびに、そのファンの友人や家族にあなたのチャンネルを宣伝することになります。
欠点はこれらのグッズがすでにありふれたもので、けっしてユニークではないということです。他にはない独創的なデザインを作ることで幾分か改善することができますが、こうしたグッズはお手頃価格であることが一般的なので、自分でプロデュースした商品よりも1個あたりの収益は低くなることが多いです。
あなたがプロデュースした商品を売る
一から商品を作りあげることは、高い収益を得られる可能性がありますが、その分手間暇もかかります。
Holo TacoやChamberlain Coffeeなどの例からもこの事は見て取れることです。彼らの商品は、クリエイターが自らデザイン(英語)、調達、製造(英語)、そして販売を行っているものです。
一連のプロセスを全て行うには時間とお金が必要です。駆け出しのクリエイターにはそのどちらも足りないかもしれませんが、実現する方法はゼロではありません。まずは、比較的手間のかからないシンプルな商品から始めればいいのです。あなたのクリエイターとしてのニッチは何か、それをファンと共有するにはどうすればいいかをよく考えてみてください。
プロデュースする商品は、次のようなシンプルなものでも構いません。
- DIY工作などのためのPDF説明書
- ジュエリーなどのハンドメイドアイテム
- ワークショップやマンツーマンのレッスン提供
- アートプリント
- オーディオトラック
- デジタルレシピ集
あなただけが提供できるユニークなものであれば、こうしたアイテムでもファンにとっては価値のあるものとなります。
YouTubeでグッズを作って売るには
YouTubeクリエイターのあなたがこれからネットショップを立ち上げる場合、オリジナルグッズの販売はスマートで費用対効果の高い方法です。
YouTube用のオリジナルグッズをデザインする方法
あなたが最初にぶちあたる壁は、恐らくグッズにどのようなデザインを使用するかでしょう。あなた自身にイラストレーターやグラフィックデザイナーのスキルがなくても、ユニークで高品質なデザインを手に入れることができます。
まず、あなたのチャンネルらしさをどのようにデザインに反映するか考えてみてください。ロゴや動画の中でよく使うスローガン、あるいは自分の顔のイラストなどもデザインのアイデアとなります。
ここで、Mythicalの例を見てみましょう。YouTubeチャンネル「Good Mythical Morning」は、ホストであるRhettとLinkが奇抜な食べ物を作るゲームで知られています。
彼らはチャンネルのカラーを活かし、次のような角度からMythicalブランドのグッズを制作しています。
- シンプルなロゴ入りTシャツ
- ホストの顔写真やイラスト入りグッズ
- 内輪ネタを盛り込んだアイテム
- チャンネルのキャッチフレーズ
- オリジナルイラスト
Mythical Store
彼らの商品ラインアップを参考にすれば、あなたも自分のチャンネルらしさを反映したグッズが想像できるのではないでしょうか。
デザイナーとしての知識やセンスがあれば、あなた自身でグッズをデザインすることができます。それらがなくても、デザインを作成してくれるアーティストを見つけることができる場所はたくさんあります。
下記サイトはその一例です。
(※)日本ではクラウドワークス、ランサーズ、ココナラなどでデザイナーを探して委託できます
また、チャンネルのブランディングを始めたばかりの方は、Shopifyの無料ロゴメーカーもお試しください。
これらのサイトを見れば、あなたが思い描くイメージに合うスタイルのデザイナーがきっと見つかるはずです。
ネットショップを立ち上げる
グッズ販売を検討しているYouTubeクリエイター向けにはさまざまなサービスが用意されています。これらのサービスはグッズ販売のプロセスを効率化してくれますが、その反面、ショップの外観や雰囲気、販売する商品をコントロールしづらいという欠点があります。
ScottはMiniac立ち上げ当初は、プリントオンデマンドサービスを提供するRedBubbleでグッズを販売していましたが、最終的にはShopifyに切り替え、自分でプロデュースした商品と一緒にアパレルグッズも販売できるようにしました。
「グッズだけでなく、自分でプロデュースした商品も1つのウェブサイトで販売できるので、購入する側としてもありがたいですよね。いろいろな場所に行かなくても、一か所で全ての商品が揃うのですから」と彼は言います。
Scottは、Shopifyを使うことでブログ(英語)などを組み込むことが可能となり、より内容の充実したウェブサイトを構築できるという利点もあると語っています。
プリントオンデマンドを使ってグッズを制作する
