オンライン販売を成功させるには、最初に選ぶECパッケージがとても大切です。商品登録や決済に加え、集客やデータ分析、機能の拡張など、ネットショップの運営に必要な仕組みがこの中に詰まっているからです。
この記事では、注目のECパッケージ10社の特徴や違いをわかりやすく整理しながら紹介します。これからEC事業を始めたい人はもちろん、ビジネスのステップアップを目指す事業者にも役立つ内容となっています。
ECパッケージとは?

ECパッケージとは、ECサイトを構築・運営するための機能が一通りそろったシステムのことです。たとえば、次のような機能が含まれています。
ECパッケージがあれば、商品をオンラインで販売したり、支払いを受け付けたりすることができるだけでなく、SNSとの連携やメルマガの配信など、Eコマースの成功に必要な機能が使えます。
また、拡張性のあるパッケージを使えば、ネットショップの成長にも対応でき、事業規模に合った役立つツールや機能を手に入れることができます。
おすすめECパッケージ一覧(2025年版)

Shopify
Shopify(ショッピファイ)は、世界170か国以上で数百万のショップに使われている、世界トップクラスのクラウド型ECパッケージです。
専門的な知識がなくても、SaaS型ECサイトをすぐに立ち上げられるのが大きな魅力で、Shopifyテーマと呼ばれるデザインテンプレート、Shopifyペイメントなどの多彩な決済、在庫管理、ECカートシステム、SNS連携、モール出品、配送など、ネット販売に必要な機能が最初からすべてそろっています。
管理画面もシンプルで使いやすく、8,000以上あるアプリを使って簡単に機能拡張もできるため、スモールビジネスや中小企業、事業拡大を目指す企業まで柔軟に対応できます。
また、AIアシスタント「Shopify Magic」や高速決済「Shop Pay」など、売上アップを後押しする機能も充実しています。多言語や現地通貨にも対応できるため、海外販売を視野に入れている人や、ビジネスを本格的にスケールアップさせたいと考えている事業者にもおすすめです。
- 初期費用:無料
- 月額費用:750円(税込)~
- 無料トライアル:3日間無料トライアル、最初の3か月間は月額150円
- 拡張性:高い(必要に応じて自由にカスタマイズ可能)
- おすすめ事業者:個人事業主~中堅企業
- 導入実績:日清食品、Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)、Her lip to(ハーリップトゥ)、サンリオ海外向けECサイト
makeshop
makeshop(メイクショップ)は、GMOグループが提供する国産のクラウド型ECパッケージで、これまでに12,000店以上のネットショップで導入されています。
日本の商習慣である「掛け払い」や「見積書の発行」「法人ごとの価格設定」などに対応していることから、国内のECサイトのビジネスモデルに適応しやすく、法人や中小企業、BtoB ECを行う事業者から支持を集めています。
さらに、導入時には専任のサポートがついて運用の相談にも応じてくれるので、はじめてのネットショップ運営でも安心してスタートすることができます。クーポンやメールマガジン、レビュー、広告との連携など、販促ツールも充実しており、HTMLやCSSを使ってデザインをカスタマイズすることもできます。
- 初期費用:11,000円(税込)~
- 月額費用:13,750円(税込)~
- 無料トライアル:15日間無料トライアル
- 拡張性:高い(必要に応じて自由にカスタマイズ可能)
- おすすめ事業者:個人事業主~中小企業
futureshop
futureshop(フューチャーショップ)は、ブランディングを重視したネットショップ構築に強い国産のECパッケージです。特に、アパレルやコスメ、ライフスタイルブランドなど、世界観やファンとの関係性を大切にしたい企業に多く選ばれています。
特長は、デザインの自由度と、キャンペーン設計の柔軟さです。テンプレートに縛られず、ブランドイメージに合わせたECサイトを細かく作り込むことができます。また、複雑なセールやポイント施策、会員ランク制度などにも標準で対応しており、顧客との長期的な関係構築にも役立ちます。
導入・運用時のサポート体制も充実しているため、サポートを受けながら安心してショップ運営することが可能です。ただ売るだけではなく、ブランドの価値を届けるためのECを目指す企業におすすめのサービスです。
- 初期費用:22,000円(税込)~
- 月額費用:24,000円(税込)~
- 無料トライアル:3週間無料トライアル
- 拡張性:高い(必要に応じて自由にカスタマイズ可能)
- おすすめ事業者:中小企業~中堅企業
EC-CUBE
EC-CUBE(イーシーキューブ)は、日本で開発された無料のオープンソース型ECプラットフォームです。ソフトウェア自体は無料で使えるため、サーバーを契約すれば、自分の手でネットショップを作ることができます。
最大の魅力は、とにかく自由にカスタマイズできる点にあります。デザインの変更はもちろん、機能の追加や業務フローに合わせた独自の開発も可能です。オリジナルのネットショップを一から作り込みたい人や、既存のECツールでは満足できない企業に向いています。
一方で、サーバー管理や保守・セキュリティなどはすべて自社で行う必要があるため、開発スキルや運用体制が必要となります。EC-CUBEの構築・運用を支援する専門業者に外注したり、自社内でチームを作ってサイトを構築したりできる企業におすすめです。
- 初期費用:無料
- 月額費用:無料(サーバーの契約は必要)
- 無料トライアル:なし
- 拡張性:高い(自由にカスタマイズ可能)
- おすすめ事業者:中堅企業~大企業
カラーミーショップ
カラーミーショップは、GMOグループが提供する国産のECパッケージです。個人や小規模の事業者に人気があり、誰でも手軽に自分のネットショップを開くことができます。
操作画面はわかりやすく、テンプレートで簡単にデザインができるだけでなく、HTMLやCSSを使ったカスタマイズも可能なので、自分のブランドに合わせたショップを構築できます。
機能はややシンプルですが、そのぶん操作が簡単です。クーポンやレビュー、SEO対策など、売上アップに役立つ基本機能も一通りそろっています。
- 初期費用:3,300円(税込)~
- 月額費用:4,950円(税込)~
- 無料トライアル:30日間無料トライアル
- 拡張性:中程度(一部カスタマイズ可能)
- おすすめ事業者:個人事業主~中小企業
BASE
BASE(ベイス)は、初期費用も月額費用もゼロですぐにネットショップを始められるECパッケージです。
操作はシンプルでスマホひとつで出品から開店までできるため、ネット販売がはじめての人や副業として始めたい人、趣味の延長で商品を売ってみたい人にぴったりです。
デザインテンプレートやアプリも充実しており、専門知識がなくても、自分らしいショップを簡単に作れるのが魅力です。
売り上げが出たときだけ決済手数料(3.6%+40円+3%)がかかる仕組みなので、リスクなく挑戦できるでしょう。
- 初期費用:無料
- 月額費用:無料~
- 無料トライアル:なし
- 拡張性:低い(プランによってカスタマイズ可能)
- おすすめ事業者:個人事業主~小企業
STORES
STORES(ストアーズ)は、無料から始められるECパッケージで、スマホでも簡単にショップが作れるため、BASEと並んで初心者に人気があります。操作画面は直感的で、デザインもテンプレートから選ぶだけです。
無料プランに加えてスタンダードプラン(月額3,300円)があり、有料プランに切り替えることで、予約販売・定期便・独自ドメイン・販売手数料の割引など、ビジネスを本格化させるための機能が使えるようになります。
BASEと比べて、少しビジネス寄りの機能やカスタマイズの幅が広いのが特徴です。ネット販売を気軽に始めて、売り上げが伸びてきたら次のステップに進めたい人にぴったりの選択肢です。
- 初期費用:無料~
- 月額費用:無料~
- 無料トライアル:なし
- 拡張性:低い(プランによってカスタマイズ可能)
- おすすめ事業者:個人事業主~小企業
Amazon
Amazonマーケットプレイスは、Amazonに出品するためのECパッケージです。お店のホームページを作らなくても、商品登録をするだけで販売を始めることができます。
最大のメリットは、すでに多くの人が集まっているECモールで商品を売れる点にあります。知名度の高いAmazonに出品することで、自分のショップを一から宣伝しなくても、商品を見てもらえる可能性が高くなります。
さらに、商品の保管・発送・お客様対応などをAmazonに任せられる「FBA」というサービスを使えば、運営の手間を大きく減らすことも可能です。
ただし、デザインを自由に変えたり、自分のブランドの世界観を表現したりするのは難しいという弱点もあります。
- 初期費用:無料
- 月額費用:100円/1商品(小口出品プランの場合)
- 無料トライアル:なし
- 拡張性:低い
- おすすめ事業者:個人事業主~中小企業
futureshop omni-channel
futureshop omni-channel(フューチャーオムニチャネル)は、実店舗とネットショップをまとめて運営できるオムニチャネル対応のECパッケージで、小売店やチェーン店に特化した機能がそろっています。
一番の強みは、実店舗とECの在庫・会員情報・ポイントをリアルタイムで連携でき、販売チャネルをまたいだ運用が可能な点にあります。