Shopifyストアをセットアップすると、Gelato、Printify、Printfulなどのプリントオンデマンド(英語)のアプリにアクセスできるようになります。また、Shopify App Storeで他のアプリも検索することができます。
複数のサービスをチェックして、それぞれが提供している商品の種類や発送可能な地域を確認するとよいでしょう。基本的にどのプリントオンデマンド会社も、Tシャツやパーカーなどのアパレル商品を様々なバリエーション(素材、サイズ、色など)で提供しているでしょう。それ以外にも、マグカップやタンブラー、マウスパッドなど、他にどのような商品を扱っているかも確認しましょう。
サービス会社を選び、Shopifyストアのアプリとして追加したら、あなたが作成したデザインをアップロードしてレイアウトを決定することができます。その後、価格を設定して商品をあなたのネットショップに転送すれば、ファンが購入できるようになります。
プリントオンデマンドの利点は、サービス提供会社が注文の印刷と発送を担当してくれることです。そのため、あなたはネットショップの運営とグッズのプロモーションに専念することができます。自分で商品を調達して印刷する手間が省けるので、すぐに売れるかどうかわからない商品の在庫を抱える必要もありません。
ユーチューバー(YouTuber)はオリジナルグッズの販売でどのくらい稼いでいますか?
YouTubeクリエイターがどのくらいの収入を得ているかは、通常公開されることはありません。しかし、中にはこうした情報をオープンにしているクリエイターもいます。例えばJeffree Starは、自分の贅沢なライフスタイルをしばしば披露し、自身の化粧品ラインとグッズビジネスが数百万ドル(1億円以上)の収入をもたらしていることをほのめかしています。
またSimplyNailogicalのポッドキャストでは、ChrstineのパートナーであるBenが、自分たちのマニキュアビジネスは販売量が多く、従業員や倉庫、カスタムボトルのデザインなどのコストをかけても利益を上げていると語っています。
ただし、彼らは何百万人ものチャンネル登録者(英語)を持つ有名なクリエーターであることを忘れてはいけません。あなたはもっと小さい規模からビジネスを始めることになります。
Scottは、変動的ではあるものの、総収入の最大50%がネットショップでの販売によるものだと推定しています。
具体的には、49.99ドルで販売しているScott自身が制作したミニチュアや、ペイント方法を説明したデジタル教材など、自分でプロデュースした商品が収益の大半を占めているそうです。これが収益全体の30%から40%を占めています。
残りの10〜20%は、Tシャツやポスターなどの定番グッズによるものです。
クリエイターとしての残りの収入は、YouTubeの広告、Amazonのアフィリエイトリンク、Patreon、スポンサー契約などの組み合わせによるそうです。
Scottは、いかにユニークなモノを提供できるかが鍵だと言います。例えば、1週間に1本のペースで動画を投稿している人は、広告掲載による収入よりも、動画によってもたらされた商品販売による収入の方がはるかに多くなるはずです。
「視聴者にとって価値のあるものを作れれば、それが大きな収益源になります」と彼は言います。
チャンネル登録者数や視聴回数が増えれば増えるほど、商品の売上が増える可能性があるのは当然のことです。しかし、駆け出しのクリエイターであっても、収益のかなりの部分をグッズ販売から得られる可能性はあります。
YouTubeでオリジナルグッズを宣伝するには
販売するグッズが準備できたら、ファンにそのことを知ってもらう必要があります。
多くのクリエイターは、オリジナルグッズの販売開始を知らせる動画をYouTubeに投稿してファンの期待を高めると同時に、InstagramやTwitterなど他のプラットフォームでも告知を行います。
発売後は、すべての動画、YouTubeや他プラットフォームのプロフィールにネットショップへのリンクを入れてください。また、コレクションに新しいアイテムを追加した際にも、忘れずにアナウンスしてください。
オリジナルグッズでYouTubeチャンネルを成長させる
YouTubeクリエイターとしてグッズ販売を始めるためには、たくさんのチャンネル登録者がいる必要はありません。YouTubeのアルゴリズムや制限、パートナープログラムとは関係なく、収入を得るために必要なツールはすべて揃っています。
Youtuberとして成功するためには、プラットフォームがどのような状況であっても成功できる、持続可能なビジネスを構築することが必要で、自分のネットショップを立ち上げることはそのために役立ちます。