POSレジとの連携や店舗受け取りにも標準対応しており、リアルとネットをひとつの仕組みでつないで一貫した顧客体験を提供できるため、ファンづくりにもつながります。
初期費用や月額費用は高額ですが、実店舗の強みを活かしながらオンライン販売を広げたいと考えている事業者に最適なECパッケージです。
- 初期費用:752,000円~
- 月額費用:160,000円~
- 無料トライアル:なし
- 拡張性:高い(必要に応じて自由にカスタマイズ可能)
- おすすめ事業者:実店舗を持つ企業
EBISUMART
EBISUMART(エビスマート)は、中堅企業や大手企業が使っている、高機能で自由度の高いECパッケージです。
ネットショップに必要な機能はもちろん、企業ごとの複雑な販売ルールや業務フローにも合わせてカスタマイズできるのが大きな特長で、BtoB取引や複数の店舗や倉庫の管理、商品によって価格を変える仕組みなども実現できます。
さらに、システムはクラウド上にあるため、保守やセキュリティもプロに任せられ、導入時には専任チームがサポートしてくれるので、自社にぴったり合った安全なネットショップを作り上げることができます。
初期費用や月額費用は高額ですが、サポートも充実したサービスを利用したい企業や、成長にあわせて柔軟に拡張できるパッケージを利用したい事業者にはおすすめです。
- 初期費用:3,000,000円(税込)~
- 月額費用:200,000円(税込)~
- 無料トライアル:なし
- 拡張性:高い(自由にカスタマイズ可能)
- おすすめ事業者:中堅企業~大企業
ECパッケージでチェックすべき点

たくさんのECパッケージの中から事業にあったものを選ぶには、以下のような機能を比較検討することが大切です。
コスト
ECパッケージには「月額固定型」「販売手数料型」、その両方を組み合わせたタイプがあります。BASEやSTORESは初期費用や月額は無料ですが、商品を売るごとに手数料が発生します。一方、Shopifyやmakeshopは月額制で手数料は低めに設定されています。
起業したばかりでまずは試したい人は販売手数料型を、すでにある程度の販売見込みがあり本格的に運営したい人は月額型など、予算や販売見込みに合わせて選びましょう。
拡張性と使いやすさ
EC事業は成長に応じて必要な機能が変わっていきます。Shopifyのように、必要な機能がそろった状態から始めて、あとから自由に機能を拡張できる設計になったECパッケージを選ぶと良いでしょう。
また、実店舗やポップアップストアなども展開する予定がある場合には、Shopify POSのような、対面販売機能を提供するためのアドオンやプラグイン、他サービスとの連携などを備えたECパッケージを見つける必要があります。
チェックアウトのスムーズさ
購入完了までがスムーズかどうかは売り上げに直結します。ShopifyのShop PayやAmazonの「今すぐ買う」のように、短時間で購入できる仕組みがあるかどうかは重要なポイントです。
ゲスト購入や多様な決済手段に対応しているかも確認しましょう。
カスタマイズ性
ブランドの世界観を表現するには、デザインや機能を自由に調整できるカスタマイズ性が鍵となります。テンプレートが豊富で初心者でも使いやすいECパッケージや、コーディングの知識を使って自由に開発できるオープンソースプラットフォームなど、自分のスキルやサイト開設にかけられる時間を考慮して選びましょう。
他のツールとの連携
会計や在庫管理、広告、SNSなどの外部ツールと連携できるかどうかは業務効率に直結します。また、予約販売や再入荷お知らせなど、顧客体験を高められるツールを導入できるかどうかも売り上げに影響します。Shopifyには8,000以上のアプリがあり、AI搭載の外部ツールやAmazonや楽天などの他プラットフォームと連携できるため、業務改善や顧客満足度の向上などにつなげられます。
検索エンジンの最適化機能
検索エンジンから集客できるよう、基本的なSEO対策ができるECパッケージを選ぶのも大切です。Shopifyやカラーミーショップのように、ページ読み込み速度の向上、画像最適化などができるECパッケージを選択しましょう。
ウェブホスティング
サイトの表示速度や安定性に関わるウェブホスティングは売り上げにも影響する重要なポイントです。Shopifyなどのクラウド型はホスティングも組み込まれているため初心者向きです。EC-CUBEのようなオープンソース型は自社でのサーバー管理が必要となり、専門知識や人員が必要となります。
マルチチャネル販売対応
SNSやモールと連携して販売チャネルを増やしたい人は、マルチチャネル対応の有無を確認しましょう。ShopifyはInstagramやAmazonなど多くのチャネルと連携できます。BASEやSTORESもある程度対応可能です。
サポート体制
ECサイトを開設した後の不明点やトラブルに対応してくれるサポートの有無やヘルプセンターのわかりやすさを確認しましょう。24時間体制でサポートを提供するShopifyや、専任サポートのつくmakeshopやfutureShopのような、サポート体制の整ったECパッケージを選びましょう。
ECパッケージのメリット

簡単にネットショップを構築できる
ECパッケージの最大の魅力は、専門知識がなくてもネットショップをすぐに立ち上げられることです。テンプレートを選ぶだけで洗練されたデザインのショップが完成し、HTMLやCSSに詳しくなくても手軽にネットショップ運営を始められます。
多様な決済方法を導入し安全に決済処理できる
クレジットカードやコンビニ払い、Apple Payなど、幅広い決済手段を簡単に導入できるのも大きなメリットです。決済代行サービスによって決済処理が安全に行われるため、ネットショップの信頼性も確保されます。
注文管理がしやすい
注文状況の確認やステータス更新、発送管理など、ショップ運営に欠かせない業務も、ECパッケージなら一括で管理できます。特に複数チャネルで販売する場合、受注の一元管理機能があると業務効率が格段にアップします。
顧客体験を最適化できる
ECパッケージはUXにも配慮されており、快適なページ表示、モバイル最適化、直感的なナビゲーションなど、顧客が快適に買い物できるようになっています。チェックアウトのしやすさやポイント機能の搭載など、顧客体験を高める設計になっているECパッケージが多いです。
分析ツールが利用できる
売り上げや訪問数、人気商品などのデータを可視化できる分析ツールが搭載されているのもECパッケージの利点です。Shopifyストア分析のように、ダッシュボードからアクセスして売り上げの推移やユーザーの行動パターンを分析できるレポートツールを使うことで、マーケティング施策に活かせるデータが得られます。
セキュリティとコンプライアンスを高められる
個人情報を扱うECでは、セキュリティ対策が必須です。ECパッケージを使用することで、SSL証明書、二段階認証、データ暗号化、PCI DSS(支払カード産業データセキュリティ規格)の準拠など、安全性の高い環境を提供できます。また、特定商取引法や個人情報保護法など、日本の法令に準拠したサイト構築ができます。
グローバルな顧客層にリーチできる
多言語・多通貨対応のECパッケージを使えば、越境ECも簡単に展開できます。Shopifyのように海外配送や現地通貨での決済、現地SEOなどにも対応したECパッケージを使うことで、販路を大きく広げることができます。
まとめ
ネットショップをただ作るだけでなく、運営・改善・拡張までトータルで支えてくれるのが理想的なECパッケージです。ECパッケージを選ぶときは、導入時に必要な機能や規模に加えて、事業の成長目標に合った拡張性についても考慮するようにしましょう。今回紹介したサービスを比較しながら、自分にぴったりのECパッケージを見つけてください。
Shopifyなら、必要な機能はもちろんのこと、SNS連携、越境EC、ストア分析やAIによる業務効率化など事業の成長に役立つ多彩な機能もそろっていて、売り上げが伸びてきたときに必要なツールを追加できる拡張性もあります。
ECパッケージに関するよくある質問
ECパッケージとは?
ECパッケージとは、ネットショップを運営するために必要な機能が網羅されたソフトやサービスのことです。たとえば、商品の購入手続き、在庫の管理、商品の発送手配、集客や販促に役立つマーケティングツールなどを含みます。
おすすめのECパッケージは?
おすすめのECパッケージはShopifyです。Shopifyは、はじめてECサイトを開設する人からコーディングの知識を使ってサイトをカスタマイズしたい事業者まで、あらゆる規模のオンラインビジネスに対応できる柔軟性と拡張性があります。
ECパッケージの主な中身は何ですか?
ECパッケージには主に、商品登録、カートシステム、決済、在庫管理、配送、顧客対応などネットショップ運営に必要な機能が入っています。さらに、SEO対策や分析ツール、デザインテンプレートなど、売上アップや効率化を支える機能が含まれるECパッケージもあります。
ASP型パッケージとは?
ASP型パッケージとは、クラウド上で使えるネットショップ構築サービスです。ソフトを自分でインストールする必要はなく、ログインすればすぐに使えます。ShopifyやBASEなどが代表例で、サーバー管理不要で始めやすいのが特徴です。
ECパッケージとASP型パッケージの違いは?
ECパッケージは、ネットショップに必要な機能がそろったソフトやサービスの総称です。ASP型はその一種で、クラウド型で提供されるサービスを指します。ASP型はサーバー不要で手軽に始められるのが特徴で、初期コストや運用の負担が少ない点がメリットです。
文:Mitoko